日吉瑞希①
モテる男子というのは決まりがある。
とにかく目立っているということだ。
バスケ部のキャプテンや、サッカーの上手い人、軽音部のボーカルやギター、あるいは不良気味の男子などなど。
帰宅部だって顔がよろしければ該当する。
もちろん私もそういう男子に目が行くタイプ。
だって普通に考えて、地味な男子とデートなんてありえないじゃん。
もっとなんていうか、リードしてもらいたいし、引っ張ってもらいたい。おんなじ意味か。
いわゆる青春。甘酸っぱい青春を味わいたいのだ。
女子同士でかっこいい男子を追ったり、男女グループでカラオケに行ったり、友達以上恋人未満の男子と買い物に行ったり。
そういうきゃぴきゃぴした時間を過ごしたい。
学園生活はそういった淡さと派手さを掛け合わせたものだと思う。
現状私には彼氏がいない。友達以上の男子もいない。
女子の友達は多くいるし、多分カースト的にも上位につけている。
特に一緒にいる麻衣はスクールカーストの最上位。その麻衣と一緒にいるのだから、必然的に私の位置も高くなるはず。
周りの女子は彼氏を作ったり、好きな男子とやり取りをして一喜一憂している。
そろそろ私も彼氏が欲しい。彼氏候補となり得るメール相手が欲しい。
だからといって誰でもいいってわけではない。
やはり地味系男子はご遠慮いただきたい。
それにここまで言っておいてなんだけど、かっこよすぎるのも実は気が引ける。
かっこいい人に憧れるのと、好きになるのは違う。
ちょうどいい男子がいい。私にとって。
理想が高いのかもしれない。うん、その気はある。
だから体育祭に賭けている。
今まで目立っていなかった男子が頭角を現すことがある。
それって良くない? ギャップ的な。
待ちに待った体育祭の始まりだ。