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無理ゲーの世界へ 〜不可能を超える英雄譚〜  作者: 夏樹
第5章 英雄の意志
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悲願の達成



しばらくして女性陣が現れる。



「おお!」



やはり水着イベントはこうでなくてはいけない。リンは水色に花柄のセパレートタイプの水着だった。素直に可愛らしい。スレンダーな体型によく似合っている。



鍛えているからか身体が引き締まっていて、あらわになっている腰のくびれが美しい。



胸が大きくないのは知っていたが、しっかりと膨らみも感じられる。俺のコメントが完全に中年親父になっている。



「レン、見すぎ」



「ご、ごほごほ、いや、これも今後の冒険に必要なことで、その……似合っていると思うぞ」



「ふふ、ありがとう」



リンは満更でもなさそうに笑った。



リンの後ろから恥ずかしそうにユキが顔を出している。まるで怯える小動物のように恐る恐るその姿を見せてくれる。



「ぶ、ぶほお」



俺は強烈なダメージを受けた。まさかのスク水。紺色でつやつやした典型的なスク水だ。ファンタジー世界に似つかわしくないネタ装備。



「変じゃないかしら? ほんとはもっとすごいのを選ぼうとしたら、メアリーに止められたから」



メアリーナイス判断だ。ユキのような子にはスク水が強烈に似合う。一部の愛好者にはたまらないだろう。俺は決して変態ではなく紳士だが、テンションが異常に上がってしまっている。



「か、かわいいと思うよ」



「え、あ、ありがと……」



素直に感想を述べるとユキは頬を赤くした。



「レン、私はどうだ!」



「ぶふぉおお!」



俺はその威力に吹き飛ばされた。地面に這いつくばりながら、その姿を目に焼き付ける。フレイヤ、真打ちが登場。強烈な黒いビキニだ。一言で言うとエクスプロージョン。


ダイナマイトバディを黒い布が必死に隠そうとしている。目のやり場に困ってしまう。フレイヤは腰に手をあてて、仁王立ちしている。胸が強調されていて、視線を釘付けにする。リンとユキと並んでしまったので、その差が歴然となる。



「お、おお、おおおお」



く、俺は決して巨乳好きではないが、不思議な魔力によって目が釘付けになってしまう。一体どうなっているんだ。



「さ、さむ!」



ユキから強烈な冷気が漂って、俺は現実に引き戻された。ここだけ真冬になっている。俺は慌ててフレイヤから視線を外して、誤魔化した。



「よ、よし! じゃあ、皆で遊ぶぞ!」



「何かアイテムを手に入れるんじゃないの?」



「それはあとだ、今は遊ばなければならない、水掛け合いっことかしないといけないんだ!」



「はあ……わけわからないけど、まあせっかくだから楽しみましょう」



それから俺たちは海水浴場を満喫した。水掛け合いっこをしたかったが、リンが砂浜は良い訓練になるとか言って回避術の訓練に付き合わされた。



皆でスイカ割りをしたが、フレイヤが良いことを思いついたと周囲を無差別爆破し始めたときは本当に焦った。



海の家でとうもろこしとか焼きそばを食べた。ポチとドラクロワの食べる量が多すぎて店員が悲鳴を上げていた。


ビーチで砂の城をつくったりもした。誰が一番上手に城を作れるか勝負したら、ユキが海上に氷の城を精巧に作って他の観光客からも拍手喝采だった。それはずるい気がする。



ああ、充実していて涙が出そうになる。俺は現実世界で一度も海水浴など来たことがなかった。部屋の中でずっとゲームをしていたからだ。インドア主義だった。いや、正確にはビーチに一緒に行くような友達が一人もいなかった。



それでも実は憧れていた。創作物には水着回がよくあり、俺も海に行けば可愛い女の子達といちゃいちゃできると本気で思っていた。



泣けてくる。悲願が達成された。



ふとラインハルトを見ると、パラソルの下で体育座りをしていた。



「おい、ラインハルト、海だぞ、海に行ったら何をすべきかわからないのか?」



「……海を眺めて、波の音を聞く」



「違う! 間違っているぞ、不正解だ、真実を教えてやろう、海はな……ナンパをするためにある!」



ドン!!と効果音が鳴りそうな勢いで言ったが、ラインハルトの反応が鈍い。



「いいか、ラインハルト、俺は女性に声をかけるのが苦手だ、ナンパなんてレベルが高すぎる、だからお前がいるんだ」



俺の考えたオペレーション。顔の良いイケメンを餌にして美女を釣り上げよう作戦だ。ラインハルトと一緒にいれば、おこぼれを預かれるかもしれない。



「お前の顔があれば女の子は向こうから寄ってくる、グループを誘えば俺もその恩恵に預かれる可能性が高い」



「ナンパしたいの?」



「そうだ、ナンパだ! ……ん?」



あれ、ラインハルトの声じゃなかった気がする。



恐る恐る振り向くと、ジト目のリンと、不機嫌全開のユキ、特に気にしてなさそうなフレイヤがいた。冷や汗が出てきた。



「ち、違う、これには深いわけが」



「どう深いのか詳細を教えて」



「レン、私も教えてほしい、気になって冷気が止まらなくて」



「ん? 別にナンパくらいよくないか? 私はレンの妻が何人いても気にしないぞ、私も妻にしてくれるなら」



「フレイヤ、ここは一夫多妻制じゃないの」



「なら私が正妻なら愛人はいっぱいいてもいいぞ、英雄色を好むってやつだ」



「フレイヤは黙ってて」



「あ、俺は急用があるんで……」



逃げようとした瞬間、リンが一気に接近して俺の腕を掴んだ。訓練のときより遥かに動きが良い。既に俺の周りに氷のバリケードが築かれている。


















「すみませんでしたぁぁあ! 反省しています、本当です」



俺は結局、正座させれ説教を受けるはめになった。元気のないラインハルトを元に戻したかっただけなんだ、と言い続けて何とか解放してもらえた。もうナンパなんてしませんと約束させられた。まだ実際にしたわけじゃないのに。



太陽が少し傾いた昼下がりだ。



「ふっ、さて……そろそろか」



海風に前髪を揺らしながら、俺はそう呟く。さっきまで情けなく女の子達に正座させれて怒られていたので、ここでちょっと主人公ぽくカッコつけておく。



俺がビーチに来たのはただ水着が見たいだけじゃない。それが8割だが、2割位はちゃんとした理由が存在する。



このビーチで行われるイベント、『激闘ビーチバレー』に参加するためだ。



激闘ビーチバレーはそのままビーチバレーの大会で優勝すると賞金と景品がもらえる。



基本的なルールはバレーボールと同じだが、ゲームが早く終わるように3点先取となる。しかし、ほとんど正規の方法で決着がつくことはない。基本的にどちらかのチームが試合続行不可能になってゲームセットする。



なぜなら魔法やスキルが使用自由というルールだからだ。ただし、相手に直接ダメージを与える攻撃は反則となる。



これにより作戦の幅が広がり、別のゲームになる。ちなみに気を抜くと普通に死ぬデンジャラススポーツだ。休載期間の長い某有名少年マンガのようにレシーブで受けると死ぬレベルのスパイクを打ってくるキャラもいる。



スポーツマンシップなんてあったものじゃない。これは正真正銘の戦争だ。



当然、難易度はLOLでの標準。つまり無理ゲーだ。俺もゲームで何度殺されたかわからない。クリアするのに膨大な時間がかかった。特に3回戦で戦うことになる人物が異常すぎる。



俺はパーティ全員を呼んで集める。今からビーチバレーに参加することと、ルールの分かってなさそうなメンバーに簡単なルールを説明する。



「わん! わかった! ボールを思い切りたたく!」



若干不安だが、ポチのこれ以上の理解は難しいだろう。



このビーチバレーはチャンピオンチームにチャレンジャーチームが勝てば優勝となる団体戦だ。3試合勝てば勝利となる。試合は2名で行い、毎回メンバーを変えることもできる。



俺は試合ごとのチャンピオンチームのメンバー情報を知っている。最適なメンバーをぶつけることができるだろう。



さあ、ルール無用の命がけビーチバレーを始めよう。




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