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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第3章 清風国ウィンド
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第83話 ラフィール観光

 図書館から出る。さて、どこを回ろうか。


「何か見たいものはあるか?」


「魔力アンテナが見てみたいですわね」


「良いかもな。この国特有の施設だし、一度見てみるか」


 宿で描いてもらった地図を参考にアンテナを目指す。と言っても、地図がなくても行けたかもしれない。ここからでもその高い塔が見えている。

 この街は今まで立ち寄った街に比べて背が高い建物が多いが、その中でも一際高いその塔は、鉄で組まれた細長い形状をしている。


「高いッスねー。こんなのどうやって建てたッスかね」


「魔法技術の産物だろうな。こんなに高くする理由はわからんが」


「人の魔力の影響を受けないためだと思いますわ。あまり低いと街の住民が発する魔力に影響されて上手く送受信出来ないのだと思います」


 そういうものなのか。低い塔で受信すると、テレビの映像が乱れたりするんだろうか。


「塔から線が延びていますでしょう? この塔で受信した魔力をあれで街の各地に届けているのですわ。線でやり取りする分には人の魔力に影響されないので、受信した内容をそのまま伝えられるのです」


「さっき少し図書館で調べただけでそんなに理解できたッスか? やっぱり頭良いッスね」


「確かに。もう少し勉強すれば魔法道具も作れるようになったりするんじゃないか?」




「そんなに甘く見てもらっては困るんだが」




「え?」


 アンテナ塔の前で話していると、薄い緑髪の男性に声をかけられた。


「魔法道具作成はエリートの仕事だ。魔力送信の仕組みを多少かじったくらいで出来るなんて舐めたことを言われては困るんだよ」


「それは申し訳ない。俺たちはこの国には来たばかりでな。それがどれだけ難しい仕事なのかを知らないんだ。許して欲しい」


「ふん。ならこれからは気をつけるんだな。この国には名目上の王はいるが、実質的に国を動かしているのは魔法技術局だ。なにせ魔法道具の開発がそのまま国の方針を決めているんだからな。魔法技術を軽んじる発言は自分の首を絞めるぞ」


「ああ、気をつける。忠告ありがとう」


 男性はアンテナ塔に入っていった。この塔を管理している人なのだろうか。ということは彼も魔法技術の何らかの職人ということになる。彼の仕事を軽んじる発言をしてしまったのだろう。怒られて当然だ。気をつけよう。


「もう行くか。悪いな、不用意な発言で怒られてしまった」


「いえ、重要な情報を聞くことが出来たと思いましょう。魔法技術局には逆らわない方が良さそうですわ」


「そうッスね。一国を相手に喧嘩は出来ないッス。それにしても怖かったッスねー。頭良い人の怒り方は威圧感あるッス……」


「そうだな。ただ怒鳴りつけられるよりも、何となく怖いよな。でもさっきの人は俺たちを気遣ってくれてた感じもしたし、そんなに怖くはなかったと思うぞ」


「怒りながらも、知らないならこれからは気をつけろよ、と忠告してくれていたようでしたわね」


「……それって、魔法技術局に逆らうと本当にヤバイことになるってことッスよね?」


 確かに。あんな忠告をされるということは魔法技術局に逆らう発言は明確に危険があるということ。本気で発言には注意するべきかもしれない。


「今更ながら、彼が良心的な人で良かったのかもしれないな……」


 俺たちは魔力アンテナを離れた。






「どこも魔法技術が使われたものが多いな」


「そうですわね。家庭用品も小さい物から大きい物まで様々な機構が組み込まれているようですし、農作物も栽培に使用した道具が明記されていますわ」


「面白いッスね。服にも気温に関わらず快適に過ごせる技術が使われているみたいッス」


 街を回っているが、見たことがない物がたくさんあって面白い。この国の人々は、これらの道具で快適に過ごしているのだろう。


「ここは武器屋か。そういえばこの街の魔法道具開発は武器をメインにしているらしい。何か面白い武器があるかもしれないな」


 入ってみる。一目で見たことない武器が山ほどあるのがわかる。説明プレートを読まないとどんな武器なのかわからないな。


「穂先が赤熱する槍、風で射出速度が上がる弓、振るうと重さが増すハンマー、凄いな。迷宮で出そうな武器がたくさんだ」


 迷宮産の武器と同様、魔法機構を組み込むためにやや強度が落ちているようだが、それでも使える物は多いだろう。

 俺には使えないが。どの武器も自分の魔力を使うからな。俺が使うとただの脆い武器になってしまう。


「刃部分を飛ばして攻撃するナイフッスか。刃と柄がワイヤーで繋がっていて敵の捕縛にも使える一品。良いッスね。何かに使えそうッス」


「そんなの使いこなせるのか? ワイヤーで敵を捕縛するなんて、かなり難しいんじゃ」


「要は先端に重りが付いた縄みたいな物ッスよね? なら大丈夫ッス」


 やっぱり器用だな。縄の扱い方まで習得しているのか。


「あ、これ巻き取りも出来るッス。便利ッスね。射出と巻き取りに少量魔力を使うだけなんであたしでも使えるし、良いものッス」


「クラリスはどうだ? 何か欲しいものあるか?」


「私は武器は使わないので、特には。見ていて面白くはありますけどね」


「じゃあエイミーのナイフだけ買って出るか」


「2つ買うッスー」


 武器屋を出た。そういえば銃はなかったな。警備隊でも滅多に使わないそうだし、一般に買えるものではないのか。







 宿に戻ってきた。色々収穫はあったし、この国についても結構わかってきたし、良い1日だったな。


「じゃあ俺は部屋に戻ってるから。明日は自由にして、明後日出発にしよう」


「了解ッス」


「自由ですか。どうしましょうかね」


 エイミーとクラリスは同じ部屋に戻っていく。俺は1人部屋だ。


「えーと、明かりのスイッチが……これだったな」


 壁についているスイッチを押す。部屋の天井についた明かりが点いた。


「テレビを見てみるか。えーと、このたくさんスイッチがある道具の……これが起動スイッチだったか」


 片手で持てるサイズのたくさんスイッチが付いている道具の左上にある、大きな赤いスイッチを押すとテレビが点いた。

 同じ道具の番号スイッチを押してチャンネルを変えていく。


「お、ニュースか。この国で起きた出来事がすぐにわかるなんて便利だよな」


 ニュースには黄緑髪の男性が映っていて、ウィンド国内であった出来事を話している。




「本日、魔法技術局本部第三開発室室長、ライラ・メルダ氏より新たなる発明の発表がありました」


 テレビに映ったのは、輝くエメラルドグリーンの髪をした幼い少女。見た目の年齢としては10歳ほどだろうか。

 しかしその見た目とは違った落ち着いた様子で、自身の発明品についての説明を行っている。


「ウチが今回作成に成功したのは、これ。新しい繊維だよ。この繊維は現在服に使われている繊維の5倍の強度があって、しかも汚れが簡単に落ちる優れものさ」


 泥で汚れた服に水をかけると、こすったりせずに簡単に落ちていく。レイル女学院の制服と似たようなものだろうか。


「しかもこの繊維、とても作るのが簡単なのさ。まあわざわざテレビで長々と製法について語ったりはしないけれど、今までより格段に安く服を販売できるようになるはずだよ。服以外にも用途はあるだろうね」


 へぇ、凄いな。安く、丈夫で、汚れない、まさに理想の服だ。そんな物をこの幼い少女が開発したのか。


「ウチはこれからも色々新しいものの開発に取り組んでいくから、応援よろしくー」


 淡々と話す少女の発表を映していた画面が切り替わり、先ほどのニュースを読み上げていた男性が再び出てくる。


「以前から多くの道具を開発してきたメルダ氏ですが、ここ二年ほどは特に多くの発明が成されています。これからの発明にも期待が高まります。それでは次のニュースです」


 そろそろ寝るか。明日は何をするかな。

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