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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第3章 清風国ウィンド
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第88話 閑話:エイミーの誕生日

 閑話2話目。エイミーの誕生日が来ました。

 ちょっとしたアクシデントはあったが、予定通り南に向かって歩を進める。

 カフィの遺跡を出発してから20日ほど、この日が何の日なのかと言えば、


「今日はあたしの誕生日ッス!」


「そんなにアピールしなくてもちゃんとわかってるって」


 そう、エイミーの誕生日だ。


「これで16歳になったってんだからなぁ」


 エイミーの頭をポンポンしながら言う。全く身長が伸びていない。


「子供扱いしないで欲しいッス! もう16歳ッスよ!」


「はいはい、大人大人」


「そうやって子供扱いしないで! って騒ぐところが余計に子供みたいですわね」


「クラリス! あたしの方が2つもお姉さんなんスからね!」


「そうですわねー」


 とても微笑ましいものを見る目でクラリスがエイミーを見ている。

 実際こうやって騒いでいる時のエイミーはとても可愛い。見ていて優しい気持ちになれる。

 普段から可愛いけどな。更にってことだ。


『シスコンですねぇ』


『良いじゃない。妹を大切に想うのは良いことだわ』


『あたしたちのことも大切にしてよね!』


(大切にしてるだろ?)


『主様の仰る通りでございます。主様は常に私たちのことを考えてくださっていますよ』


『例えば?』


『主様の体内にいるとその優しいお気持ちが伝わってくるのです』


『ええー、気持ちだけじゃん』


『剣という道具に対して優しいお気持ちでいてくださるということがどれほど素晴らしいか、理解できないと?』


『わかったわかった、そんなに凄まないでよ……。怖いなぁ……』


(一応言っておくと、俺はお前たちを道具だとは思ってない。家族だと思ってる。それだけはわかってくれ)


『まああたしもそれはわかってるけどね』


 実は剣だけが友達だった時期が俺の人生で一番長いんだよな。とても道具なんて思えない。


「兄さん! 今日はあたしの言うこと何でも聞いてもらうッスよ!!」


「ん? ああ、良いぞ。何して欲しい?」


「ちょっ!? ユーリさん、それは……」


 何やらクラリスが慌てている。でも、


「じゃあおんぶ!」


「はいよ」


 エイミーのお願いなんて可愛いもんだ。そんなに心配することはないと思う。


「んふふー。すりすりー」


「あんますりすりすんな。くすぐったいだろ」


「今日は何でも言うこと聞かなきゃダメッスよー」


 まったく、調子に乗ってるな。


「……ずいぶん甘えんぼになりましたわね」


「ま、こいつも俺と似たようなところがあるしな」


 手を後ろに回して頭を撫でてやる。そうするとその手に頭をこすり付けてくる。

 全力で甘えてくる。それも良いだろう。最近親への気持ちがあふれてしまったばかりだから、エイミーの気持ちも良くわかる。

 旅に出る前に母親と別れたのに、旅に出てからも辛い別れがあったからな。少しは甘えさせて発散させてやりたい。

 今までも甘えてきたら好きにさせてやろうと思っていたんだが、自分から甘えてくることなんてなかなかない。良い機会だ、存分に甘えれば良い。


「ほらほら、進むッスよ!」


「じゃあ、行こうか」


 止まっていた歩みを再開する。あと10日ほどで目的地だ。






「あーん」


「……何で俺が食べさせられてるんだ? 普通逆じゃないのか?」


「あたしがやりたいんだからこれで良いッス! ほら、あーん」


「……あーん」


「美味しいッスか?」


「ああ、美味いよ」


 作ったの俺だけどな。エイミーはパンに肉と野菜を挟んでタレをかけたものが好きだ。だから作った。

 そして何故かそれを俺が食べさせられている。とても食べにくい。こういう料理は自分で持ってかぶりつく方が食べやすいんだ。まあ、従うが。


「……美味しいですわねー」


 クラリスが遠い目で同じものを食べている。もちろん自分で持って。目の前でこんなの見せられたら遠い目もしたくなるわな。


「はい、あーん」






「ふんふんふふーん♪」


 エイミーが俺の腕にしがみついてご機嫌に歩いている。今にも走り出しそうな軽やかなステップだ。


「そんなに楽しいか?」


「楽しいッス!」


「なら良いが」


 まあ楽しそうなのは見てればわかるんだがな。そこまで楽しいものかと疑問が浮かぶだけだ。


「封! 縮!」


 襲ってきたモンスターがクラリスによって葬られる。何だかいつもより気合が入っている気がする。



螺穿流(らせんりゅう)遥断(ようだん)!!」



 物凄く気合が入った魔法で遠くのモンスターが打ち抜かれる。


「クラリス、大丈夫か?」


「え? 何がですの? 全く何も問題ありませんわ」


「そ、そうか」


 とても良い笑顔だ。






「もう夕方ッスか……。楽しい時が過ぎるのは早いッスね」


 日が傾いてきた。なかなか疲れる1日だったな。


「じゃあそろそろプレゼントを渡そうか」


「用意してくれてたッスか?」


「言っただろ? 考えとくって」


 フィーからネックレスを取り出す。俺が姫様にもらったものと似た形のやつを選んだ。石の色は赤いけどな。


「わぁ……! キレイなネックレスッス! これもらって良いッスか?」


「ああ。魔法を2回込められる石だ。3回のは売ってなかったからそれで我慢してくれ」


「私が2回分結界魔法を込めておきましたわ。危ない時に使ってくださいな」


「クラリスもありがとッス。でもあたしが危なくなることなんてないかもしれないッスねー」


「そんな油断して、痛い目に会っても知りませんわよ」


「……冗談ッス。兄さんもクラリスもありがとッス」


「どういたしましてですわ」


「ちゃんと使えよ?」


「わかってるッスよ」


 さて、プレゼントも渡したところで、飯にするかな。


「ご飯ッス! その後は皆で一緒に寝るッスよ!」


「え? 私もですの?」


「3人一緒で良いッス! きっと楽しいッスよ!」


「独り占めしても良いのに……。ふふ、じゃあ一緒に寝ますわよ」


「だから寝られなくなるって言ってるだろうが……」

 閑話はこれで終わりです。明日から本編に戻ります。

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