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無理ゲーの世界へ 〜不可能を超える英雄譚〜  作者: 夏樹
第3章 英雄の躍進
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新たなる旅立ち



リンは『二刀の心得』を入手したので、短剣二刀流が可能になる。エクスカリボーにプラスして、もう一本の準備も必要になる。候補はいくつかあるが、ソラリス復活イベントをこなしながら、必要な武器やアイテムを揃えていこう。



俺も遂にソードマスターを極めることが出来た。



最終スキル『剣神の太刀』を取得した。神スキルシリーズと呼ばれる最強クラスの攻撃スキルだ。



最上級職業を極めると、この神スキルシリーズを覚える。名前に神という漢字が含まれているから神スキルだ。例えば武道家の最上級職業で『武神の正拳』、魔法使いの最上級職業で『魔神の息吹』を覚えることが出来る。



LOLでは、高威力攻撃スキルランキングもある。上位を占めるのが、この神スキルシリーズだ。



しかし、1位と2位は神スキルとは違う。これは不動で誰もが認めている。2位が勇者のスキル『龍牙斬』。異常な威力で神スキルシリーズを大幅に超える威力だ。



そもそも、覚えるまでが無理ゲー過ぎる。勇者になること自体が無理ゲーだ。



そして、第1位は名前の知れたあの技、『天命龍牙』だ。最初のチュートリアルで巨神兵を倒すのに使用する。



『天命龍牙』は勇者のスキル『龍牙斬』の進化スキルだ。天界のイベントで進化させることができる。ここに至るには、無理ゲーをいくつも乗り越えなければならないという頭がおかしい仕様となっている。



そして、3位以降は神スキルシリーズが出て来る。これは人によってかなり意見が分かれる。中には『七福神の宴』が3位だと言い張る者もいる。



しかし、敵単体で言うならば、実は『閃光連撃』と『剣神の太刀』のダメージ量は変わらない。運が良ければ『閃光連撃』の方が多いだろう。



二刀流で、斬鉄剣による防御力無視と妖刀村正による『主人殺し』によるダメージ量アップがあるからだ。



更に『閃光連撃』の方がモーションの隙も少なく、クールタイムも短く、使い勝手が良い。



これからも『閃光連撃』が主力だろう。『剣神の太刀』は範囲攻撃なので、複数の敵がいる際の最強の技となる。



俺はエルドラドに戻って、職業を変えた。盗賊と道化師を極めることでなれる上級職トリックスターだ。



道化師条件のマジシャンとバーサーカーを極めているので、あと1つ極めれば、道化師の最上級職になれる。ステータスはソードマスターに比べると低下したが、仕方がないだろう。



俺は一通りのレベリングを終え、今後の行動をどうするか考えた。



目標はソラリスの開放だ。しかし、それと同時に放置すると危険なイベントをクリアしていかないとならない。プレイヤーが関与しなくても勝手に進むことが分かっているので、そちらも急務だ。



捕食生物バクバクの討伐はまだ大丈夫だろうか。バクバクは全モンスターの中で最も危険だ。初めはスキルも一つでステータスも低く、とても弱い。しかし、そのスキルが凶悪だ。



『捕食』他のモンスターを食べて吸収する。これがあることでバクバクの危険度は跳ね上がる。バクバクはLOLのモンスターの中で唯一、自分で成長していく生物だ。



勝手に他のモンスターを食べて、経験値とスキルを吸収して、レベルアップしていく。『捕食』は相手のHPが50%以下になれば100%成功する。いきなり強敵を食べることはないが、放置し続けるととんでもない化け物になる。



放置し続けたバクバクは、上限目安であるレベル300を超える。プレイヤーには自分のレベルより低いモンスターからの経験値に補正がかかり、300を超えてしまうとほとんど成長出来なくなるが、『捕食』は経験値補正がないらしい。



バクバクは無限に成長していく。アホみたいに高いステータスに、恐ろしい数のスキルを使用してくる。まあスキルの方はあまり心配いらない。AIがそんなに賢くないし、あらゆるスキルを溜め込んでしまうので、上手く使いこなすことができていない。



問題はステータスだ。あまりにレベルが上がりすぎたバクバクはもはやステータスが違い過ぎて、勝負にならない。



素早さが高すぎて、何をされたか分からないまま、遥かにオーバーキルな攻撃力で一撃死する。



ゲームではさすがにプレイヤーがいないところで、バクバクを動かしていたとは思えないが、時間経過などによってバクバクの強さは大きく変わった。



だから、弱い内に討伐するのが鉄則だった。現実になったこの世界でも今頃他のモンスターを食べて、成長し続けているのだろう。



他にも懸念しなくてはならないものはいくつかある。ゼーラ教の真実というイベントも勝手に進むと街が1つ消えるし、レスターシアの憂鬱もこなしておかないと、まずい気がする。



やることが山積みだ。優先順位を付けて、一つずつクリアしていくしかない。



バクバクはまだ放置することに決める。俺は300レベルあるし、時間的にバクバクはまだそんなに成長していないはず。ゼーラ教のイベントなどもまだ時間の余裕はある。



余裕がある今のうちに、ソラリス復活のために必要なアイテム集めをすべきだ。一番難易度の低いものから集めるべきだろう。



俺は方針を決めた。



「よし、戦士の国、シュタルクに向かおう!」



戦士の国シュタルク。強さこそが全てで、王は強さによって選ばれる実力主義社会。強い者が正義の国だ。



強さといっても魔法ではなく、物理特化しており、魔法都市エルドラドと対局となる、物理メインの国だ。どこか魔法を使うと非難される雰囲気がある。



そこで必要なアイテムを手に入れる。しかし、何かが心に引っかかっている。何か大切なことを忘れているような気がする。



俺はしばらく考えたが、思い出せなかった。きっとそんなに重要なことではないのだろう。



「シュタルクの国か結構前に一度寄ったことがあるが、気前の良い連中が多くて楽しい場所だったな」



ギルバートはそう言っているが、俺は良い印象なんて全くない。むしろ、行かなくて済むなら、行きたくない。



俺たちは荷物をまとめた。アランにはギャンブルをし過ぎないように忠告しておいたが、今の俺には波が来ている、と謎の言葉を呟いていた。



シュタルクはグランダル王国とエルドラドの間にある。どちらかと言えば、グランダル王国に近いだろう。切り立った崖に作られた要塞だ。



どのみち武器を新調するためにも、グランダル王国に寄る必要がある。ダインがグランダル王国に戻ったからだ。



俺たちは竜舎のマーカスが始めたレンタリューというシステムを利用して、増えた仲間の分の地竜を借りた。もちろん、俺は愛竜のリュウと再会する。



リュウは人懐っこく、俺に頬擦りをした。寂しかったのだろう。



「またよろしくな、リュウ」



リュウは嬉しそうに俺を乗せた。



「ちょ、やめろ、てめぇ!」



なぜか、ドラクロワはメスの地竜に覆い被され、舐め回されていた。尻尾が騒がしく振られている。どう見ても求愛されている。



「ドラちゃん、懐かれてる」



「くそ、俺様から離れろ!」



ドラクロワはその怪力で、無理やりメスの地竜を持ち上げた。まるでお姫様抱っこのような格好になり、地竜は顔を赤らめる。



「……俺様は自分で走る」



結局、ドラクロワは地竜に乗らずに、走ることになった。ドラクロワは普通に足が速く、地竜よりも速かった。






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