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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第1章 大地国ガイア
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第39話 会議

 襲撃の日から16日後、騎士団長クラウス・ロードナイトが帰還した。

 その間、襲撃で亡くなった方々の葬儀が行われ、復興が始まっている。


「陛下、騎士団長クラウス、ただいまワイバーン討伐より帰還いたしました」


「うむ、ご苦労であった。そなたはよくやってくれた。だが……」


「はい……。ここに来るまでに街の惨状を確認いたしました。一体何が……?」


「それも含めてこれより会議を行う。帰還早々で悪いが、そなたも参加してくれ。騎士団長も参加すべきだと、帰還を待っていたのだ」


「はっ」





 何故か王城での会議に呼ばれた。陛下のご命令とあらば来ない訳にはいかないが、一般人である俺がいるのは場違いに思える。

 参加者はまずは王族が3人。バルドロス陛下、カイン王子、リリエル王女。宰相マーカスさん。そして騎士団長と一番隊隊長のライアンさんとクレイドさん。

 そこに俺、ユーリが加わる。


「では始めようか」


 陛下が会議の開始を告げる。


「まずは帰還したばかりのクラウスへの説明もかねて、今回の事件を振り返るとしよう。宰相、頼む」


「はっ。ではまずは……」





 今回の事件の黒幕は魔王軍四天王、レッジ。奴はまずワイバーンを魔力により活性化、討伐のため騎士団長が動くよう仕向けた。

 次にブラックウルフに魔力を与え急成長させ、大規模な群れを形成。これにより多数の被害を出させ討伐戦力を割かせるよう仕向けた。が、これはユーリ殿や5名の協力者により早期に討伐、事なきを得ている。


 それを受けて、奴はユーリ殿を警戒。ユーリ殿が迷宮都市へ向かいいなくなった隙を見て、膨大な魔力を用い、王都付近に新たに迷宮を創造。これの探索のため、戦力が少なくなるのを見て、王都へモンスターを誘引、襲撃を行った。


 街は騎士の尽力と住民の協力により被害を抑えられた。城内はこれも騎士たちの尽力とクレイド殿の協力で被害を抑えた。しかし、被害を抑えたと言えども、死傷者は多数、これまでに類を見ない被害となった。


 王族の方々とわたしは緊急避難路から避難したが、それを読んでいた敵は森に幹部級と思われる敵、フォルボルを配備していた。これをユーリ殿が討伐、王族に被害はなかった。

 これらの襲撃により、城内が混乱している隙を見て、レッジ本人が大地剣ガイグランデを盗み出した。そして、これも幹部級と思われる翼が生えた男、フェイルにより飛んで逃走。ガイグランデの奪取を許してしまった。






「というのが、此度の事件の経緯となります」


「ガイグランデが……。いや、まずはユーリ君、礼を言おう。まんまとつり出されたわたしに代わり、王族を守ってくれたことに感謝を」


「いえ、結局は敵の思惑通りに事が運んでしまいました。この国を守ることは叶わなかった。とても団長の代わりを務めたなどと言うことはできません」


「ユーリ、余も感謝している。此度の敗北は敵の思惑に振り回され、適切な指示をできなかった余に責がある。誰も責めることはない。この会議でこれからの対応を決定するのだ。そなたも遠慮せず発言して欲しい」


「はっ!」


 といっても、魔王のいる封印の地へ入れない以上、どうしようもないように思えるが……。そもそも、


「あの……申し訳ありません。そもそもなぜ魔王軍がガイグランデを狙ってきたのか、わたしにはそれがわからないのですが……」


「それは私もですわ、お父様。此度の襲撃、なぜ起こったのでしょう」


「うむ、そうだな。一般には知られていないことだ。リリエルにもまだ話していなかったな。そもそも大地剣や4国の役割とは何かを教えよう」






 ガイア、アクア、ウィンド、バーンの4国の中心には、それぞれ剣が収められている。

 ガイアの大地剣ガイグランデ

 アクアの流水剣アクリアッド

 ウィンドの清風剣ウィンディル

 バーンの火炎剣バーグボルド

 この4つの属性剣を用いて、封印の結界は作られた。

 4国はこの封印の要となる剣を守護する役目がある。

 封印されているのは魔王。とてつもなく膨大な悪性魔力を放つ存在だと伝えられている。






「つまり魔王は何らかの方法で結界を越えることを可能にした。そして、完全に結界を消すために、各国の剣を奪いに来ている。そういうことだ」


「お父様。では今後、ガイア以外にも魔王の手が……?」


「そう考えられるな。もしくはまだ我が国に伝令が届いていないだけで、既に襲われているという可能性も……」


「陛下、封印の結界が破られたという報告はありません。ということは、少なくとも1つ、未だ無事である国があるということです」


「うむ。そうなると、事態を知らせる伝令を各国に向かわせねばならない。そこでだ、ユーリ。確か世界を回る旅をしているということだったが、間違いないか?」


「はい。現在は国内しか回っておりませんが、いずれは他国にも行きたいと思っております。それが何か……?」


「そなたに伝令を頼みたいと思ってな。何しろ国と国の間には巨大なモンスターの領域がある。そこを抜けるのは生半可では無理だ。その点、おぬしなら実力に疑いようもない」


「しかし、わたしでは他国の代表にお会いできない可能性があるのでは?」


「余からの手紙を持たせよう。それに報告の詳細も書いておく。おぬしはその手紙渡し、余からであると伝えるだけで良い。直接渡すことができなくとも、門番に渡すだけでも知らせることはできよう」


「他国に大勢騎士団を向かわせるのは余計な騒乱を招きかねませんからな」


「ユーリ、おぬし次はどこへ向かう予定だ?」


「流水国アクアを目指そうかと」


「そうか。では騎士から少数精鋭で火炎国バーンにも遣いを出そう。ユーリと騎士それぞれに、3国への手紙を持たせる。ユーリは北回り、騎士は南回りで国を渡り、手紙を各国の中心機関に渡して欲しい」


「ユーリ殿。アクアの中心機関は首都レイルウォーテの神殿だ。あそこは確か男子禁制だったはず。恐らく入ることは叶わないので、門番に渡すと良い」


「そうなんですか。わかりました」


「あの国は聖女が国の舵取りを行っているからね。男が近づいて余計な騒動が起こらないように、完全男子禁制にしているんだ」


「クレイド殿、よくご存知ですな。アクアに行ったことがおありで?」


「ワシは調べ物が趣味ですからな。あまり必要でない知識も多くあるのですよ」


「ユーリ、おぬしの旅を優先して良いからな。何をおいても真っ先に首都へ向かえ、と言っている訳ではない。旅で首都に着いたら手紙を渡してくれれば良い」


「良いのですか? 急いだほうが良いのでは……?」


「本来おぬしに任せることが異例なのだ。全てを騎士に任せたいところだが、今は復興もあり、あまり大勢を外に出す余裕がない。そこにありがたく任せられる存在がいるので、すまないが使わせてもらっている状態だ。バーンとウィンドは騎士が先行するはずだ。おぬしはアクアに手紙を届けるだけで構わない」


「わかりました。必ず届けさせていただきます」


「では次にユーリへの褒美だが、何か希望はあるか?」


 褒美か……。もし宝物庫に名剣があるなら迷わずそれなんだが、城にいても感じ取れないということは恐らくないだろう。


『そうですね。わたしも感じません。今はガイグランデがなくなったから、とても静かになってしまいましたね……』


(ああ、以前はあんなにどっしりとした存在感を放っていたのに……)


「いえ、特にこれと言って希望はありませんが……」


「そうか。宝物庫にある物を要求しても良いのだぞ?」


「宝物庫に何があるのかはわかりませんが……。わたしは剣を探して旅をしています。それで……」


「ああ、ユーリ君。君が探している物は宝物庫にはなかったよ」


「クレイドさん、そうなんですか?ではやはり特にありませんね……」


「ふむ……。では旅の助けにもなるだろうし、現金で報酬を渡すことで良いか?」


「そうですね。それが一番ありがたいかもしれません」


「では、後で宰相と話し合って金額を決めるとしよう。決定後渡すので、少し待ってくれ」


「はい」


「うむ。では次は復興についてだが……」


 会議は日が傾くまで続いた。








「ただいま」


「お帰りッス。会議はどうだったッスか?」


「アクアへの手紙を届けることになった。旅のついでで良いとは言われているけど、まあできるだけ急ごうと思う」


「ほえー。国の代表の手紙ッスかー。そんなの預けられるなんて、信頼されてるッスねぇ」


 信頼されている、というよりは敵である疑いをかけなくても良いと思われているんだろうな。そして自由に動かせる戦力として使い勝手が良いと。

 それでも構わないだろう。王に使えると思われるなんて、光栄なことだ。だからって俺の自由を奪って命令するようなことは勘弁して欲しいが、幸いそんな気はないようだ。


「今日までは復興の手伝いをしていたけど、明日からは旅の準備をして、陛下に出発を告げて、まあ3日後くらいかな。それくらいにアクアを目指して出発しよう」


「了解ッス!」


 アクアへ向けて徒歩で40~50日くらい行くと、氷雪地帯に入る。そしてその先は巨大な雪山になっている。山々が連なるように国境を塞いでいて、これを越えないとアクアには入れない。

 氷雪地帯に入ってすぐにヒューリという街があるようだ。王都では防寒着はあまり充実していないが、ヒューリなら雪山に入れる装備があるはず。装備を整えないとな。











「なー、魔王様。俺はいつ行けば良いんだ?」


「ドラゴか。今しばらく待て。現在デスディが大地剣を解析している。魔力を放出し続けるのも邪魔なので、適切な封印を施さなければならない。それに、結界を消すための解析も必要だ」


「それは他の鍵を取りに行きながらでも良いだろ?」


「それぞれの鍵が放つ魔力は膨大だ。それらを近づけることでどのような影響が発生するかが読めん。不安要素はできる限り少なくすべきだ。しばらく待て」


「そうか。わかった。待ってるぜ」


(それに、できれば黒髪の青年が騒動の際にその場にいるように調整したい。ふむ……)


「レッジ」


「はっ。こちらに」


「例の黒髪の青年。世界を回る旅をしていると言っていたな。次の行き先を調べろ」


「御意」


(今まで500年待ったのだ。今更少し待たされることなど、どうということはない)

 今更ですが、王の名前を省略するとバルドになってしまいますね。全く気にしていませんでした。特に何らかの伏線という訳ではないです。大地国ガイアではバルドのような響きの名前は一般的だとでも解釈しておいていただけると幸いです。

 明日は閑話3話を一気に投稿します。

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