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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第3章 清風国ウィンド
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第93話 帰還と報告

 ソルを体内に格納する。そして落下してきたエイミーを受け止める。


「お疲れ。良い戦いぶりだったぞ。本当はあんな危ないことはして欲しくないけどな」


「無茶しないと勝てない相手だったんだから仕方ないッス。兄さんもお疲れ様ッス」


 クラリスとアルトさんがこちらに歩いてくる。


「強敵でしたわね。ユーリさん、何度も落ちていましたけど、大丈夫ですの?」


「ああ、ソルのお陰で痛いだけで済んだ。骨が折れたりはしてないはずだ」


「やはりお強いですね。私の助力は必要ありませんでしたかね?」


「いやいや、とても助かりました。ありがとうございます。アルトさんが来てくれなければ潰されていた可能性もありますから」


 あの時、ソルの能力でワイバーンの押し潰しに耐えられるかどうか、かなり微妙なところだった。

 まだ明確にソルの能力を把握できていないからだが、耐えられないかもしれない賭けをする必要がなくなったんだ。ありがたい。

 その後、ワイバーンを叩き落してくれたのもかなり助かったしな。実質2匹はアルトさんが仕留めたようなものだ。


「アルトさんもかなりお強いですね。ワイバーンを蹴り飛ばすとは」


「体術にはそれなりに自信がありますね。武器は使えませんが。さて、帰りましょう。想定外の事態になりましたから、報酬も上乗せさせていただきますよ」


「ありがとうございます」


 山を降りる。ファムリアの住民も不安がっているはずだ。早く討伐報告をしてあげよう。


『これで正式にソルが仲間になりましたね』


『え? あ、そっか。一応仮でもらった設定だったっけ』


『よろしく頼む』


『よろしく! 頼もしい仲間が増えて嬉しいわ!』


『また私の存在が薄くなっていきますね……』


『……薄い?』


『アンは存在しているだけで凄い存在感ですよ……。ホントに。もう少し抑えて欲しいくらいです』


『あたしはもっと存在を主張してくよー!』


『ヴィラはもう少し静かにしようよ……』


『ふっ、賑やかなことだ』


 ホントにな。ソルは物静かな方で助かった。


 山を降りたところで日が暮れたが、そのまま街に帰る。

 深夜に街に着いたところで、明日領主館に顔を出すと伝えてアルトさんとは別れる。

 流石に今日は疲れたな。宿でゆっくり休もう。






 翌日。朝起きたと思ったら昼だった。疲れていたし、眠ったのも遅かったし仕方ない。

 飯を食って、領主館に行こう。



「ご苦労さまだ。大変だったようだな」


「いえ、いただいた剣とアルトさんのお陰で、何とか無事ワイバーンを討伐することが出来ました」


 領主館の一室で、ウィリットさんに報告する。とは言っても、アルトさんから大体聞いていると思うが。


「これが今回の依頼の報酬金だ。確認してくれ」


 どさっと袋に詰められた金を渡される。結構な金額だ。これだけで1年くらい生活できそうだ。

 金に困っている訳ではないが、あればあるだけ良いものだ。


「こんなに良いんですか?」


「ああ。1匹でも難敵のワイバーンを4匹も狩ってくれたんだからな。相応の報酬は渡す。放置していて4匹、もしくは更に増えたワイバーンをまとめて討伐しなくてはならなくなった場合、警備隊では難しかったかもしれない。君たちが来てくれて良かったよ」


「アルトさんなら倒せそうですけど」


「いえ、私だけでワイバーン複数匹を相手にするのは流石に辛いですね。何せ武器が体術なので相性が悪いです。上空の敵にはほとんど攻撃手段がないのですよ」


「魔法は使えないッスか? 結構魔力もありそうッスけど」


 アルトさんの髪色はやや薄い緑。エイミーよりかなり多くの魔力を持っていそうだ。


「どうも魔法というものが苦手で。簡単な炎魔法しか使えないのです。しかし、今回エイミーさんには良いものを見せていただきました。簡単な魔法でも使い道があるのが良くわかりましたよ」


「あたしは魔力が少ないからすぐ魔力切れになっちゃうッスけどねー」


「エイミーさんの魔法はまだ効率が悪いところがありますわ。もっと魔力が節約出来るはずですわよ」


「まだそんなに慣れてないんだから仕方ないッスよ……」


 さて、いつまでも話していてもウィリットさんの仕事の邪魔になる。そろそろお暇するとしよう。


「ウィリットさん、我々はこれで。もう2、3日はこの街に滞在しようと思っているので、また何かあれば」


「そうか。今回はありがとう。君たちのお陰でワイバーンが討伐されたことも街中に知らせてあるから、皆好意的に接してくれるはずだ。ゆっくりしていってくれ」


「ありがとうございます。失礼します」


 ああ、そうだ。聞いておいた方が良いか。


(ソル、何か言っておきたいことはあるか?)


『この街のことは頼んだと伝えてくれ』


「ウィリットさん、ソル、硬化剣ソルディフィードが、この街は頼んだ、と」


「! ああ、任せてくれ! 更に発展させて、君が世界のどこにいても耳に入るくらいにしてやる!」


『ふ、大きく出たな』


 俺たちは領主館を後にした。










「ふむ、例の英雄君がこの国に来ているのか」


 ニュースになっている。アクア方面の国境警備隊が接触し、新たにアクアでの事件の情報が発信されているようだ。

 しばらく前に初めて情報が入った時は、ガイアで起きた事件と、その情報をガイアの騎士が伝えてきたという内容だった。

 ガイアでもアクアでも英雄となった青年。果たしてどんな思考をしているのか。


「気になるね。多分この王都リーズトルストにも来るだろうし、軽く実験してみようか」


 かれこれ150年は生きているが、未知を知ろうと動く時こそが生きる楽しみと言える。

 だからこの組織は本当に邪魔なんだけど……。仕方ない。流石に死にたくはないからね。


「まったく、生き辛い世の中だよ」


 自由に外に出られたら、もっと未知を追い求めることが出来るのに。

 せっかくこんな生まれなんだから、もっといろんな物を見せた方が有効に使えるとは思わないのかな。


「そんな柔軟な思考が出来るなら、こんな状況にはなってないか」


 魔法技術局が作った物に合わせて国が動くようでは駄目だ。国が主導して開発を命じるくらいでないと。

 でも頭の固い局の上は、現状の好き勝手出来る状況を壊したくないため、変化を嫌う。


 優秀な開発者を外に出すなんてもってのほか、まず間違いなく許さない。


 そうでなくても、外になんて出られないんだけどね。体質的に。


「ホント、生き辛い世の中だよ……」

 これにて一区切りということで、明日は閑話を投稿します。

 今までは閑話は一気に投稿していたんですが、ストックが減ってきてしまったため、閑話も1話ずつとさせてください。今回の閑話は3話あります。

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