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無理ゲーの世界へ 〜不可能を超える英雄譚〜  作者: 夏樹
第4章 英雄の決意
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世界最速



マルドゥークが危機を察知し、後退しようと後ずさる。俺はそのタイミングで合図をした。



「今だ!」



俺の合図で最強アタッカーの2人、ポチとドラクロワがマルドゥークの横に一瞬で現れ、同時に攻撃を仕掛ける。横に隠れて配置についていた。



マルドゥークは不意をつかれて焦っている。しかし、油断は出来ない。奴にはあのスキルがある。だから攻撃がヒットする瞬間、俺はスキルを発動する。



『バニシング』



マルドゥークに強烈な攻撃が両サイドからヒットし、マルドゥークが倒れる。『ダメージ反射』はスキルモーションが短い。だから、『バニシング』が適用される瞬間はシビアだ。



だから、ポチとドラクロワに奇襲させて、こちらから『ダメージ反射』を使用するタイミングを誘導した。もし、マルドゥークが『ダメージ反射』を使用しなくても結果は同じだ。2人の攻撃が決まる。



俺の背後からビームソードのような剣のついたアームが振り下ろされる。俺はそれを一歩横に移動するだけで回避する。



ガーディアンは防御力が高いだけの敵だ。全ての攻撃を回避するのは余裕でできる。



HPが0になったマルドゥークはまた『アザールの祝福』によって復活するが、しばらく動けない。



さあ、全ての準備は整った。俺は振り返り、ガーディアンと正対する。



ユキがいつまでヘルハウンドを食い止められるか分からない。そこに全てがかかっている。正直マルドゥークなら何とかできる。だが、ヘルハウンドはダメだ。



ヘルハウンドが前線に出てきたら、犠牲が出る。まともに戦ってはいけない相手だ。



このままセクター1の入り口から逃げたとして、セルバ森林で俺たちはヘルハウンドから逃げ切れるだろうか。



相手は鼻が効くし、俺たちよりも足が速い。途中で追いつかれる可能性は高い。



俺だけならまだしも、他の仲間がいる状況で俺は全員を守りながら戦えない。



だから、俺達はヘルハウンドが追ってこれない場所に逃げる必要がある。



空だ。



飛空艇で空に逃げることが出来れば、ヘルハウンドから完全に逃げ切ることができる。そのためにはガーディアンを突破するしかない。



ガーディアンの討伐には長時間がかかる。本来ならばユキがいつ突破されるか分からない状況で、ガーディアンに挑むなんて愚策だろう。



だが、この瞬間だけ、全てを解決する条件が揃っている。

俺が超耐久ガーディアンレースのワールドレコードを塗り替えればいい。ゲームでは誰も到達できない、未知の領域へ向かう。



ガーディアンが複数のアームを俺に振り下ろす。俺はそれを未来予知を使って、最小の移動で回避していく。そのままガーディアンに突っ込む。距離は正確に測っている。















『イミテート』



















効果範囲にいるマルドゥークを『イミテート』する。



「ギルバート! やれ!」



少し離れて準備をしていたギルバートが『ホーミング』と『アサルト』と『バレットスコール』の複合技『64コンボ』を放つ。



ガーディアンの()()へと。



一瞬に64連撃が当たる。同時に64発分の致死レーザーが1番近い俺に降り注ぐ。



これが俺の超耐久ガーディアンレース、世界最速攻略法だ。



俺は64発の致死レーザーを全て『ダメージ反射』した。マルドゥークを『イミテート』することで『ダメージ反射』を使用することができる。



致死レーザーは一撃の威力が異常なほど高い。どれだけレベルを上げようと、バフをかけようと一撃死する。それの64倍の威力だ。



致死レーザーは1番近い対象に撃たれる。これで俺が全てのダメージを反射して返すことができる。



ゲームでは『ダメージ反射』は仲間キャラでは誰も使えないスキルだった。敵キャラ専用スキルだ。ネロの『スキルコピー』でも複製できない仕様だ。



他にも敵キャラ専用スキルはいくつかある。これらの一部はプレイヤーに使われると一気に攻略が楽になってしまう。プレイヤーを苦しめることが生きがいのスタッフがそれを許すはずがない。そういうスキルは『スキルコピー』でも複製できなくなっている。



ネロが『ダメージ反射』を手に入れる事ができたのは『捕食』があったからだろう。



もちろん『イミテート』を使えば、『ダメージ反射』は使用可能だ。しかし、『イミテート』は効果時間が短い。『ダメージ反射』を使える敵を『イミテート』して、効果時間内にガーディアンの下までたどり着くのは事実上不可能だった。



だから、ゲーム時代にこの手を使うことはできなかった。マルドゥークがここまでやってくることなんて、ゲームでは起こり得ない。



俺の作戦はヘルハウンドとマルドゥークを分断し、マルドゥークだけをこの部屋に連れてくることだった。



しかし、さすがは超耐久力のガーディアン。まだ倒せていない。俺はここから追撃を始める。



全ての攻撃をガーディアンの頭部に与える。即座に致死レーザーで撃たれる。ギルバートもすぐに頭部に攻撃をする。



『ダメージ反射』の効果時間が切れるよりも、『イミテート』の効果時間が切れる方が早い。そこまでに間に合わせる。



体内時計は正確に刻んでいる。俺は残り時間を意識しながら、攻撃しまくり致死レーザーを浴び続ける。



ギルバートの『アサルト』のクールタイムが終わった。ギルバートには俺の神秘の腕輪を装備させている。クールタイムが70%となり、再び『アサルト』が使用可能になる計算をしていた。



ギルバートが『アサルト』を使用する。その連撃が全て致死レーザーに変わり、俺を撃ち抜く。



ガーディアンはその瞬間、青い粒子に変わった。同時に俺は元の姿に戻る。



危なかった。『イミテート』が切れる時間ギリギリだった。もし切れても、ガーディアンから逃亡して、『イミテート』のクールタイムが終わってからマルドゥークをもう一度『イミテート』することはできる。



しかし、その間にガーディアンのHPは自動回復していくし、ユキとフレイヤが持久戦を強いられている状況で、そんな悠長な時間はない。



「ヘルマン! エナジーコアが手に入った! 急いで離陸準備をしてくれ」



「分かりました、急ぎましょう」



俺は隠れていたヘルマンに、ガーディアンから手に入れたエナジーコアを渡す。



そして、ヘルマンはガーディアンが守っていた向こう側の扉へ走っていった。



あとはヘルマンが離陸準備をしたタイミングで全員乗り込めば良い。ここまでは順調だ。








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