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憂鬱の民(短編集)  作者: 紀ノ貴 ユウア
12/28

11.偽って

 悲壮感です。

「××も成人式出たらいいのに」

 そんなに残念がることか?




 うるせえよ。あんなつまらなさそうなところ、ボクはごめんだね。


 今日は、旗を立てたオムライスを食べて、ジュースで乾杯してやるんだ。


 成人の年齢(とし)を迎えたことを祝うなんて、正気か?ただ騒ぎたいがために集まる連中の、どこを見て、“大人”の仲間入りをしたって言うんだ。


 別に誕生日でもないのに祝うなんてさ、おかしくね?金と時間の無駄だよ、無・駄。


 ―――“お子ちゃま”だって?ふん、子供で上等だ。



 ……別に、和装が嫌なんじゃない。むしろ興味はある。普段、着るような代物(しろもの)でもないしね…。


 ただ、“普通”にまみれたあの空間に行くのが嫌なんだ。


 きっと、あの場でボクは浮いてしまう。ボクはただ、自分らしくいたいだけなのに。手元にある大量の郵便物は、全部、全部、ボクが望む姿を(すす)めてはいない。


 もちろん“これ”も、悪くないよ。悪くはないけど……。


 ―――ねえ、なんで“これ”が当たり前のように届くの?




「きっと似合うよ」

 …酷いなあ。

 普通に“普通”として混ざれるほど、ボクは器用ではないし。

 普通に“異質”として割り込むほど、ボクの心は強くないし。

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