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プロローグ

 ある日のホームルームの時間。


 佐井幸助は困っていた。


 どうやら今度のレクでの男女ペアを作らなければいけないらしい。


 特に仲良くしている女の子はいない。


 放送委員で一緒の百村さんになら声を掛けられるか?


 同じ中学だった矢野口さんがいいか?


 とにかく早くどうにかしないと、気まずいペアになってしまう。


 誰にだって明るくふるまえる自信はあるけれど、気を使い続けるのはつらい。



「おい、佐井は最後でいいだろ?」



 不意に南が言ってきた。



「え、なんでよ」


「だってお前彼女いるんだろ?」


「いないよ?」



 俺に彼女がいる? 


 俺の知らない間に俺に彼女ができているのか?



「え、いるんじゃないの?」


「いないって」


「おい、上田! お前清瀬駅で女の人と佐井が待ち合わせしてるとこ見たって言ってなかったか?」

 南が上田に話を振る。


「ああ、見たよ。結構前だったけど、かなり仲良さそうだった」

 上田は南に言われ答える。

「あの制服は清瀬総合高校だったか?」



 なるほど。こいつらの言っている意味が分かった。



「それ、姉な」


「「あ、姉?」」

 上田と南の男二人がユニゾンを奏でる。


「シスター」

 次は英語で言ってみる。


「なんだよ、それなら早く言えよ!」

 上田が無理を言う。


「早く言えって何だよ。俺姉いるけど、おはよう。とか? 俺姉いるんだけど、次の時間体育だっけ? とか言うか? 普通」


「言わねえな」

 南が笑っている。


「とにかく俺に彼女はいない」

 きっぱり言い切る。



 教室がシーンとした。


 それと同時に何か落ち着きのない空気を感じた。



「ちょ、ちょっと、男子だけで盛り上がってないで話進めてよ」

 麻衣が急に椅子から立ち上がり言った。


「ああ、ごめんごめん」

 上田は素直に謝っている。


「それじゃあペアの続きをします」

 学級委員の大沼さんが仕切りなおす。

「ペアの希望はありますか?」



 希望って言いにくいけどな……。


 幸助はそう思ったが、女子の数人が黙って手を挙げていた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 誰の章から読んでも大丈夫ってのが個人的にすごいです! タイトルもシンプルながら素敵です♡
2022/04/20 06:47 退会済み
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