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2話 ~~
翼を生やした演奏家が静寂の中で一人奏で始める。
静かな町に響く曲は、練習曲のように同じメロディーを何度も繰り返す。
音楽として決して完成されていない、不完全な曲。
しかしその不完全さが、聞く人に命が織りなす脈動を感じさせ、朝の目覚めへと導いていく。
やがて演奏は楽曲へと編曲する。
吹き抜ける風が練習曲を運び、町を支える金属がきしむ音を上げ始め混ざり合う。
鉄琴を叩くような高い音をかすかに響かせるそれは、帝都「アマテラス」の朝を告げる音。
静寂に包まれていた世界は目覚めの時を迎え、いよいよ帝都は動き始めた。
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