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無理ゲーの世界へ 〜不可能を超える英雄譚〜  作者: 夏樹
第4章 英雄の決意
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行動開始



飛空艇があれば、どこへでも自由に移動できるようになる。今後のことを考えて必要だろう。



飛空艇はここから近い研究施設で手に入る。もちろん、手に入れるために多少の障害はあるが、ここは行くべきだろう。



それに研究施設には他の用事もあるので、ちょうど良い。グランダル王を救うためにヒドラの血清が必要だ。これも研究施設で作成できる。



「じゃあ、リンはシュタルク、俺とユキとポチは沼地に行ってヒドラを討伐する、ドラクロワとギルバートは別の仕事を頼みたい」



研究施設に行く目的は他にもある。バクバクだ。あの場所に行けばバクバクの居場所のヒントをもらえる。



もしネロがバクバクを倒していれば、見つけることはできなくなるが、もし『スキルコピー』だけして倒していなければ、バクバクは健在だ。放置していれば次こそ手遅れになる。



俺たちは方針を決め、準備を進めることにした。



ヒドラは沼地の奥に生息する沼の主だ。巨大で体長が5メートル近くある蛇である。やはりLOLクオリティ。漏れずにこいつも無理ゲーだ。



状態異常耐性が必須であり、あらゆる状態異常に複数なる『ミックスブレス』を多用し、かみつきや尻尾などの通常攻撃でも毒や麻痺などが入る。空中に毒液を撒き散らす『毒雨』のスキルもあり、神兵の腕輪なしでは勝ち目がない。



更にヒドラの目が赤くなると、状態異常にヒドラの毒が追加されることになる。これは神兵の腕輪でもレジストできない。ヒドラ毒は自然治癒もしない。回復させるためにはヒドラ血清が必要となる。



ヒドラ毒と血清は研究施設に保管されている。それをネロに持ち出されてしまったので、俺たちは一度でもヒドラ毒を食らってしまうと死が確定する。



それだけではない。本当に厄介なのは、沼の中を自由に動き回り、水中から攻撃をしてくることだ。こちらの攻撃が届かない場所から、一方的に攻撃してくる。水中の敵は水中での移動速度がかなり早い。



スキルを使用するときは、顔を沼の外に出すので、その時に攻撃するしかない。尻尾で掴まれたり、噛みつかれたりすれば、そのまま沼の中に引きずりこまれる。



毒の沼地の中では継続ダメージが入り続ける。それにLOLでは水中になると、酸素量という値が現れ、酸素量が0になると死ぬ。



これは激しい動きやスキルを行ったり、敵の攻撃を受けることで大幅に消費される。



更に水中では素早い動きが出来なくなる。だから、回避特化の英雄たちにとって水中はその技術が奪われる最大のアウェイステージだ。



このような理由で水中戦のボスは軒並み無理ゲーとなっている。海底都市のリヴァイアサンとかシーナポートのクラーケンとか天界のポセイドンとか、勝てる気がしない。



それに水中では一部魔法も使えなくなる。例えば、火属性の魔法は全て使用不可。ある迷惑なキャラがアホみたいに連発する爆裂系魔法も使用不可。風魔法も空気がないから使用不可。雷魔法は使用可能だが、放電によって仲間もダメージを受け、スタン状態になる。



このため、魔法使いキャラは一気に戦力を落としてしまう。氷属性の魔法は使用可能なので、ユキはこの点安心だろう。むしろ水中の方が戦力が上がると言っていい。



【フリーズ】という魔法がある。単純に冷気を手に纏わせて触れた相手を凍結させるという魔法だ。手を触れた周辺2メートルくらいの水を凍らせて水面に足場を作ることもできる。これは使い勝手がとても悪い。



魔法使いであるにも関わらず、相手に触れないといけないため、近距離戦闘をしなくてはならない。メリットは凍結状態に耐性がない限り100%させることができる。【アイシクルランス】などは5%ほどの確率で凍結状態にさせるので、確実に相手を凍結させたいなら便利だ。しかし、近づくデメリットと天秤にかけたら、やはり使えない魔法と判断させるだろう。



これが水中では変わる。そもそも、目の前に水があるので、【フリーズ】によって、その水を凍らせて造形が可能だ。



例えば、目の前に手をかざして盾を作ったり、氷の棘を手から生成できたりする。また近付いてきた相手を周りの水ごと固まらせて動きを封じることもできる。



だから、海底都市アトランティスではユキの活躍に期待している。



ヒドラはこのように、水中属性と状態異常特化によりかなりの強さになっている。



ヒドラ討伐には神兵の腕輪以外に必須のアイテムがいる。水神の腕輪だ。この腕輪は多少素早さは落ちるが、水中で陸地と同じように呼吸が可能になる。他にも方法はあるが、どちらにせよ水中対策をしないとヒドラは討伐できない。



俺達は各自、行動を開始した。俺はユキとポチと共にまずはグランダル王国の教会に向かった。ちなみに俺は王都の200レベル近いモンスター、ベルゼブブ、カーマインを倒したことで経験値が入り、トリックスターを極めることができた。



『バニシング』発動中のスキル、魔法の効果を打ち消すことができる。

『スポットライト』一定時間、ライトが当たっているキャラクター以外が攻撃の対象にならなくなる。範囲攻撃によるダメージは受ける。

『イミテート』一定時間、対象になり変わることができる。



『バニシング』はとても有益なスキルだ。【ディスペル】の上位互換といっても良い。【ディスペル】は魔法のみが対象でシビアなタイミングで発動しないと成功しないが、『バニシング』はスキルも魔法も発動中であればいつでもキャンセルできる。



欠点はもちろんある。まず効果範囲が狭い。自分周辺に2メートルほどしかない。ネロ戦で使えなかった理由だ。



あとは発動中でなければ、キャンセルできない。これは効果時間とは別の区分をされる。たとえば、『金剛』のスキルをを使用して、防御力が強化される。ここでの発動中とは『金剛』のスキルモーションが始まって終わるまでだ。



スキルが終了して、得られた効果はキャンセルすることができない。魔法には詠唱時間があるから比較的楽にキャンセルできるが、スキルは発動時間が短いものが多い。その一瞬を狙わなければならない。



最後の欠点はクールタイムが長いことだ。打ち消すスキルよりもクールタイムが長いことが多く、2回目に発動される際に間に合わないことがよくある。



以上の欠点はあるが、それでも『バニシング』は有効なスキルだと思う。ボスなどの絶対回避不可能の一撃死スキルをキャンセルすることができるだけで、可能性は大幅に広がる。



そして、『イミテート』これも非常に強力な技だ。姿形を対象と同じにすることができる。更にその相手のスキルや魔法も使用できる。ただし、ステータスは変化しない。



たとえば、俺がアリアテーゼを『イミテート』すると、数々の魔法を使うことができる。しかし、魔法攻撃力は変化しないため、アリアテーゼのような爆発力には期待できない。精霊魔法も最大MPが足りないので、使用できない。



もちろん、自分の姿がアリアテーゼに変わるので、豊満な果実に触れても誰にも怒られないというメリットはある。まあ、俺は紳士なので、そんなことをやろうとはほんの少ししか思っていないが。



効果時間が短いのとクールタイムが長いのが、欠点ではあるが、とても夢が広がるスキルだ。



ちなみに『イミテート』は怪盗ラパンというキャラの名物スキルとなっている。もはやラパンは『イミテート』以外が弱すぎて、ネタキャラになっているが。



俺はランダルの元に向かい、転職をする。本当はバーサーカー、マジシャン、トリックスターを極めたことでなれる、道化師系最上級職ジョーカーになりたい。



しかし、ここはあえて違う職業につく。ステータスは多少下がってしまうが、貴重なスキルが手に入る僧侶と道化師を極めることでなれる上級職テイマーになる。



テイマーはモンスターを使役して戦うことができるRPGではお馴染みの職業だ。テイマーにしか出来ないことが多くある。



ランダルの髪は今日も作り物のようにサラサラだった。




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