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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第1章 大地国ガイア
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第34話 襲撃

「何だ!?」


 建物から出ると、煙が上がっているのが見える。次いで鳥型のモンスターが飛び回り、建物を壊したり、王城へ向かっていくのが見えた。

 断続的に爆発音も聞こえている。炎魔法か何かを使うモンスターもいるようだ。


「モンスターの襲撃……!」


 リィンを抜き、モンスターの位置を探る。


「鳥型は主に王城へ飛んで行ってる。狼が散らばって人を襲っている。爆破しているのは狐か。鳥以外も城へ向かっているようだが、周辺の破壊も行っているから、鳥がいち早く城に着いている」


 王城にモンスターが多く向かっているのが気になる。王族の方々や、城へ向かったクレイドさんは無事だろうか。


「兄さん! どうするッスか!?」


「城が気になる……。だが街の住人たちを見捨てていく訳にはいかない。城には騎士がいるはずだし、ここは住民の避難とモンスター討伐を……」


「ユーリ」


「バルドさん、どうしました?」


「城が気になるなら行ってこい! ここは俺らに任せろ!」


「え……? 確かにバルドさんたちは頼りになりますけど、この数を相手に……」


「わたしたちだけじゃないわ。協会には戦える人だって残ってる。わたしたちは結構有名だから、指示に従ってくれるはずよ」


「巡回してる騎士たちだって戦ってる。それに城にモンスターが一番多く集まってるのは確かだし」


「街はあたしたちに任せて、ユーリはやりたいようにやりな! それがきっと一番上手くいく!」


「行け。ここは任せろ」


「兄さん、あたしも住民の救助にまわるッス。足の速さには自信あるんで、任せてくれて大丈夫ッスよ。姫様が心配なんスよね? 今度はあたしが兄さんを助けるッス!」


 ……まったく、頼りになるな。ここまで背を押されちゃ、残る方が信頼してないみたいで失礼だ。


「行ってきます!」


 城へ駆け出す。道中目の前に出てきたモンスターを斬り飛ばしながら駆け抜ける。












「つまり、何者かが騎士団を王都から離し、襲撃を企てている恐れがあります」


 バルドロス・グランソイル陛下へ、ユーリ君たちと話して至った可能性について報告する。

 この場にいるのは、ワシと陛下、リリエル第二王女と宰相マーカス・ハウライト、そしてカイン・グランソイル王子だ。第一王女イリーラ・グランソイルは視察を兼ねて慰労のために別の都市へ行っているため王都にはいない。


 騎士団長がいない今、強大な敵に襲われれば大きな被害が出るだろう。襲撃が来るまでに対策を講じねば。


「報告に感謝する、クレイド。実際に襲撃があると仮定して、具体的に襲撃がいつ頃か予想はできるか?」


「敵の狙いは戦力が削がれた今、襲撃すること。とするならばそう遠くない内に……」




  ドゴオオオオオォォォン!!




「何事だ!?」


 宰相が叫ぶ。部屋の前に立っていた騎士が入ってきて報告する。


「報告! 王都外門付近で爆発が発生! 原因は不明です!」


「ご報告します! 現在城へ向けて鳥型のモンスターが飛来中! 数は不明ですが多数! ただちに避難を!」


「何だと!!」


「陛下! 恐れていた事態が起きてしまったようです! 王族の皆様は避難を! 騎士よ、王族を護衛し安全な場所までお連れしろ!」


「カイン、リリエル、緊急避難路を使う! ついてきなさい!」


「はい、お父様……」


「お父様、わたしは残り戦うこともできますが……」


「ならん! お前は余の跡を継ぎ、国を背負うことになるのだ! ここは騎士に任せ避難しろ!」


「はい……」


 王族の3人と宰相を騎士2人が護衛し、緊急避難路まで向かう。ワシもご一緒するとしよう。衰えたとはいえ、戦うことはできる。通路に飾られている鎧から剣を取る。

 緊急避難路に向かう途中で、更に騎士3人を追加。城のあらゆる場所で騎士とモンスターの戦闘が起こっている。既に鳥型モンスターによって、城は包囲されたと考えるべきか。


「この部屋だ!」


「陛下、お待ちを。騎士よ、先に入り安全を確認せよ」


「はっ!」


 宰相の指示に従い、騎士が勢い良く扉を開け放ち、部屋に入る。


「問題ありません」


「よし。この絵画をどけ、出てきたスイッチを押す。すると床に穴が開く。梯子がかかっているが、それは使わず、穴の側面についたスイッチを押す、と」


 床に別の穴が開いた。ここが緊急避難路か。王族以外が知ってしまったから、この通路は二度と使えないな……。


「騎士が2人先行せよ。王族の皆様はその後についてください。わたしはその後、クレイド殿はすまないがわたしの後に来てくれ」


「承知しました」


 騎士が降りていき、下まで着いたところで合図を送ってくる。

 それを受けてリリエル王女が梯子に手をつけた瞬間、


「ぐああぁぁ!?」


 部屋の前で防衛していた騎士3人が転がり込んできた。どうやらモンスターの攻撃を受け、押し込まれたようだ。

 部屋の外に無数のモンスターの死体が転がっている。退きもせず戦ってくれたのだろう。

 部屋の中にモンスターが入ってくる。その数は7、全て鳥型のモンスターだ。


 ワシの出番か。仕方あるまい。


「皆様、お逃げください。ここはワシが時間を稼ぎますゆえ」


「クレイド!」


「なに、すぐ片づけて後を追いますよ。これでも騎士団の剣術指南を仰せつかっていたのですよ? 衰えたとて、この程度の相手に遅れは取りませぬ」


 倒れている騎士からレイピアを拝借し、持っていた飾りの剣を捨てる。不謹慎だが、倒れた騎士がレイピアの使い手で良かった。ワシはレイピアが一番得意なんだ。


「先に行くぞ、クレイド。必ず追って来い」


「陛下のご命令とあらば、違える訳には行きませぬな」


 飛び掛ってきた鳥を避け、牽制し緊急避難路の方へ行かないようにしながら、王族や宰相が梯子を降りていくのを見送る。まったく、バサバサとやかましい。


「ここは大地国ガイアの中心、王都グランソイルが誇る王城である。貴様らのような獣が立ち入って良い場ではないのだ。ゆえに、」


 レイピアを構える。戦うなどいつ振りか。どこまでやれるかわからないが、




「ご退城願おう。あの世まで」




 時間稼ぎの役目くらいは果たして見せよう。











「じゃああたしは行くッス。皆さんも気をつけて」


「まあ待て嬢ちゃん」


 大男に呼び止められた。たしかバルドって人ッスね。兄さんがお世話になったって言ってた。とはいえ、


「誰が嬢ちゃんッスか! あたしは15ッス!」


 気になるところは指摘させてもらう。まったく、すぐ子ども扱いされる……。


「え、マジか……。いや、今はそれは良いだろ。じゃあエイミー、少し待て」


「何スか?」


「敵が多いときに単独行動は危険だ。不測の事態に対処できないからな」


「兄さんを見送っておいてよく言うッスね……」


「まああいつは多分大丈夫だろ」


「バルド! 協会に残ってた戦える人を集めてきた! 指示をくれ!」


 そこで建物の中に戻っていた、ジーンって人ッスね。そのジーンさんが人を集めて出てきた。


「おう! 皆よく集まってくれた! まずは戦闘が得意な奴と、戦えるけどそんなに得意じゃねぇって奴で分かれてくれ」


 皆素直に指示に従っている。緊急事態とはいえ信頼されてるようだ。


「戦える奴を3人、戦いが得意じゃない奴を2人でチームを組んでくれ。その5人組で救助に当たって欲しい。2人で住民を護衛しながら、3人が道を切り開く感じだ」


 続々と5人組ができていく。一部4人のところもあるが仕方ないだろう。


「よし、じゃあお前らは西、そっちは東、お前らは北でお前らは南だ。お前らはここで待機、救助された人たちを守ってくれ。指示は以上! 救助した人は協会の建物に集めてくれ! 解散!」


「俺らはどうする?」


「バンドス、マリー、ジーンと、俺、サリア、エイミーの3人ずつで分かれる。それぞれ南側の救助に当たるぞ」


「了解!」


 3人ずつに分かれて走り出す。兄さんを見送った以上、1人でも多く助けないと。後で兄さんが気に病んじゃうかもしれないッスからね。

 気配を感じた手近な建物に向かう。


「まてまて、速い! めちゃくちゃ速いな、お前……」


「あの建物に人がいるッス。早く向かうッスよ」


「わかるの?」


「気配でわかるッス」


「ほう、ジーンみてぇなことができるんだな。よし、救助に向かう」


 住民を救助、協会まで送り届ける。


「次行くッス」


「ああ、案内頼む」


 救助を待っている人を探して、協会まで連れて行く。途中で狩れるモンスターは狩って進む。


 む、鳥が飛んできた。さっさと仕留める。

 建物の壁を駆け上がる。そのまま飛来する鳥の上を取り、


「せいやぁっ!」


 短剣を突き刺す。よし、仕留めたッス!


「あぶねぇぞっと」


 鳥に夢中で気づくのが遅れた。空中にいるあたし目がけて炎の玉が飛んで来ている。

 狐が打ってきた炎魔法を、バルドさんがハンマーで叩き落してくれた。

 その狐に向けてサリアさんが風の矢を放つ。これは避けられたが、隙ができた狐をすかさずバルドさんが叩き潰して倒す。


「助かったッス……」


「エイミーは結構強いのはわかるが、1つに集中しすぎだな。こんな乱戦だと命取りになるぞ」


「気をつけるッス……」


 救助を急ぐあまり視野が狭くなっていた。気をつけないと……。

 気を取り直して、救助を再開した。







「はぁ……はぁ……せいやっ!」


 どれだけ時間が経っただろうか。また1体、狐を倒した。この狐を放っておくとどんどん街に被害が出る。見つけたら優先的に倒すようにしていた。


「はぁ……流石にキツイな……。いつ終わるのかもわからねぇし……」


「魔力がヤバくなってきたわ……。悪いけど少し節約するわよ」


 ずっと街中を駆け回っているため、全員疲労が見えてきている。救助は進んでいるとはいえ、まだ取り残されている人もいるはず。休んでいる暇はない。


「はぁ……ん?」


 城の方から物凄い魔力を感じる。こんな巨大な魔力は今まで感じた事がない。

 そしてそれに吸い寄せられるように、街中に散っていたモンスターが城へ集まっていく。


「おいおい、何だこりゃ……?」


「少なくとも城で何かあったことは確かね……。どうする? 向かう?」


「あたしは行くッス」


「ま、ここで行かないとは言えんわな」


 モンスターが城に集まったなら、街は安全なはず。城へ向かった兄さんが心配だ。急いで城へ行こう。

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