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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第1章 大地国ガイア
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第18話 閑話:楽しいバーベキュー

 閑話3話連続投稿の最後、3話目です。

 ユーリが協会の仕事をします。それだけです。

 さて、仕事でもするかな。

 1日休んだし今日から仕事を始めよう。そう思って朝早く、協会まで来た。


 どんな仕事があるかなっと。お、こんな感じので良いんじゃないか?





 という訳でやってきました、王都前に広がる平原。

 ここでバーベキューの食材になりそうなものを集める。自生している野草の類でも良いし、肉を狩っても良い。

 そして王都内の広場でバーベキューだ。この依頼を受けた者の参加も歓迎、ということらしいので、ぜひ参加させてもらおうと思ってこの依頼を受けてきた。

 フィーから食材を取り出す訳にもいかないので、拡張袋に入れて持っていかなければならない。そのために、宿に袋の中身は置いてきた。


「野草はよくわからないし、いろいろ肉を持っていこう」


『……探す』


 リィンを抜いて周辺を探る。お、良い感じに牛がいるな。


「1頭分もあれば充分か」


 牛1頭を袋に入れる。これだけで大分容量を使ってしまうな。


「あとは鳥でも持っていくか」


 修行時代に狩って食べた中で美味しかった鳥がいたので2羽仕留める。


「よし、血抜きして袋に入れておこう」


 さっきの牛も合わせて血抜きする。俺の獣を狩って食べる技術はそこそこのものだ。10年もやっているからな。


「持っていく食材はこんなもんで良いか」


 バーベキューが楽しみだ。





「本日はお集まりいただきありがとうございます! 皆様、存分に楽しんでいってください! では乾杯!」


 そして始まったバーベキュー。主催者のおじさんは孤児院を管理している人らしい。このバーベキューは孤児院の子供たちを含めて、貧しい人たちのためのイベントのようだ。スラムの住人と思われるあまり身なりの良くない人たちが多く見られる。


「これ、狩ってきましたので、捌きますね」


「おお、こんなに! ありがとうございます!」


 牛と鳥を袋から取り出して、捌く。鉄板で焼くのにちょうど良い大きさにしないとな。子供が多いみたいだし、一切れは小さめで分けよう。


「みんな、このお兄さんがこんなにお肉を持ってきてくれたぞ! お礼を言いなさい!」


「わぁー! ありがとう!」


「ありがとうお兄ちゃん!」


「おいしそう!」


 子供たちが口々にお礼を言ってくる。一部食欲に忠実な子もいたが。こんなに喜んでもらえるなら、もっと狩ってくれば良かったな。


「ほら、焼けたぞー! どんどん食えー!」


「わーい!」


「おいしいー!」


 どんどん切り分けてどんどん焼いて、欲しがっている子たちに分けてやる。大人も取りにきたが、別に構わないだろう。まだまだある。どんどん持っていってくれ。


「ああ、わたしがやりますよ。あなたも食べてください。主催者として、客人を楽しませられないようではいけませんからな」


「では、俺が切り分けますから、焼いていってください。どんどん食べられちゃって追いつかないですよ」


「ははは、本当ですな。肉はなかなか食べさせてあげられませんからね。皆喜んでいますよ」


「やはり孤児院の経営は苦しいですか」


「いえ、充分に支援金はいただいているのですがね。最近老朽化していた建物を直しまして。今は少々辛いですね」


「ということは、建物を直すなどの大きな出費がなければ安定して経営できているんですね」


「そうですね。最近陛下はスラムや孤児院の改善に力を入れてらっしゃるそうですから。贅沢できるほどではありませんが、飢えさせるようなことにはなっていませんよ」


 スラムの改善か。仕事を増やしたりしているんだろうか。このバーベキューも結構スラムの住人が来ているようだし、まだあまり効果が上げられていないのかな。


「ねー、にーちゃん! 剣見せてくれよ!」


 おっと、男の子の興味を引いてしまった。腰に差している剣に手を伸ばそうとしている。


「危ないから、見せるだけな」


 そう言って子供の手をかわす。そしてフィーを鞘から抜いて見せてやった。


「おー! すげー!」


「わぁ! きれい!」


 おっと、女の子の興味も引いてしまった。フィーはきれいだからな。宝石でも眺めるようで楽しいんだろう。


『ふふーん♪』


『……マスター』


(わかったから拗ねるな拗ねるな)


 フィーばかり褒められてリィンが拗ねてしまったので、リィンも抜く。


「わぁー!!」


 子供たちが喜んでいる。いつの間にか食べ終わってしまったようだ。興味を引かれるものに集まってきているな。

 フィーとリィンを鞘に戻す。


「えー、しまっちゃうの?」


「ああ、そろそろバーベキューも終わりそうだしな」


 また孤児院経営のおじさんの声が聞こえてくる。


「皆さん、楽しんでいただけましたでしょうか。食材もなくなってしまいましたので、ここでお開きとさせていただきます。この広場は本日、日が沈むまで使用できますので、ご自由におくつろぎください」


「まだここにいて良いって! また剣見せてー!」


 逃げ道がなくなってしまった。仕方がない。子供たちが飽きるまで付き合おう。

 それから、またフィーとリィンを抜いて見せてやったり、軽く振って見せたりしながら過ごした。

 子供たちはとても喜んでくれた。ただ見せただけだが喜んでくれたなら良い。この子たちは、俺と同じように親がいない。だからこそ、この子たちには幸せに過ごして欲しいと思う。

 中には重い事情を抱えている子もいるだろう。そうでなくても、親がいなくなったときの出来事がトラウマになっているかもしれない。

 それでもこの子たちには、親の分まで幸せに生きて欲しい。この子たちの親も、それを望んでいるはずだから。


 バーベキューはとても楽しかった。たくさんの人が集まって笑いあっている光景はやはり良いものだ。

 また時間があったら孤児院にも顔を出そう。土産話でもしてやれば、子供たちも喜んでくれるだろう。

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