プロローグ
初投稿です
導かれるままに遺跡を進む。
立体交差した意味がわからない道なのに何故か進むべき方向がわかった。
どれだけ歩いただろうか。かれこれ5時間は遺跡を進んでいる気がする。
でも飽きてはこない。見たことがない風景に夢中だった。
そして、そこにたどり着く。
天井に穴でも開いているのか上から光が差し込んでいる。
その光に照らされて輝いているのは、
台座に突き立った美しい剣だった。
この世界の人々は髪に魔力が宿る。
流水国アクアの人は水色の髪、
清風国ウィンドの人は黄緑色の髪、
火炎国バーンの人は橙色の髪、
そして大地国ガイアの人は茶髪。
各国の中心にはそれぞれ異なる魔力が湧き出る剣が収められているらしく、その影響を強く受けている人ほど鮮やかな髪色をしているそうだ。
ガイアの貴族や王族は黄色の髪をしているらしい。見たことはないけれど……。
俺は大地国ガイアの辺境の村で生まれた。父さんも母さんも焦げ茶色の髪をした一般的なガイア国民だ。
だが俺は違う。
俺の髪は生まれつき黒かった。
黒髪は魔王の色だと言われている。円形のこの大陸の中央には国一つ分もの大きさの封印の地があり、半球状に囲われているその中には魔王がいるのだという。
もちろんこれも見たことはない。ただそう伝えられているだけだ。
だが見たことはなくとも気味悪がられるには十分だった。
この村は辺境の小さな村だ。異物が紛れ込めばすぐに村中に広まる。
俺たち一家が迫害されるのに時間はかからなかった。
幸いだったのは、直接害を与える攻撃をされなかったことだ。
ただ居ないものとして扱われるだけで暴力を振るわれたりはしなかった。
それでも生きていくのは困難を極めたが……。
父さんは毎日村の近くの森で動物を狩ったり木の実を取ったりして食料を確保していた。
母さんは俺の世話だ。この時俺はまだ生まれて3年も経っていない。放置できる年齢ではなかった。
母さんが読んでくれる騎士物語の本が唯一の楽しみだった。
そんな生活を続けていれば当然無理が出てくる。
俺が5歳の頃、日々の疲れがたまっていた父さんはイノシシの突進を避け損ねて怪我をした。何とか足を引きずって帰ってきた父さんだったが、とても狩りを続けられる状態じゃなかった。
それから数日は母さんが森へ出て何とか木の実などを取ってきてくれたが、やはり無理は続かない。
心身ともに疲れきっていた母さんは、
帰ってこなかった。
父さんが無理をして森へ行った。俺は完全に暗記してしまった騎士物語を読みながら父さんの帰りをただ待っていた。
夜になって、やっとドアを叩く音が聞こえた。
「とうさん!」
笑顔でドアを開けた俺の目に映ったのは、
血まみれになった父さんの姿だった。
俺に医療の心得なんてあるわけもなく。ただ泣きじゃくるしかできない俺に向かって父さんは言った。
「ユーリ……自由に…………生きろ……!」
あれから2年。7歳になった俺、ユーリは、村のゴミを漁って生きている。