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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第2章 流水国アクア
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第71話 エイミーの技開発

 女性同士の恋愛要素は全くないんですが、女性同士のそれっぽい触れあいが不快な方がいる可能性を考慮し、キーワードを追加しました。

(あたしは何が出来るんスかね……)


 そんなことを考える。首都襲撃の時も、妖精の時も、結局何もできなかった。

 兄さんは色々助けられてるから気にするなって言ってくれる。


 でも、本当にそうだろうか?


 あたしは確かに色々細かいことが出来ると思う。

 でもそれはあると便利というだけで、ないならそれはそれで問題ないことばかりな気がする。

 あたしにしか出来ない役割。そんな物、本当にあるんだろうか。


 兄さんに技を教わって自分なりに使いやすいように改良したりもした。

 兄さんの技はあたしには使えない物ばかりだけど、1つだけ使いこなせるようになった。

 鏡花水月、高速の移動技。ただ、あたし流に改造したこの技には欠点がある。


 力を抜いて速度を上げる関係上、攻撃が出来なくなる。


 兄さんは高速で接近し、その勢いのまま攻撃する。それは必殺の一撃とも言える強力な攻撃だ。

 でもあたしが同じことをやると、威力が激減する。移動にしか使えなくなってしまった。

 旧都でお化けと戦った時、移動からの攻撃で倒すことが出来たのは、敵がお化けだったからだ。全く攻撃力がなくても倒すことが出来た。


 新しい技が必要だ。兄さんの真似じゃない。あたしのための技が。





 妖精がいた村から南東に向けて進む。

 村を出発してから10日。今は森を進んでいるところだ。


「この辺りには何もいないみたいッスね。もう少し先まで見てくるッス」


「あ、おい!」


 森の木々を足場に跳ぶ。木から木へ跳び移り、先に進んで偵察する。

 この森はモンスターの領域ではないのか、あまりモンスターを見かけない。

 代わりにモンスターではないリスやタヌキ、キツネなんかの動物がいるようだ。


 偵察ついでに、技の開発に取り組む。

 木々を高速で跳びまわり、短剣を振るう。

 自分の強みはやはり素早さだと思う。それを活かした技が完成すれば、戦力になれるかもしれない。

 もしくは魔法とか。近接戦闘しながら魔法を使った戦い方は兄さんにもクラリスにも出来ないことだ。あたしも魔法なんて使えないから1から勉強しないといけないけれど……。


(いまいちパッとしないッスね……)


 ただ跳びまわっているだけではどうにもならない。やはり実戦でないと強くはなれないのか。

 周囲の気配を探る。多少モンスターはいるようだが、大した敵ではない。新技開発の足しにはなりそうもない。




 気づくと、兄さんとクラリスの気配がかなり遠くなってしまった。いけない、夢中になり過ぎた。一度戻ろう。

 引き返す。その途中、木の葉が舞っているのが見えた。



 だから、何となく、その木の葉を斬ってみた。



 フワリと舞って、斬ることができない。

 これ……良いかもしれない。


 別の葉が落ちてくるのを探す。すぐに見つかった。

 木々を足場に跳び上がり、どんどん高度を上げていく。

 そのまま葉に向かって跳び、斬りつけた。

 葉が舞い上がり、斬ることができない。別の木を足場に反転、もう一度同じ葉を斬りつける。

 もう一度。もう一度。だんだん速度が上がっていく。葉が舞って避けるスペースがなくなっていく。




 そして、葉が全く同じ場所から動かなくなり、ズタズタに切り裂かれる。




 技の完成形は見えたかもしれない。でもあたしの力では敵を打ち上げられない。地上にいる敵に、葉にやったように跳びまわって斬りかかるのは難しい。

 例え敵が空にいたとしても、周囲に足場になる物がないと使えないのでは、使いどころが少なすぎる。


 結局、技は完成しなかった。






 魔法についても少し考えてみよう。簡単な魔法でも何か使えるようになれば、もしかしたら強くなれるかもしれない。

 という訳で夜寝る前、テントの中でクラリスに頼んでみる。


「クラリス、魔法を教えて欲しいッス!」


「急ですわね……。どんな魔法ですの?」


「わかんないッス。とりあえず何か使えたら助かるかもしれないなーって思っただけッス」


「何て曖昧な……。向いている属性は?」


「調べたことないッス」


 魔法なんて全く触れてこなかった。兄さんも魔法については全くわからないし、今まで魔力で何かしたことといえば、魔力活性で兄さんの怪我の治りを促進したくらいだ。


「それでどうやって教えろって言うんですの……」


「この場で調べられないッスか?」


「出来ないことはないですけど……」


「じゃあ調べて欲しいッス!」


「はぁ……。普通は家族にやってもらうものなのですが……。仕方ありませんわねぇ……」


 何だか気が進まないみたいだ。何か大変なんだろうか。


「とりあえず寝袋から出てください」


 言われた通りに寝袋から出る。


「そのまま寝ころがっていてくださいね」


「わかったッスけど……。何か近くないッスか?」


「仕方ないでしょう。こうしないと出来ないのですから……」


 更に近づいてくる。そして、抱きしめられた。

 凄く柔らかいものが顔に当たっている……。何か包まれるみたいな……。


「じゃあこのまま魔力を放出してください。少しですわよ、少し」


(ああ、凄い気持ち良いッスねぇ……。このまま眠ったら天国に行けそうッス……)


「聞いてますの? 魔力を放出して欲しいんですけど?」


(ほわぁ……)


「……。ふんっ!」


「あだぁ!? 何するッスか!?」


「こっちのセリフですわ! 人の胸に顔を埋めて何やってるんですの!! さっさと魔力を放出しなさい!」


 怒られた……。ほんの少し魔力を放出する。


「もっと少しで良いですわ。ええ、それくらい。じゃあ行きますわよ」


 そう言ってクラリスも少量の魔力を放出してくる。そして、




 前髪を少し揺らす程度の、ほんのり湿った風が吹いた。




「風ですわね。ちなみに湿っているのは私の水の影響ですわ。結界は別として、私が最も得意な属性魔法は水なんですの」


「へぇ。こんな風に向いている属性がわかるんスねぇ」


「そもそもエイミーさんは何で自分の得意属性を知らないんですの? 確かお母様と一緒に生活していたのですわよね?」


「そういえばお母さんと魔法の話をしたことって一回もなかったかもしれないッスねぇ。仮に得意属性がわかっても魔法を教えてくれる人なんていなかったし、わざわざ見なくても良いと思ってたのかもッス」


「魔力活性はどうやって知ったんですの?」


「迷宮で荷物持ちやってた頃に探索者がやってるのを見て覚えたッス」


 迷宮探索で傷ができると、大体の人は魔力活性で治りを促進していた。わざわざやり方を教えてくれる人はいなかったが、何とかできるようになった。

 魔力活性のやり方が常識なのを知ったのも探索者からだった。魔力活性が苦手な人に、まだ上手くできないのか? こんなの誰でもできるぜ、なんて言ってからかっている人がいた。それを聞いてなおさらできるようにならないとって練習した覚えがある。


「やはり苦労してきたのですわね……」


「何しんみりしてるッスか。それより魔法ッスよ。何か簡単な風魔法教えて欲しいッス!」


「それは明日にしません? もう眠いですわ……」


「あ、ゴメンッス。そうッスね。明日教えてもらうッス」


「じゃあお休みなさいませ」


 そう言って自分の寝袋に戻っていこうとするクラリスの手を掴んで止める。


「……何ですの? 早く寝たいんですが……」


「あの……一緒に寝ちゃダメッスか……?」


「ええ……? 急にどうしたって言うんですの?」


「おっぱいの感触が……」


「ふんっ!!」


「あだぁっ!?」


「1人でさっさと寝なさい!!」

 エイミーには頑張って強くなってもらいます。

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