表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第1章 大地国ガイア
15/208

第14話 勝利の宴

 やっと牙が取り終わった。流石に150もあると大変だな。


「よし、今度こそ帰るぞ!」


「やっと帰れる……。歩いて帰るの考えるだけで疲れるわね」


 でもこれが大金になる訳だ。そう考えると少しわくわくするな。





 帰りは何事もなく王都まで戻ることができた。まずは依頼達成の報告をしに協会かな。門を通ると2日ぶりの王都の街並みが見える。故郷という訳でもないのに帰ってきたって感じがするな。


「門に詰めている騎士に報告してきた。城の方にも伝えておいてくれるってよ」


「じゃあ次は協会ね。依頼達成と依頼の不備について報告しなきゃ」


 全員で協会へ向かう。途中で飴が売ってたからいくつか買った。舐めながら行こう。甘みが体に染み渡る。


「あ、良いわね。わたしも買ってこよ」


「あげますよ?」


「良いの? ありがとう!」


「あたしにもくれないか?」


「お、俺にもー」


 やはり甘いものは良い。故郷にいたころはほとんど食べられなかったからな。しばらくのんびりと王都生活を満喫しても良いかもしれない。

 飴を舐めている内に協会に着いた。


「じゃあ俺は受付に報告してくるから、お前らは好きにしてろ」


 椅子に座って周りを見てみる。もう昼頃だからか、人が少ない。受付カウンターもいくつか空きがある。人が少ない時は受付も交代で休憩でもしているのだろう。


「改めて、今回はありがとう、ユーリ。わたしたちだけだったら間違いなく帰ってこれなかった」


「うん、そうだね。間違いない。ありがとう。誰一人欠けることなく帰ってこられたのはユーリのおかげだ」


「あたしも礼を言うよ。修行し直さないとね」


「感謝する」


 口々にお礼を言われてしまった。自分の力が人を助けたと思えば誇らしくもあるが、ここまで言われると何だか恥ずかしくなってくるな。


「いやいや、そんなに言われる程のことじゃないですって! 皆さん無事で良かったです」


「わたしたちはさ。お気楽に見えるかもしれないけど、実は皆それぞれ何かしら理由があってこのパーティにいるんだ。だから普段はあんまり表に出さないけど、このパーティを大切に想っているのよ」


「それを守ってくれたユーリには、感謝してもしきれないんだ。俺だけじゃなくて、皆ね。バルドだって同じ気持ちのはずだよ」


「ああ、もちろんだぜ! だからよ、ユーリ。ものは相談なんだが……」


 いつの間にか戻ってきていたバルドさんが話に参加してくる。相談?


「俺らのパーティに入らねぇか?」


 勧誘、か。確かにこの人たちはとても良い人たちだ。一緒にいて楽しいし、背中を預けても良いと思えるくらいには信頼もある。だが、


「すいません。パーティに入ることはできません」


「ダメか……。理由を聞いても良いか?」


「世界を回りたいんです。この国だけじゃない。他の国も全部回って、もっと強くなりたい」


「世界か。大きいね。やっぱ若者は大きい目標をもってなんぼだよね!」


「ああ」


「あたしも修行の旅してたからね。気持ちはわかる」


「あと……」


「あと?」


 強くなりたい。が、それだけじゃない。


「剣を探したいんですよね」


「剣? ていうとお前が持ってるような?」


「ええ。この2本は両方遺跡に収められていたものなんですよ。いろんなところを回ればもっと見つかるかなって」


「ほぉ。てぇと俺らは剣に負けた訳だ」


「あ、いや、えっとそういうわけじゃ……」


 俺からすれば剣たちは大切な相棒だが、他の人からすればただの武器だ。比べられて気分良くはないだろう。しまったな。どう言えば良いだろうか。

 何と言えば良いか迷っていると、突然バルドさんが大声で笑い始めた。


「くっははははは! いや、良い! お前は自分の好きなようにすれば良い! こんなとこにくすぶってるような器じゃねぇわな!」


 そう言ってバルドさんは、ドンッ!! っとやけに重そうな袋をテーブルに置いた。


「こいつは今回の依頼の報酬だ。全員で山分けしても1年は生活できるほどの大金だぜ」


「おおー! スゲー!」


「こんなに!? 命かけたかいがあるわね!」


「こいつを半分! お前にやる!」


「半分!? いやいや、均等に分けましょうよ!」


「いや、妥当なところじゃないか? ユーリ1人では勝てなかっただろうから半分はこちらがもらうが、逆にユーリがいなければあたしたちは勝てなかっただろう」


「そういうことだ。戦力として見たとき半々くらいだろうってな。もしかしたらユーリ6俺ら4くらいの戦力かもしれんが、まあそこは大目に見てくれや」


「受け取れませんよ! 皆さんだって楽な生活じゃないんでしょう?」


「俺らは結構稼いでるから大丈夫だ。ユーリほどじゃねぇが俺らだって強い方なんだぜ?」


「旅をしてるんでしょ? わたしたちからの餞別だと思ってもらっておいて」


「問題ない」


 餞別か。そう言われると返すのも失礼だな。ありがたいのは確かだしもらっちゃうか。


「えっと、じゃあいただきます。後悔しても遅いですよ?」


「しねぇっての。その代わり今晩の打ち上げはお前持ちな!」


「ゴチになりまーす!」


「いっぱい食べちゃうわよー!」


「楽しみにしてるよ、ユーリ」


「ふっ」


「えー、仕方ないですねぇ」





 その日の晩、皆で食べて飲んで盛り上がった。

 こんなに盛り上がる食事はしたことがない。宴会なんて俺には縁がなかった。

 良いものだ、本当に。仲間という存在は。

 こんな人たちを守るために、俺は強くなったのだろう。

 まだまだ弱い。あの狼が万全の状態だったら勝てたかどうか。

 それじゃあ駄目なんだ。大切な人たちを、どんな脅威からでも守れるように。



 もっと、強く










「おや、狼の群れが倒されてしまいましたか」


 あの群れはいずれ倒される予定だったとはいえ、それはもっと後。多数の被害を出してから、大人数を動員してやっと、という予定だった。

 それをこんなに早く。明らかな計算外の事象。


「単体で脅威になるのは騎士団長のみだと思っていたのですがね」


 あの黒髪の青年。脅威となり得る新たなる敵。これを見出すことができたのだから狼共も無駄死にではなかった。

 が、それでも


「計画の修正は必要ですか。私もまだまだ、ということですかね」


 知略のレッジ、などと呼ばれているが、計算外の出来事がある度にいちいち修正を加えねばならない内は、とても「知略の」などと自称はできない。

 更なる研鑽が必要だ。


「全ては魔王様のために」


 今は、与えられた任務を早急に達成しなければ。

 今更ですが、この作品の舞台となっている大陸について。

 ドーナツをイメージしてください。穴部分が封印の地、魔王の住む領域です。封印の地はドーム状に覆われていて、中がどうなっているのか確認できません。

 ドーナツを×印に切って、西側が大地国ガイア、北が流水国アクア、東が清風国ウィンド、南が火炎国バーンになります。

 ガイアとバーンの間が砂漠です。四属性で調べてみると、なぜそこに砂漠があるのか、他の国の間には何があるのかがわかるかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ