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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第1章 大地国ガイア
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第46話 巨大スライムの倒し方

 フィーで突いてみる。スゴイ弾力で押し返される。だが覆いかぶさろうとはしてこない。


「こいつ、もしかして動けないのか?」


『ぽよんぽよんして面白いですね』


「どうやってこんな状態になったんスかね?」


「もしここから動けないようなら、このまま放置しても……」


 ポンッとスライムが生まれた。このスライムが生み出したのか?


「スライムは普通、悪性魔力から生まれるはずですが……」


「こいつスゴイ成長してるし、新しくスライムを生み出す能力でも得たんじゃないッスか?」


「何でこんなに成長したんだ……?」


『……気配は1つ、でも急に生まれる』


 わからないが、こいつを放置することはできなくなった。さて、どうするか。


「兄さん、もっと長距離を攻撃できる必殺技はないんスか?」


「んー、なくはないが……。あまりやりたくないんだよなぁ」


「あるんスか? 何でやりたくないんスか?」


「……気絶しそうになる」


「ええ……。どんな技ッスか……」


「まあ……やるかぁ……。倒れたら帰りは頼むぞ」


 透明なスライムなので、コアは見えている。それに狙いを定めて……



 集中する。時間が遅くなり、視界から余計なものが排除される。



 力を溜める。障害を排し、全てを貫くまで。



 集中を全く乱さず15秒、力を溜め続ける。




 穿つ




一輪穿通(いちりんせんつう)空挿花(からさしばな)!!!」




 放った一閃はスライムの体を抵抗を感じる間もなく突き抜ける。

 明らかに剣が届かないコアまで貫き、その全ては消えていった。




 一輪穿通・空挿花

 一輪刺しと大輪牡丹を合わせた技だ。溜めれば溜めるだけ強くなる一撃を、振り降ろしではなく突きで放つ。

 15秒溜めきると、その衝撃は剣が届かない先まで飛び、離れた対象を貫くことも可能になる。

 この合わせ技、威力の面では申し分ないんだが、極限まで集中した状態から更に力を溜める時間がかかるため、放った後集中のしすぎで目の前が真っ暗になる。気絶することもある大変な技だ。




「うぁ……」


 座り込む。視界が暗くなり、頭がチカチカする。


「ちょっ、大丈夫ッスか!? 兄さん!」


『技の組み合わせはやっぱり負担が大きいです……』


「あー、なんとか意識はある……。待ってくれ、しばらく動けん……。部屋の中はどうだ? もうスライムはいないか?」


「はい、ユーリさんのお陰でスライムは1匹も見当たりません。ここまでの道中見つけたスライムは殲滅してきましたし、もう大丈夫だと思います。ありがとうございます」


「それは良かった。これでまだまだいます、なんて言われたらどうしようかと」


「エイミーさんはユーリさんを見ていてください。わたしは部屋の中を見てきます」


「わかったッス。兄さん横になってください。あたしが枕になってあげるッス」





 30分くらい横になり、大分回復してきた。もう動けそうだ。


「エイミー、もう大丈夫だ。ありがとう」


「そうッスか? もっと休んでても良いッスよ?」


「大丈夫だって。それよりノールさんはどうした?」


「そういえば部屋の中を見てくるって言ったきり戻ってこないッスね」


 何かあったのか? 様子を見に行くか。


 部屋の中に入る。スライムが詰まっていた部屋は何もなく、ただ空洞が広がるのみだ。

 その奥、こちらに背を向けて、ノールさんがしゃがんでいるのが見えた。


「ノールさん?」


「あ、ユーリさん。もう大丈夫なんですか?」


「ええ。何をしているんです?」


「これ、見てください」


 そう言って見せてきたのはこぶし程の大きさの輝く石。


「もしかして、魔法を込めることができる石ですか?」


「そうです。ただこんなに大きな石は見たことないですよ。加工してみないと何とも言えませんが、10回分くらい魔法を込められそうです」


「10回!? 3回分の石でもすごい値段だって言ってたのに10回ッスか!? いったいいくらになるんスかね……」


「値段がつけられないかもしれないですね……」


 恐ろしい物が採れてしまったようだ。


「このレベルの大きさの石がごろごろしてるんです。もう一生お金に困らないですよ」


 よく見ると、確かにそこらに大きい石が落ちている。不思議なのは、まるで磨いてあるかのようにキラキラ輝いていることだ。


「この石って自然の中でこんな磨かれたように輝くんですか?」


「いえ、普通はもっとゴツゴツした石ですね。こんなにピカピカではないです。そういえばこの辺りに落ちている石はどれも磨かれたようになっていますね」


「スライムが磨いたんスか?」


「そうかもしれないですね。実際はわからないですけど、スライムくらいしか要因はなかったはずですし」


 理由はわからなくても良いだろう。持てるだけ持って帰ろう。







 翌日の昼頃、やっと小屋まで帰ってくることができた。


「改めて、ありがとうございました」


「いえ、これも泊めてもらったお礼ですから」


「一晩泊めただけにしては貰いすぎてしまいましたね……。この大きい石を加工してきますから、もう一晩泊まって行ってください」


「いや、それこそ貰いすぎになってしまいますよ」


「大丈夫です。いっぱいありますから」


 そう言って奥の部屋に入っていってしまった。


「どうするッスか?」


「どうするって言ったって、勝手に出て行く訳にもいかんだろ。作ってくれてるのに、完成したら渡す相手がいないなんて流石に失礼だし」


「じゃあもう少しゆっくりしていくッス」






 翌日。


「おはよッスー」


「ああ、おはよう」


「ノールさんはまだ部屋にこもってるッスか?」


「そうみたいだ。まさか徹夜で加工してるのか……?」


 2人で朝食の準備をする。ちょうど準備できた頃、部屋の扉が開いてノールさんが出てきた。


「……おはようございますー。加工できましたよー」


 もの凄い眠そうにしている。やはり徹夜したようだ。


「そんなに急いで仕上げなくても……」


「いえ、加工を始めると何か楽しくなってきちゃって、止め時を見失うんですー。どうぞ、これが加工した石です」


 そういって手のひらいっぱいになりそうな、蒼く透き通る石を渡される。


「10回分、魔法を込めることができます。いつでも使えると便利だなーと思った魔法を入れてもらうと良いかもしれませんね」


「ありがとうございます。有効に使わせてもらいます」


「すいません、わたしは休みますー。お二人は旅に戻るんですよね?ここよりももう1日くらい登るとかなり苦しくなってくるので、この辺りからマスクをしていった方が良いですよー。お気をつけてー」


「わかりました。また機会があれば会いましょう。ありがとうございました」


「ありがとうございましたッス!」


 小屋を後にする。今日はほんの少し風はあるものの晴れていて、出発には良い日だ。

 気合を入れて、山登りを再開した。

 次話で第1章は終わりです。明日は第47話と大地国ガイア登場人物一覧を投稿します。そこでしか語られない予定の事実もありますので、良かったら見てください。

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