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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第3章 清風国ウィンド
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第94話 閑話:旅が終わったら

 閑話3話の1話目です。

 翌日。何日か休みを取ろうということで、今日はこの街を観光しようと思う。

 エイミーとクラリスの部屋をノックしてみる。


「起きてるか? 飯食いに行こう」


 ……返事がない。まだ寝ているのかもな。

 その時、目の前の扉から、ガチャッという鍵が開く音がした。


「入ってきて良いですわよー」


 クラリスの声がする。鍵だけ開けたのか? 首を傾げつつ扉を開く。

 玄関に誰もいないので、部屋の奥まで入っていく。


「おい、起きてるなら出てくればあぁ!!?」


 慌てて後ろを向く。部屋の中には、



 何故か下着姿のエイミーとクラリスがいた



「な、何で服着てないんだ!?」


「ど、どうッスか……?」


「こちらを見ても良いですわよ!」


「い、いや! 服を着ろ!!」


 落ち着け、落ち着け。冷静に冷静に。


「むぅ……。なかなか誘惑に乗ってきませんわね」


「クラリス、無茶ッスよ。兄さんが旅の途中で手を出してくるとは思えないッス」


「でもガイアまで帰る前に決めなければ、きっとリリエル王女には勝てませんわよ?」


「それは……そうかもしれないッスけど……」


「はぁ、仕方ありませんわ。この場は諦めましょう」


 2人が服を着る音が聞こえる。


「ユーリさん、ちゃんと服を着たので、今度こそこちらを向いても良いですわよ」


 振り返る。言う通りちゃんと服を着ている2人の姿が目に入る。ふぅ、まったく。


「何がしたいんだよ……」


「もちろん誘惑ですわ!」


「そんな自信満々に……」


(あたしは多分ずっと一緒にいられるし、そこまで慌ててないッスけどね……)


「エイミーさん! そんな卑怯な!」


(しーっ! クラリス、静かにするッス! クラリスが兄さんと結婚したら、毎日おっぱい触らせてくれるならクラリスを応援しても良いッスよ)


(あなた、それしかないんですの……? 仕方ありませんわね……。では2人でユーリさんを誘惑して、どちらが勝ってもずっと3人一緒ということで)


(了解ッス)


「こそこそ話してないで、飯食いに行くぞ」


「わかりましたわ!」


「はいッス!」








「どうする? 何かやりたいことはあるか?」


「この街は家具が名産なのですわよね? 見ていきませんか?」


「家具なんか見てどうするんだ」


「持って帰れば使えますでしょう?」


 俺とエイミーには帰る家すらないんだが。いや、旅が終わったら稼いだ金で家を買うのも良いかもしれない。

 小さい家くらいなら買えそうな金額が貯まっているからな。そうなると迷宮で出た冷蔵庫っぽいものを売ってしまったのは早計だったか。


「少し見てみるか」


 家具屋を探そう。






「いらっしゃいませー」


 家具屋に来た。洗濯機、テレビ、冷蔵庫、タンスにテーブル、カーペット。色々あって、どれも「最新!」って貼ってあるが、古い物を知らないので何が最新なのかはわからない。

 魔力で動く家具は、この国ではそこら中に張り巡らされた魔力線から魔力を引いてきて動かせる訳だが、自前の魔力で動かすことも可能らしい。

 魔力タンクになる石がはめ込まれていて、そこに魔力を込めることで動かすことが出来る。買って行っても動かせない、とはならない。俺は動かせないが。


「色々あるッスねー。機能の説明が書いてあるみたいッスけど、全然わからないッス」


「そうだなー。仮に旅が終わって家を買うとして、どんな家具があったら便利だろう」


「あたし、服がいっぱい入るクローゼットが欲しいッス!」


 エイミーはそうだろうな。おしゃれな服は全部フィーに収納しているが、家があるならそこに置いておきたいだろう。


「私はテレビですわ。ああ、でもこの国でしか機能しないんでしたわね……」


 テレビは動いても映像を受信しないと意味ないからな。というか、


「そもそもお前はアクアに帰って聖女になるんだろうが」


「あら、このままユーリさんのところに行ってはいけませんの?」


「お前は何を言ってるんだ……」


「……実際迷っているところではあるんですよ。流水剣を取り戻して、その後どうするのか」


「だから聖女になるんだろ?」


「うーん……。ユーリさんと一緒にこうして旅をしていますでしょう? だから聖女にはならない方が良いのではないか、なんて考えることがありますの」


「恋人として付き合ってはいなくとも、男性と深く関わってしまったからってことッスか?」


「ええ。流水剣との相性の良し悪しがどのように決まっているのかわからないのですよね。男性と交際すると悪くなるらしいですけど、どういう判定をされるのか……」


 なるほどな。もしかしたら俺と一緒に旅をしたことが、流水剣との相性を悪くするかもしれないと。考えられなくはないか。だとしても、


「それでもお前は聖女になるべきだと思うけどな」


「それは……なぜですの?」


「多少相性が悪くなろうが、お前が最も優れた結界魔法使いであることは変わらないだろうというのが一点。実際に交際した訳じゃないんだから多分大丈夫なんじゃないか? ってのが一点。あとは……」


「あとは?」



「お前の目標は違えるべきじゃない、というのが一点」



 クラリスの目標。両親が誇れる娘になる。もう充分誇れるからこれ以上頑張らなくて良い、なんてクラリスが考える訳がない。

 まだまだ上を目指せるはず。そう言って努力し続けるのがクラリスだ。だったら、


「至高の聖女になるんだろ? それでこそ、お前が目指す両親が誇れる娘になれるんじゃないのか?」


「……そうですわね。妥協は私らしくない! 先ずは聖女になります! そして引退したらユーリさんのところに行きますわ!」


「そこは譲らないんスね……。でも、それくらい欲張りな方がクラリスらしいかもしれないッスね」


 ……旅をしている間にこの子たちの気持ちに応えるつもりはない。それは確かだ。家も職もない不安定な状態で誰かを受け入れるなんて、不誠実だと思っている。

 じゃあ旅が終わったら? ……今から考えておかないといけないな。


「エイミー用にクローゼット買ってくか。あとは洗濯機と冷蔵庫も良いかもな。お、掃除機なんてのもあるのか。これも良いな」


「やったー!」


 結構な出費だ。家を買おうと思ったら、また稼ぐ必要があるかもしれない。

 旅が終わったら、か。俺も考えないといけないな。

 クラリスは旅の間にユーリを落とさないといけないと考えているので、割と焦っています。対してユーリは旅の間に誰かの気持ちに応えるつもりはないようです。これからどうなるのか、お楽しみに、といったところです。

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