11.偽って
悲壮感です。
「××も成人式出たらいいのに」
そんなに残念がることか?
うるせえよ。あんなつまらなさそうなところ、ボクはごめんだね。
今日は、旗を立てたオムライスを食べて、ジュースで乾杯してやるんだ。
成人の年齢を迎えたことを祝うなんて、正気か?ただ騒ぎたいがために集まる連中の、どこを見て、“大人”の仲間入りをしたって言うんだ。
別に誕生日でもないのに祝うなんてさ、おかしくね?金と時間の無駄だよ、無・駄。
―――“お子ちゃま”だって?ふん、子供で上等だ。
……別に、和装が嫌なんじゃない。むしろ興味はある。普段、着るような代物でもないしね…。
ただ、“普通”にまみれたあの空間に行くのが嫌なんだ。
きっと、あの場でボクは浮いてしまう。ボクはただ、自分らしくいたいだけなのに。手元にある大量の郵便物は、全部、全部、ボクが望む姿を勧めてはいない。
もちろん“これ”も、悪くないよ。悪くはないけど……。
―――ねえ、なんで“これ”が当たり前のように届くの?
「きっと似合うよ」
…酷いなあ。
普通に“普通”として混ざれるほど、ボクは器用ではないし。
普通に“異質”として割り込むほど、ボクの心は強くないし。