第30話 閑話:悪性魔力耐性測定
予告通り、閑話を3話連続投稿します。
調査報告を受けた翌日、エイミーは清掃のため騎士隊の詰め所に向かった。
俺はどうしようか。迷宮に行きたいところだが……
『ダメです!』
『……ダメ』
やはり許してくれないようだ。少なくとも、痛みが引いて通常通り動けるようにならないと、許可は出ないだろうな。
なら、この都市の探索でもするか。何か面白い店があるかもしれない。
大通りから路地に入る。
「お? ここは…」
看板を掲げている建物を見つけた。看板があるということは何らかの店なんだろうが……。
「悪性魔力耐性測定……?」
どうやら悪性魔力への耐性を測ってくれるらしい。それって悪性魔力を扱っているんだよな? 大丈夫なのか?
「入ってみるか」
『え……。入るんですか……?』
『……怪しいけど……面白そう』
『ええー? ヤバイとこですよこれ』
「良いじゃないか。俺が迷宮をどれだけ深く潜れるのか、気になるだろ?」
『まあこれであまり耐性がないとわかれば、マスターも迷宮行きを諦めるかもしれないですし……。じゃあ入りましょうか?』
「ま、フィーが反対しても入るんだけどな」
『じゃあ何で説得するようなこと言ったんですかーー!』
『……行こう』
建物の扉を開けて中に入る。中は薄暗い明かりが1つあるだけで窓もないため、かなり暗い。
「へっへっへっ、いらっしゃい」
老婆の声が聞こえたかと思うと、奥の扉を開けて、恐らくここの店主だろう老婆が現れた。
「悪性魔力耐性の測定に来たってことで良いかい?」
「あ、はい。そうです」
「ついてきな。奥の部屋で測るよ」
老婆が出てきた部屋に戻っていく。俺もついていこう。
奥の部屋は、中央に小さい丸テーブルがあり、そこに真っ黒の箱が置かれている以外、何もなかった。
箱には穴が1つ開いている。
「その箱に手を突っ込みな」
「あ、はい」
言われるがまま、手を入れてみる。特に何も入っていないようだが……。
「じゃあ始めるよ」
そういうと老婆は、箱の側面についているダイヤルのようなものを回した。
特に変化はないようだが……。
「どうだい?」
「特に変化は感じられませんが」
「そうかい。じゃあ」
そう言って更にダイヤルを回す。
お?なんだか微妙に不快な感じが……。
「これはどうだい?」
「なんだか少し不快な感じがしますね」
「まだ少し不快なだけかい。じゃあもっと行くよ」
またダイヤルを回す。
「うっ……。なかなか気持ち悪い感じがします……」
「ほぅ、まだ余裕がありそうだね。じゃあこれで」
更に回す。
「うおぅ……。ああ……。これは……」
「ふむ、ここまでにした方が良さそうだね」
そう言ってダイヤルを逆に回す。不快感がなくなっていく。
「はぁ、良くなりました。これで測定できたんですか?」
「回復も早いねぇ。優秀だよ。ああ、測定は終わりだ」
「どうでした? 俺の耐性は」
「迷宮で換算すると……。大体20階層ってとこだね。そんな階層誰も潜ったことがないから、あくまで計算上だけどね」
「おお、20階層! 良いですね。誰も潜ったことがないところまで行けるじゃないですか!」
『あああ! 逆効果ですぅ!!』
『……マスターすごい』
(そうだろ? だから迷宮に……)
『……それはダメ』
(どうしてもダメか?)
『……どうしても』『ダメです!!』
(そうか……)
「迷宮の深くまで行くのかい?」
「ええ。今はちょっと怪我をしているので行けませんが、そのうち行きたいですね」
「この箱は迷宮の15階層で出たもんでねぇ。20階層まで行くならもっと珍しいものがあるかもしれない。何か見つけたらあたしにも見せておくれ」
「15階層! たしか最高到達階層ですよね? あなたがそこまで……?」
「いやいやまさか。あたしの息子がね。昔取ってきてくれたのさ。今はどうしてるのか、連絡もないがねぇ」
息子さんか。かなり強いようだ。気になるが、この老婆は現在の居場所は知らないようだし、聞いてもしょうがないか。
「迷宮に行ったとき、何か見つけたらここに持ってきますね」
「へっへっへっ。頼むよ」
代金を払って店から出た。ちなみに料金は大体魔力が込められた服一着分くらいだ。なかなかの値段だな。
「ただいまッスー」
「おう、おかえり。お疲れ様だ」
「いやー、結構清掃って疲れるんスねぇ。慣れないからかもッスけど。兄さんは今日何してたッスか?」
「俺は悪性魔力への耐性を測ってもらったぞ」
「悪性魔力への耐性……? そんなの測れるんスか?」
「ああ、何か偶然そういう店を見つけてな。測ってもらった。迷宮の20階まで潜れるらしいぞ」
「20階!? 聞いたこともないッスね……。あ、深くまで潜れるからって迷宮に行ったらダメッスよ?」
「お前も言うのか……」
「あ、剣たちがちゃんと止めてくれてるんスね。相棒の言うことはちゃんと聞かないとダメッスよー」
『そうですそうです! ちゃんと言うこと聞いてください!』
『……聞いて』
「わかったわかった! そう何度も言わんでも良いから! 怪我が治るまで迷宮に行かない、それで良いんだろ?」
「はいッス。ちゃんと安静にしててください」
まったく。心配性だな。
「じゃ、今日はもう寝るか」
「あ、今日も魔力活性するッスよ」
そう言って同じベッドに入ってくる。当たり前みたいに入ってくるが、大丈夫なんだろうか。少しは危機感とか持った方が良いのでは……?
とりあえず、フィーとリィンを体内に格納する。
『お疲れ様ですぅー……』『……おつー』
「じゃあ始めるッスよ。寝てても良いッスからね」
結局そのまま魔力活性が終わって一緒に寝た。




