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04 ば…ばれてる…

昨日の部活は非常に辛かった。精神的な意味で。元々去年から私が台本を書くという話にはなっていて、出来かけのものを一度皆で読んでみようということになったのだが、私を良く思わない…というより、相手が自己完結してしまった為に敵対意識を持たれてしまった女子からの鋭い視線に私の心が持ちそうになかった。まぁ、気にしていたらキリが無いのはわかってはいる。


「しのぉ〜!昨日政経の時いなくなったからびっくりしたよ〜!!」

「あ、友希ちゃん。」

「友希。篠ちゃんは倫理を取っているから私達とは違う教室で違う先生に教えて貰ってるんだよ。」

「え?そうなの?」

「うん。生物室でやってるよ。」

「そうなんだ〜!」


そういえば友希ちゃんには言ってなかったなと少し反省。でもこうして気にかけてくれるのは本当に嬉しい。


「篠ちゃん。行こ?」

「結衣ちゃん。うん、行こっか。」

「あっ!いってらっしゃ〜い!」

「幼稚園児を送り出す母親か!!」

「いた〜い…」

「ふふっ。」


朱理ちゃんのツッコミが相変わらず力強い。ベシッ!という効果音が後ろに見える。


「篠ちゃん、今日は倫理をするんだよね?」

「うん。」

「どんな感じなんだろうね〜…」

「そうだねー…」

「……先生変な人だよね。」

「それにはとても同意です。」

「ふふっ。確かに(笑)」


結衣ちゃんもそう思ってたみたいでなんだか安心した。萩野先生はこの高校の先生の中でも多分少し浮いた存在のような気がする。……あと身長を分けて欲しい。


「いやー少ないねぇ…」

「起立、礼。」

「はい、どうも。今週は午後から行事が詰まってるからあんまり授業無いのに、このクラスは見事に四回分ありますねぇ…」


確かに…今日の午後からは身体測定が行われる。今週は新学期特有の行事が目白押しだ。正直疲れる。


「さて、今日は倫理をすると予告していましたね。…因みに、受験で必要な人は何人ですか?手をあげて下さい。」


五人が手を挙げた。…え、興味本位で来たの私だけ…?これはまずい。目立ってしまう。


「おや?御上さんは違うの?」

「……はい。」

「へー…どうして倫理取ったの?」

「…………教科書の……サンプル見て……面白そうだった…のと…」

「うん。」

「…………元々……哲学とか……好きで…」

「そう。…君、面白いな。」

「………。」

「物好きもいるもんですなぁ……。さて、少し今後の倫理の授業の予定を話しましょうかね。…………」


焦った。非常に焦った。何故興味を示すんだ…一人だけだったのが悪かったのか。……でも、私が話すのを待っていてくれた。相当時間がかかっているのに待っていてくれた。…どうして?……もしかして少し変わっているだけで優しい人なのかもしれない。


「そんな訳で、まあ取り敢えず次回から本格的に入って行きます。あ、明日と明後日は政経ですよ。…じゃあ、いきなり小難しい話をしてもアレだと思うので…わかりやすくて面白そうな話をしましょうかねぇ…」


そう言って萩野先生は理科室特有の長い机の上に座って話し始めた。…机の上って中々ワイルドな人だな。見た目は何というか…うさぎと狐を混ぜたような…ふわふわ?なのにな…


「皆さんはペルソナと言うものを知っていますか?多分聞いたことある人もいると思いますが。…あ、某有名なゲームのことじゃないですよ。」


知ってるんかい!というツッコミを心の中で入れた。先生という職業に就いている人達はそういうものに疎いのかと思っていた。…偏見か。


「ペルソナは誰しもが持っているもんなんですよ。私も今、教師という仮面を被っていますし。皆さんも友達と話すとき、親と話すとき、先生と話すとき、色々仮面を被っている。今、この教室にマスクをしている人が二、三人居ますが、その内の一人二人はきっと仮面なんじゃないですかね?…仮面というよりは…心の壁。とあるアニメで言うA◯フィールドでしょうか。マスクをすることで人との関わりを極力断とうとしている。きっと自分に自信がないのか、自意識過剰だったり、被害妄想などがあるのかも知れませんね。」

「……っ。」


心臓が煩い。これでもかというほど早く動いている。まるで自分のことを言われているようだ。私の顔は長い前髪とマスクで隠されている。顔を隠していないと話せないし、人と目を合わせられないからだ。マスクをしていても目を合わせられる人は限られている。目を見るだけで相手の考えていることが少なからず自分の中に入ってくる所為か、信頼している人としか目を合わせられない。…………この人は……


「ふふっ。まぁ、人間何でもありますよ。人それぞれです。では、もう少しだけ色んな話をしましょうか。………………」




授業が終わっても私の頭の中は萩野先生の話でいっぱいだった。少し怖いと思ったが、あの人は攻撃してきた訳ではなかった。それに、例としてあげただけ。私が考えすぎなのかも知れない。……寧ろ、あの人は理解を示してくれるような人だろう。何を考えているのかはわからないけど、多分……良い人…なのかも知れない…








「北野先生。」

「あら、萩野先生。今日の倫理はどうでしたか?」

「ふふっ。面白かったよ。」

「篠ちゃんは楽しそうでしたか?」

「さあ?どうやろうね。今日は少し、僕が意地悪したからね。」

「意地悪?」

「顔は隠れていても、感情は丸見えだったよ(笑)」

「あらあら(笑)…あんまりいじめちゃうと嫌われちゃいますよ?」

「…うーん…それはやだなぁ(笑)僕は彼女と仲良くなりたいんだけどね。」

「仲良くなりたい、なんて。そんな珍しいこと言ってると雪でも降りそうです。」

「………なんか放っておけないから。」

「ふふっ。頑張って下さい(笑)」

「ゆっくり頑張るよ〜…」

ちょっと篠ちゃんが萩野先生に興味を示し始めました…

お立ち寄り下さりありがとうございますm(_ _)m

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