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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第2章 流水国アクア
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第63話 閑話:お嬢様の華麗なる旅路

 閑話4話の3話目です。

「クラリス、それは……何をやってるんスか……?」


「え? 料理ですわ」


「それを料理と呼ぶのは世の料理たちに失礼だからやめて欲しいッス」


「何てこと言うんですの!?」


 旅を再開して早速、皆無だというクラリスの生活能力が発揮されている。


(これは……酷いな……)


『マスター、近寄っちゃダメです。刺されますよ』


 食材の切り方がそもそもおかしい。お前は人を刺そうとしているのか?

 そしてそのサイズの食べ物が食卓に上がったことがあったか? もっと小さく切られてはいなかったか?

 調味料って知っているか? その料理にどんな味があると言うんだ?


「さあ、召し上がってくださいまし!」


 そうして完成したのは、ゴロゴロという言葉では表しきれないほど各食材が大きい、食材そのままの味しかしない煮物だった。

 とてもじっくり煮込んだお陰でなんとか食べられる程度には煮ることが出来ている。もちろん煮過ぎた部分と火があまり通っていない部分があるが。


「うん……。まあ食べられる……」


「兄さん、塩取って欲しいッス。流石にこのままはキツイッス」


「ほらよ」


「うう……。何でこうなるんですの……?」


「まずはちゃんと切ることから覚えような……」








「ああ! クラリス、そんなに乱暴にしたら下着が破れるッス!」


「え? 強くこすればこするだけ良いのではないんですの?」


「下着を引っ張ったら破れることくらいわかれッスーー!!」


 自分の服は自分で洗うのが俺らのルールだ。エイミーは当番制でも良いと言っていたが、流石にな。


「んーちょっとユーリさん、手本を見せて欲しいですわ」


「エイミーに頼め」


「ああ! 下着を見せびらかすんじゃないッス! 羞恥心はどこに置いてきたッスか!?」


 お前もな。とはいえ確かにこの行動はおかしい気がする。


「羞恥心? 何か恥ずかしいことしましたかしら?」


「クラリス……。そのスカートめくってやるッスよ……?」


「何を言ってるんですの!? そんなことされたら下着が見えてしまいますわ!?」


「それが恥ずかしいと思えるなら何でわからないッスか……」


「ええ……? 穿いていない下着なんていつも誰かが洗っていますし……」


「まずはどうして俺らが自分の服は自分で洗うなんてルールにしているのか考えるところから始めようか……」








「へぇ、これがテントというものですか。始めて見ましたわ」


「ま、そうだろうな。とりあえず張り方を教えるから、自分が寝る用のテントは自分で張ってみな」


 勝手に張られるテントも持っているが、旅をするならテントの張り方くらい覚えておいた方が良い。


「それぞれ別のテントで寝るんですの?」


「……お前は俺と一緒に寝る気か?」


「え? テントとはそんなに狭いものなんですの?」


「これがどうやったらそんなに大きくなるように見えるんだ……」


「ま、まあ……? どうしてもと言うのなら一緒に寝るということでも……」


「はいはい、こっち来るッス。あたしが教えてやるッスー。というかテントはあたしと一緒で良いッス。勝手なことしないように見張っておくッス」


 結局エイミーが教えるのか。俺が教えられる部分は俺がやろうかと思ったが、まあ良いか。








「んー、野宿も案外楽しいものですわねー」


「そうッスか。寝袋でもちゃんと寝られるあたり、お嬢様にしてはずぶといッスね」


「誰がずぶといですの!? 環境適応力が高いと言ってくださいまし!」


「さて、朝食作るか」


「あ、私がやりますわ」


「いや、昨日の晩はお前とエイミーがやったし、今日は俺が」


「やらせてくださいまし!」


「……まあやりたいって言うなら構わんが。エイミー、見てやってくれ」


「はいッス。せめてまともに食べられるものができるようにするッス」


 そうして完成したのは、パンとサラダのごく普通の朝食だ。


「パンはもともと完成していたものを置いただけにしても……。このサラダをクラリスが?」


「はいッス。昨日の今日でもう包丁の扱いが上手くなってるッス。スゴイ成長速度ッスよ」


「ふふん。さあ召し上がれですわ!」


 食べてみる。まあ切って千切って盛り付けただけと言えばそうだが、普通に美味いな。ん? このドレッシング……


「このドレッシングもクラリスが?」


「そうですわ。調味料の扱い方を教えてもらったので、作ってみましたの」


 こいつ……天才なのでは……? 教えれば何でもできるんじゃないのか……?

 環境適応力が高いというのは本当のようだ。1週間もすれば特に問題なく旅が出来るようになっているだろう。


「スゴイな、クラリスは」


「ふふん、当然ですわ!」


 本当に凄い。クラリスが旅についてこられるかが不安だった。

 もしかしたらお嬢様らしく、こんなに歩けないですわ! こんなもの食べられませんわ! 全部やってくださいですわ! なんてわがまま放題される可能性も考えていた。

 もちろんそんなわがままを許す気はなかったが、予想以上に旅適正があるらしい。色々やらされることに文句を言うこともないし、素直に言うことは聞くし、上達は早いしで何も言うことはない。

 体力は俺はもちろんエイミーより大分足りないが、少し休憩してやればすぐに回復する。あの日の戦闘で何度も立ち上がってきたのは、気合だけでなくそういう特性も関係しているんだろう。

 戦闘では結界魔法でとても助けてくれるし、簡単な回復魔法や各属性魔法も使えるし、活躍の場はいくらでもある。


 結論として、クラリスは全く足手まといにならない。どころかかなりの戦力だ。


「教えるのが楽そうで良かったッス」


「ああ、これならすぐに教えることもなくなるだろ」


「やってやりますわー!」

 クラリスは色々才能あふれる子ですという話です。

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