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無理ゲーの世界へ 〜不可能を超える英雄譚〜  作者: 夏樹
第1章 英雄の目覚め
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ニート最善説



LOLには転職というシステムがある。転職せずに覚えられるスキルはレベル20までの初期スキルのみ、それ以上覚えるためには転職してから経験値を稼がないといけない。



初期で選べる職業は6種類ある。



戦士。防御力と攻撃力が上昇し、代わりに素早さが低下する。覚えるスキルは壁役としての防御スキルと剣をメインとする攻撃スキルだ。素早さが落ちてしまい、回避ゲーであるLOLでは終わる。



魔法使い。魔法攻撃力と魔法防御力が上昇し、防御力と攻撃力が低下する。攻撃魔法を覚えることができる。覚えられる属性が限られているため、耐性持ちに出会うと、物理攻撃も弱く魔法も効かずになす術なく終わる。またMPが切れると何も出来ない。MPポーションは高級品なのでとてもお金がかかる。



盗賊。素早さが大幅に上昇し、攻撃力と防御力が下がる。索敵スキルやダンジョン攻略に役立つスキル、短剣による状態異常スキルを覚えることができる。物理攻撃で敵が倒せなくなるので、戦闘が長引く。結果回避のテクニックがないと終わる。



神官。魔法防御力が大幅に上昇し、攻撃力と素早さが低下する。回復魔法や補助魔法を覚えることができる。回避ができないので、回復する間もなく終わる。



武闘家。素早さと防御力が上昇し、魔法防御力と魔法攻撃力が低下する。素手やナックルによる近接攻撃スキルを覚えられる。魔法を得意とする敵が相手のときは終わる。



道化師。全ステータスが低下する。意味の特にないネタスキルを覚えることができる。何もできなくて、完全に終わる。



以上が初期職業であり、これらを極めることで上位職につくことができる。



一見、少ないように思えるが2つを極めることで上級職に就くことができるので、15通りの上級職がある。更に上級職を極めることで更に上の最上級職に就くこともできる。



しかし、やはり一筋縄ではいかないのが、LOLクオリティ。デメリットのパラメーターダウンがかなり大きく、低レベルで基本職に就くとゲームを進めることが絶望的になる。



はっきり言って、無職の方が使い勝手が良い。



しかし、最終的にはスキルが物を言う。またスキルを覚えた後に転職すれば、そのスキルを有したまま他の職業になれる。



職業には熟練度があり、経験値で熟練度が上がっていく。熟練度10が限界であり、そこまで行けば極めたということになる。しかし、前述の通り、転職をするデメリットは多く、敵を倒すのが困難になるため熟練度を上げることがとても厳しい。



よく使う手としては、無職のまま冒険を進め、ある程度パラメーターダウンしても大丈夫なくらいレベルを上げてから転職し、弱い敵が出現する場所まで戻りコツコツと経験値を貯めるという方法だ。



まあ俺には秘策があるので、今回は素直に転職することにした。いよいよこれでニートも卒業だ。



俺とポチは教会の中に足を踏み入れる。天井のステンドグラスから色取り取りの光が差し込む光景が目に入った。



石段の上にその光を浴び、神々しく髪の毛を輝かせる中年の小太りな司祭がいた。名前はランダル。気の弱そうなどこにでもいるおじさんに見える。一応仲間にすることもできるキャラだ。



彼の固有イベント。かみの復活儀式は腹を抱えて爆笑した。結局儀式は失敗し、鍛治で特殊な装備品(兜)を渡すくだりは思わず吹き出した。



そして、そのイベントで『かみのいない世界の輝き』というやたら長いユニークスキルを獲得できる。これを使ったとき、俺は笑い過ぎて呼吸困難に陥った。



俺は真っ直ぐに進み、石段を登った。ランダル司祭は優しそうに微笑み、俺に会釈した。俺は吹き出しそうになるのを懸命に堪えながら、ランダル司祭に告げた。



「……転職をしに来ました」



ランダル司祭は厳かに頷く。明らかに人工物に見える金髪が揺れた。



「汝が望む役目を告げるがよい」



俺は既に何になるか決めていた。将来的にどの職業が何のスキルを得ることができるかは把握している。それならばゲーム時代、俺が愛用していたスキルを手に入れるべきだ。選ぶ職業はもちろんあれしかない。









「道化師でお願いします!」









____________________________



俺はポチとじゃれ合いながら、街中を歩く。道化師となって明らかに素早さが落ちたのが分かった。これではまともに回避することが出来ないだろう。



だから、早くレベルマックスまで上げ、ほかの職業に転職をする必要がある。そんなデメリットがあっても道化師を選んだのは、スキルのためだ。



このLOLではネタスキルが意外に使えることが多い。それは本来、製作者がただのおふざけで作ったスキルなのだが、それゆえに効果が非常識なものがある。それは少し工夫すれば、製作者が意図していなかった使い道があるのだ。



それに魔法使いと道化師を極めれば、上級職マジシャンになれる。マジシャンが覚える『イリュージョン』がかなり使えるスキルなのだ。半径100メートル以内の主人公が移動できる範囲にランダムで瞬間移動することができる。



壁の向こう側などに移動することは出来ないが、普通ならば回避不可能な広範囲攻撃を避けることができる。まあランダムなので、1m横に移動してしまい、攻撃をまともに受けることがあるので、この辺は運ゲーだ。



それに道化師と戦士を極めることで、上級職バーサーカーになることもできる。守りを捨て、HPを減らすことで攻撃力を上げるという職業だ。



これが俺の戦い方には合っている。そもそもほとんどのボス戦で一撃死なのだから、防御力やHPなど不要。むしろ攻撃力が上がれば早く敵を倒すことができる。




だから、俺は道化師を最初に選んだ。さっさと極めて次の職業に行こう。俺とポチは次の目的地を目指して、城下町を出た。




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