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DEAR MILLENIA~ディア・ミレニア~  作者: 風雲 香月
~ドグマ大陸の争乱篇~
18/37

~皇国レミアム争乱編~ 冷突

新章突入です。ディア・ミレニア、お楽しみください!

 神聖ザカルデウィス帝国……インペリウス大陸に存在する最大・最強・最古の国。竜と人類が共存し、独自の発展を遂げた国。そこには五人の将軍と五体の竜王、そして元帥、一体の竜の大帝が存在していた。それをまとめるのが、絶対神フェイトレイド・ヴァン・デウス・ザカルデウィス。この超大国は、鎖国を基本としていた。その実態を知る者は神聖ザカルデウィス帝国出身のごく限られた人間のみであった。神聖ザカルデウィス帝国には魔族とは何も関りを持たなかった。魔界や冥界とは繋がりを持たず、その代わりに全ての竜族の故郷である覇界と深く関わりを持つ。竜族は他の種族と比べると圧倒的な力を持つ、それだけでなく、知能も高く、その総力は桁違いであった。その神聖ザカルデウィス帝国にはある夢があった。全大陸統一、世界の征服である。コル・カロリを我が物とするべく動いていた。そのきっかけとなったのがドグマ大陸最大最強の国、皇国レミアムの復活にある。皇国レミアムが復活する前は、神聖ザカルデウィス帝国はドグマ大陸に対して興味を示さなかった。征服する価値のない大陸として、神聖ザカルデウィス帝国はエギュレイェル公国との小競り合いを続けていた。しかし、皇国レミアムが復活すると同時に、戦略的に価値のある大陸と変貌したと認め、攻め込む準備を着々と進めていた。皇国レミアムと神聖ザカルデウィス帝国の全面戦争は最早避けられないものとなっていた。手始めに神聖ザカルデウィス帝国はドグマ大陸にある国々の一つを取り込む事に奔走した。その手はハーティー共和国、ティア王国、ゲイオス王国、シュテーム連邦王国に渡り、間者を派遣した。ハーティー共和国はそれを拒否した、ティア王国も拒否した、シュテーム連邦王国も同じく拒否した。しかし、ゲイオス王国はそれに応じた。将軍ガトランの闇を利用した神聖ザカルデウィス帝国は、難なくゲイオス王国を鎖国状態にさせた。


 ガトランは孤独感と虚脱感に苛まれていた。それに抑うつ状態でもあった。それに付け込んだのが神聖ザカルデウィス帝国である。レイを人質に取ったのがその始まりである。ガトランは強大な力を手にしたのはいいが、それに見合った精神力は持ち合わせていなかったのである。それを好機と見た神聖ザカルデウィス帝国は、レイを人質に取り、犯した。散々犯されて、堕ちて絶望している様を映像にして残し、ガトランに見せてから、一振りの剣に関わる事がなかったらこうはならなかったと空気を入れられたのである。ゲイオス王国の将軍という立場はあくまでも皇国レミアムへの永遠の従属を示しているのだ、お前は利用されているだけなのだ…と。ガトランの精神はそこで崩壊した。ガトランは狂ってゼイオンの副官を惨殺し、外に捨てて、ゼイオンを幽閉して神聖ザカルデウィス帝国に降伏した。そこで鎖国をして、ゲイオス王国は皇国レミアムの敵となってしまったのである。ガトランのもとにレイが返されたのはその後である。レイは廃人に近い状態で返された。ガトランはそれを見て、ある考えに支配された。それは、全て力によって解決するという事。力さえあれば、レイは苦しまなかった。力さえあれば、皇国レミアムに従う必要もなかった。ラーディアウスよりもゼイフォゾンよりも強大であれば、こんな事にはならなかった。むしろ自分は都合のいいように将軍にされて、責任を自分に押し付けたゼイフォゾンが悪いのではないか。だとしたら、全ての元凶は皇国レミアムだけでなく、ゼイフォゾンなのではないか。だとしたら、己のやる事はひとつ…復讐しなければいけない。


 神聖ザカルデウィス帝国と共に皇国レミアムを滅ぼさなければいけない。ガトランはいつしか憎しみに支配されていた。ゼイフォゾンがハーティー共和国に来た時から、自分はオーガンとイゼベルと永遠に別れる事になったのだ。死ななければいけなかったのはゼイフォゾンである。そう考えてしまっていた。自分は許せない心を呼び起こし、憎悪に支配されていた。ドグマ大陸を神聖ザカルデウィス帝国に売る事でそれができるのであれば、悪に魂を売ってもいい。ガトランは身動き一つ取らないレイを見つめていた。こんな事になるのであれば、ゼイフォゾンが全てを狂わしたのだ。皇国レミアムを滅ぼせば、ゼイフォゾンもおのずと消滅するであろう。


 しかし、ガトランはある事を忘れていた。皇国レミアムの底知れない総力である。神聖ザカルデウィス帝国に加担したとは言え、皇国レミアムは世界的に見ても伝説の大国なのだ。ゼイフォゾンだけが敵なのではない。ラーディアウスとゼハートも含め、それ以外の将軍の戦力、それをまとめる総帥ゼウレアーの軍の強さまで想像していなかったのである。ゼイフォゾンを消滅させて終わりという甘い想像では、決して終わらない話である。憎悪はガトランの天才的な頭脳を曇らせていた。神聖ザカルデウィス帝国はそのガトランを利用してゲイオス王国からドグマ大陸を混乱に陥れる事を目的としていた。


 一方で、皇国レミアムは、ゲイオス王国を陥落させる準備を着々と整えていた。皇国レミアムの軍議にゼイフォゾンも参加していた。帝王ゴーデリウス一世は、ゼイフォゾンにガトランが裏切るという未来予見を伝えたのも、この時である。ゼイフォゾンは全ての真実を受け入れる覚悟があった。文通をしていても伝わってこなかったガトランの苦しみを、汲み取ってやれなかった自分を、逆に責めた。何故、こんな事になったのか。それについてラーディアウスとゼハートも後悔の念を抱いていた。ガトランに全部押し付けて、肝心のガトランの気持ちを聞いていなかった。それについて後悔していた。神聖ザカルデウィス帝国の魔の手に染まってしまったガトランも悪かったのかも知れないが、責任は自分たちにあるのだ、ゲイオス王国を陥落させる事よりもガトランを止める方法を考えたほうがいいと、軍議ではそういう話も出た。しかし、総帥ゼウレアーは、皇国レミアムの脅威になるような国は絶滅させたほうがいいと言って、あくまでも苛烈に判断した。それを聞いたラーディアウスとゼハート、ゼイフォゾンの三名は、総帥ゼウレアーに隠れて、ガトランを止める方法を考えていた。このままゲイオス王国を陥落させたら、ドグマ大陸に巣食う神聖ザカルデウィス帝国に付け入る隙を与えてしまうのではないか。ガトランほどの戦士を失うのは、皇国レミアムにとっても有益ではないだろう…と。



「ラーディアウス、ゼハート。私は何としてもガトランを救いたい。ゼウレアーはガトランもろともゲイオス王国の民も皆殺しにする気だ。それだけは何としても避けたい。ドグマ大陸にはどうしてもゲイオス王国の存在は必要だ。このまま我々はゼウレアーの言いなりになるのもいけない。神聖ザカルデウィス帝国にとって都合の良い展開ではないか。共倒れになってくれた方が、侵攻には丁度良いからな。漁夫の利だけはさせない。だが、皇国レミアムにとって今、ガトランは大敵だ。悪逆非道な将軍というレッテルを剥がすには、私が説得するしかない。それには、皇国レミアムには何としても協力してもらう必要があるのだ。私はゼウレアーに話してくる。ゴーデリウスも分かってくれるだろうと信じている」


「俺だってガトランを止めたい。ゼイフォゾンの考えには賛成するが、ガトランは容赦なく俺たちを殺しにかかるぞ。あいつの憎しみは神聖ザカルデウィス帝国よって植え付けられたと聞いているからな。それを剥がすにはあいつの大切なものを保護する準備を整えておかないといけない。例えば、ガトランに妻がいたとすれば、それを鍵にしなければいけない。ラーディアウス、オーバーナイツを動かすぞ、いざとなれば俺たちも動かないといけない」


「私はガトランに全てを授けた。その責任を取らないとならん、ゼイフォゾンよ。お前はどう考えているか?」


「私ひとりで行く。オーバーナイツは動かすな、私が単独でゲイオス王国の軍勢と戦う。神聖ザカルデウィス帝国の軍も来る事だろう。ならば尚更だ、私はソード・オブ・オーダーという権限を最大限使って何とか、ゴーデリウスに取り次ぐ。ゼウレアーにも分かってもらわねばならない。心配はするな、私は死ぬ事はない。だが……いざという時、ラーディアウスとゼハートに助けてもらう必要になるかも知れん。後方に軍を構えるのもいいだろう。私がしくじった時、任せられるのはお前たちだけだ。だが、オーバーナイツが出る必要はない」


「良いのだな?それで……」


「あぁ……それでいい。だが頼みがある。ガトランにはレイという妻がいるのだが、そのレイをゲイオス王国から連れ出して欲しいのだ。それをラーディアウスとゼハートに頼みたいのだ。戦闘や陽動は私がやろう」


「ゼイフォゾンの頼みなら断るわけにはいかねぇな。分かった、やろう」


「では、任せておけ。戦略は私が立案しよう。戦術的にはゼイフォゾンがいれば全て事足りるから、ゲイオス王国に潜入する算段だけは私とゼハートでやったほうがいい」



 こうなれば、皇国レミアムの兵士たちの命が無駄に失われる必要がない。ゼイフォゾンは玉座の間に向かい、帝王ゴーデリウス一世と総帥ゼウレアーに進言した。ゼウレアーは難しい表情を崩さなかったが、帝王ゴーデリウス一世はその進言を了承した。そういう事ができる者だと帝王ゴーデリウス一世が判断したからであった。しかし、ゼウレアーはこうも言っていた。もしも失敗したら、もしもゼイフォゾンとラーディアウスとゼハートがしくじった場合のために、自分が指揮する本隊を港に控えさせると言っていた。本体には最上級魔神と准将も含めた強大無比な組織となるようで、おおよそゲイオス王国に太刀打ちできる戦力ではなかった。本隊が出れば、確実にゲイオス王国は陥落する。陥落したら最後、皆殺しが始まる。最上級魔神と准将がひとりいただけで小国一つ消すぐらいは簡単にできてしまう。ゲイオス王国がそんな事で終わっていいわけがない。だからこそ、この作戦だけは成功に導きたかった。その前にガトランがどんな軍略を立ててくるのかが気掛かりだった。神算鬼謀と言われるガトランの軍略は、決して油断できるものではなかった。生半可な事をしていたら、ゲイオス王国に崩されてしまうかも知れない。ゼイフォゾンは皇国レミアムにて、ラーディアウスとゼハートと協議していた。何をすれば、ガトランの軍略の穴をかいくぐれるのだろうか。ガトランの事だ…抜かりのない戦略と戦術を行使してくるであろう。それでも何とかするしかない。鎖国したゲイオス王国の鍵穴は塞がれている。兵站線を維持するために細長い戦線を張られたら、厄介である。


 話は平行線である。その様子を聞いていたある男が、三人のいる部屋に入ってきた。アルティス・ジ・オードである。アルティスはこの作戦の全容を理解しているわけではなかったが、ゼウレアーのゲイオス王国陥落作戦には意を唱えているひとりであった。ゲイオス王国は世界的に見ても武の質が高い国である。そんな貴重な国を簡単に滅ぼしてしまうのは、いささか早計ではないか。アルティスはそう言っていた。だからこそ、三人の作戦に協力しようと考えていた。武力はゼイフォゾンとラーディアウスとゼハートだけでも足りるかも知れない。しかし、機動力が足りない上に、バランスが悪い。アルティスの後を続いて、サリエッタも参加する意思を示した。魔術師が増えるだけで、作戦の成功率は格段に上がったのは言うまでもない。アルティスとサリエッタはガトランの事は知らなかったが、その武力と影響力は正しく評価していた。あの若さでゲイオス王国の将軍筆頭格になれたガトランの事を、皇国レミアムに住まう人々は漆黒の若き猛将軍と呼んでいたくらいである。これを機にまたガトランが改心をしてゲイオス王国が鎖国を解き、神聖ザカルデウィス帝国の侵攻を食い止めるべく動いてくれたら、どんなに頼り甲斐があるであろうか。ドグマ大陸は、今まさに神聖ザカルデウィス帝国の脅威にさらされている。ドグマ大陸は一つにならなければ、意味がない。


 そんな事は総帥ゼウレアーも承知の上であった。むしろ、将軍たちの批判を買う事で、自分の出る幕がないように人心操作していたところもあった。狡猾ながら、最も効率的な戦略である。もしも作戦が失敗したら、自分が出て簡単に陥落させればいいのだから。帝王ゴーデリウス一世はそれも含めて、全てを見通していた。戦場に出る事はなくても、未来予見さえあれば、自分の麾下の配下がいいように動いてくれる。ならば、そうしてくれた方がありがたい。ゲイオス王国と皇国レミアム、ドグマ大陸の未来は、ゼイフォゾン、ラーディアウス、ゼハート、アルティス、サリエッタの五人に託された。未来ある若き将軍たちと神を凌駕した一振りの剣の話し合いは一気に加速し、戦術、戦略の立案は特に時間が掛かる事もなく示された。それは綿密かつ繊細、そして大胆さを併せ持つ軍略である。その構図を見たゼウレアーは、頷くしかできなかった。むしろ素晴らしいと表現していたほどには、よく練り上げられた軍略であった。武力、知力、柔軟性、魔術的な要素も含めて、完璧であった。これを突破してくるならば、今すぐにでも皇国レミアムの将軍にしてやりたい…と考えた。もしもガトランが突破してくるのであればの話だが。そんな事が起こりえるだろうか。その行く先を知っているのは、誰もいなかった。帝王ゴーデリウス一世でもこの作戦の先を知り得なかった。


 一方、ガトランは、皇国レミアムの動向を密偵は放って逐一報告を受けていた。ゼイフォゾンと四人の将軍がゲイオス王国に対して何か特別なアクションをしてくるであろうという報告を受けていた。それを黙って見ていたガトランではなく、対策を講じていた。神聖ザカルデウィス帝国の正規軍の助力はいらないときっぱりと断っていたが、後ろ盾だけは欲しかったので、時と場合によっては神聖ザカルデウィス帝国の正規軍の増援を頼んでいた。そうはならないように、ガトランも最小戦力で皇国レミアムに対抗しなければならなかった。動かなくなったレイを見て、皇国レミアムに対して、ゼイフォゾンに対しての憎しみを膨れ上がらせたガトランは、もう止められなかった。ゲイオス王国の牢獄に幽閉してあるゼイオンは、自分の麾下の部下に逐一報告を受けていたので、ガトランが今後どうするかは分かっていた。そして期を見て、脱獄する事を目的としていた。そして皇国レミアムに必要であれば亡命しようと考えていた。



「将軍ガトランは僕をここまで閉じ込めておいて、そして僕の大切な副官をあんな風に殺して、まったく……ますます僕好みの将軍になっていくねぇ」


「ゼイオン様、苦しいとは思いますが、機が熟すまでお待ちください。このまま動けばいけません、まだ衛兵がうろついています。それだけでなく、将軍ガトランの麾下の配下が……皇国レミアムは確実に動いています。その機が熟すのはもうすぐでございます。我々の動きを察知しながらも放っておいている将軍ガトランは、何を企んでいるのでしょうか」


「何を企んだとしても、僕にはどうでもいい事だよ。でも、僕はこう考えているよ。きっとガトランは憎しみだけでなく、意図的に自分が不利になる状況を招いてるように思う。こんなに悲劇的な将軍はゲイオス王国が建国して以来だろうねぇ。将軍ガトランはゲイオス王国を無傷のまま、そして自分を憎悪の波に呑まれてさせて暴走しているように見せて、実は自分を止めてもらいたいんじゃないかなぁ。レイをあんな風にされて、一種の精神崩壊を起こしたのは事実だと思うよ。でもほんとに悲しいね、あんな風になるまでガトランを放っておいたのは皇国レミアムなんだから。ガトランは自分を間違った道に進ませた連中が許せないだけなんだよ。僕はあえて何も言ってこなかったけどねぇ……これで本当に良かったのかな?」


「私は何とも言えませんが、きっとそうならば……」


「うん、もうそろそろ頃合いじゃないかなぁ?」


「おい、ここで何を話している?まだ巡回の時間ではないぞ。兵は持ち場に戻れ!」


「は!」



 ゼイオンは初めて自分の意見を示した。それはガトランの事をよく理解している事の証拠にもなった。その通りであった。ガトランはあえて自分の事を不利になるような事をしている。そうなるように行動している。神聖ザカルデウィス帝国に助力を示しているのは建前であって、目的は別にある。そう見るのが自然であった。そんな事も知らずに、ゼイフォゾンと四人の将軍は作戦決行の日を待ち、準備していた。大規模な部隊は整えずに、かと言って、機動力を損なわずに編成するのは至難の業だったが、それを見事に成し遂げるのが皇国レミアムの将軍である。ドグマ大陸最強最大の大国の将軍をやっているだけあって手際は鮮やかであった。ゼイフォゾンはその編成をアルティスに任して、そして魔術士官の部隊の編成をサリエッタに任せた。そしてラーディアウスとゼハートは歩兵師団を結成し、後ろに控える部隊を整えていた。ゼイフォゾンは自分の護衛に上級魔神を二体つけるようにして、編成は着々と進んでいた。皇国レミアムの将軍が四人も動く。それだけでも充分な戦力なのにも関わらず、ゼイフォゾンが、ソード・オブ・オーダーが動くのだ。これほどの戦力、コル・カロリの世界でもそうない事である。


 ゼイフォゾンは、ガトランを救うために動いていた。ガトランはゼイフォゾンに救われたくて動いていた。両者が交わるのは戦場であった。そんな事はオーガンとイゼベルが望んでいなかった未来である。ふたりの思いが交錯するとき、どんな慟哭が待っているのだろうか。それはどのような悲劇であって、物語になるであろうか。それは誰が綴った文章になるのであろうか。ゼイフォゾンは憂鬱な表情を崩さなかった。ガトランの眼球は虚ろに写った。


 そして作戦決行前夜、月が満月になっていた。その月はゼイフォゾンとガトランを照らし出した。ゼイフォゾンは夜風に当たり、心を平常に戻していた。ガトランはレイの動かなくなった体に触り、部屋を出た。誰も望んでいなかった戦争の幕を開ける。夜は無情にも過ぎていった。陽が昇る頃、皇国レミアムとゲイオス王国は軍を組織して、準備を整えていた。もうすぐそこで、死神が笑っているようにも思えたその陽の紅色は、まさに血の色であった。

ゼイフォゾンとガトランはこの戦いの果てにどのような答えを出すのか……次回のディア・ミレニアにご期待ください!

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