>>4(番外編?)
番外編~海音(海音視点)の猛アタック~
俺は千葉海音。二学期から親の都合で転校することになった。夏休み入る前の最後の土日もう引越先の家に来ていた。一学期までは前の学校に行くが、学校が終われば俺も含めて家族で引越してくる場所の見学に来た。俺は住めればいいし、近くにどんな所があるのか知りたくて出かけて来ると家見学は親達に任せて1人で出歩いた。しばらく歩くと新しく出来たオープンと書いた看板の遊園地を見つけた。しかも水族館も併設されてるという。何となく興味が湧き、俺は入ってみることにした。ただ乗り物に乗るわけでもなくただ、遊園地内を歩いた。すると一際可愛い子を見つけた。一目惚れだった。あの子がいいと直感的に思った。なのでその子のあとをつけることにした。ストーカーじみているが、この人混みの中ではストーカーのようでも分からないだろう。しばらくあとを追って歩いているの女の子は振り向いた。誰かを探しているようでキョロキョロとした。そして探し主の名前を叫んだ。
「...あれ?ゆうすけ!ゆうすけ?!」
「・・・あの、一緒に探しましょうか?」
俺は無意識にその子に声をかけていた。どうして声をかけたのか自分でもわからなかった。もしここで声をかけなきゃ俺はダメかもとでも思ったのだろうか。まぁ、それはさておき、声掛けた女の子は驚いてこちらを見た。
「...ありがとう。でもここにいるわ。こんな人混みじゃヘタに動いたら余計に見つからないもの。ゆうすけは探してくれてるだろうし。」
「・・・そっか。俺も一緒にここで待つよ。1人だと心細いだろ。少しここで話しながらでも待ってようか?」
「...あ、いや大丈夫です。1人で待ちます。それにゆうすけに知らない人と2人になるなって言われてるし。」
どうやら“ゆうすけ”と言う友人を探しているらしい。いや恋人かもしれない。だったら諦めなきゃいけないのか。そう思ったがそうもいかず。俺はまたまた無意識に言った。
「・・・俺は海音って言うんだ。...これで知らない人じゃないだろ?君の名前は?」
「・・・な、なるみ。」
「...なるみちゃんか可愛い名前じゃないか。」
俺は何を言っているんだ。こんなことしても今日だけの関係じゃないか。こんなことしたところで俺の恋は今日でこの子が友人の元に戻ったら終わりなのに。どうして声をかけたのか。言わゆるナンパだったかもしれない。そう思いながら近くにあったベンチで待つという彼女と話しながら一緒に待っていた。待つ主が探す声に耳を傾けながら待っているようで話を聞いていても全く違うことを考えているので俺のことは眼中に無いという感じだった。でも待っている時の寂しさの和らげになればと思い話続けた。しばらくして本当の名前なのだろうか彼女は俺に教えてくれた名前じゃない名前を呼ばれ反応した。どうやら探し求めていた彼に会えたようだ。俺は用済みだろう。退散しないといけない。
「なるみちゃん、見つかったみたいだからまたね」
「...あ、かいとくんバイバイ」
なるみちゃんは見つかった彼とそう言うとすぐに行ってしまった。“バイバイ”かもう会わないみたいな言い方だ。いや、本当に会わないかもしれないが、何かショックだった。まるで眼中に無いようなさようならな気がして。少しは気を持って欲しかったなんて。
あの日から1週間、まだ住んでいる街に戻って1週間元の街近くの学校に通い、今日からまたあの遊園地があった街に引越しをする。そしてそこから通える範囲の学校で割と近い学校へ編入することになり、手続きと編入試験を夏休み中に受け、9月からはその学校に編入する。あれから俺はあの子と出会っていない。あの子は同い年くらいだと思ったがどこの学校に通っているのだろうか。俺は夏休み中も出歩いては遊園地の方へ行ってみてり街を散策していれば出会うんじゃないかとあちこち歩き回った。でもばったり会うことはなかった。まさか夏休み明けて学校出会えるなんて思ってもみなかった。
「...今日から新しい転入生の千葉海音くんです。皆さん仲良くお願いします。」
「...千葉海音です。よろしくお願いします。」
「千葉くんの席は鳴海さんの横ね。」
なるみさん?ふと先生の言われた席に行くとあの時一目惚れだった“なるみちゃん”の隣だった。俺は嬉しくてドキドキなる心臓の音が聞こえ、休み時間になった途端思わず告白してしまった。
「あの!なるみちゃんその好きです!ぼ、僕と...」
立ち止まって聞いていたはずのなるみちゃんは、何も言わずに『ゆーすけー!!』と叫びながら教室を出ていってしまった。ゆうすけには聞き覚えがある。あの出会った日になるみちゃんが探していた彼が“ゆうすけ”だった。彼の元へ言ったのだろうか。?マークを浮かべドアの方を見ていると、
「千葉くん、ゆのっちなら隣の教室。面白いもの見られるからすぐ言った方がいいよ。」
その教えてくれた女の子に押され隣の教室の方へ向かい覗いてみるとあの時の“ゆうすけ”がなるみちゃんに押し倒されるようにして一緒に倒れ込んでいた。そして会話も聞こえてきた。
「転校生がきたよ!ゆうくん!」
「...男?」
「うん!ゆうくんも会ったことあるよ、この前ゆのが遊園地であった人。」
どうやら俺のこと話しているようだ。でも、俺だと聞かされた“ゆうすけ”くんは顔を一瞬思いっきり顰めた。きっと恋のライバルかもしれない。いや、なるみちゃんの恋人かも。
「...おい、いい加減離れろ。重い」
その声でなるみちゃんが離れてもなおなるみちゃんがそれでねと話し込んでいる。彼とはどういう関係なのだろう見た感じ恋人同士にみえるが...。
「...あの二人恋人ではないぜ。あ、俺は内海天哉。んで、さっきお前を連れてきたやつが高崎桃。桃は俺の恋人。」
「...あの二人は恋人ではなくなんなんですか?」
「幼馴染。男の方は佐丸侑祐、女の方が鳴海夕望。鳴海の方は超恋愛音痴だぞ。お前が恋したやつはな。」
「...な、なんで僕が...彼女を好きだと...!」
話しかけてきた彼は俺が鳴海ちゃんに恋したことを知っていた。話した覚えないのになぜバレたのか。ふと考えてみるとさっき俺を連れてきた人が彼の彼女だと言った。来る前にした告白を聞かれていて伝えなのだとしたら無理もない。
「...お前なんでか気がついたろ。まぁ、で、あいつ恋愛音痴だから大変だぞ。振り向かせるの。気が付かせるのであいつが苦労してんだから。」
恋愛音痴のあいつはなるみちゃんで苦労しているあいつは侑祐くんであろう。俺がさきに気がつかせて俺を好きになってもらおうと誓った。そのために、夕望の行動を1日観察していると、毎時間休み時間は隣のクラスに行くとわかった。いつも飛び込みながら。ならばこっちで足止めさせればいいだろうと考えた。初日は情報収集で終わり、明日から作戦決行だ。
「...なるみちゃん、僕のこと覚えてる?」
「うん!遊園地であったよね。」
「良かった。鳴海って名字だったんだね?、」
「...そうだよ!なるみって呼んでね」
下の名前はまだ呼べないようだ。話の話題を広げて楽しく話してみると素直に乗ってくれる。こっちの話題にのって楽しそうに話してくれる。毎時間何かと理由をつけて引き止めた。だが、毎時間お昼休みだけは佐丸侑祐にとられる。毎回誘っても途中で遮られ佐丸侑祐に鳴海ちゃんは連れていかれてしまう。なので昼休みだけは身を引いていた。
ある日いつもはギリギリまで過ごす昼休みを半分ぐらいで帰ってきて頭を悩まし『あー!!』と叫んだりする鳴海ちゃん。
「どうしたの?」
「...侑祐、怒らせちゃったかも。」
どうやら佐丸侑祐のことで頭を悩ましているようだそれからしばらくの間毎日昼休みに来ていた佐丸くんが来なかった。当然のようにお昼は鳴海ちゃんのお友達づてで届きそれを食べている。お昼いるようになった最初の日彼女は彼を怒らせたと言った。だが状況から言って違うようだ。何かと考えながら毎日基本そばにいた。そばにいられることは何か恋に発展するかもと期待して。
「...ねぇ、本当は彼に告白でもされたの?」
「...え?」
当たっていたようだ。驚いているが間違いはないようだ。彼に先を越されたら勝ち目はないかと思ったがまだ答えを出していないようだ。数日後の朝まだ悩んでいるようだ
「...やぁおはよう。鳴海ちゃん。今日も悩んでるの?」
「...ん。だってさ、よくわからないんだもん。」
「...そっかー。僕には僕には何も言えないなー。だって悩みの答えは鳴海ちゃんの心の中にしかないもの。」
俺はこんなに悩んでるなら答えは出るのかなと思い俺も告白してみようかと思った。
「...僕ね、鳴海ちゃんのこと好きだよ、話せるだけで嬉しいんだ。」
「私も海音くん好きだよ。話してて楽しいもの。」
「じゃあ、一緒だね?でも僕は鳴海ちゃんに恋してるんだけど、鳴海ちゃんは?」
いや、一緒じゃない。たぶん彼女の言う好きってきっと...。
「恋?分からないけど、普通に海音くんは好きだよ」
やはりどうやら、彼女はまだ恋というものが分かっていないようだ。これはまだ長期戦なのかと少しガッカリしていると彼がいきなり現れ鳴海ちゃんに壁ドンをしてキスをした。鳴海ちゃんは驚いて彼を見た。何か怒っているようでバカバカ繰り返しながら恋について語っていく。そして幼馴染と言うだけあって毎日見ているからこそ見ていなくても相手のことが分かっているようにつらつらと彼に恋してるという理由を並べていく。しかし彼女はピンと来ないようだ。彼がそんな彼女に告白したのを聞いて俺も今しなければと思って、
「...ゆ.のちゃ...」
「ダメ!夕望って呼んでいいのは侑祐だけなの。侑祐以外が呼んじゃ嫌!」
俺は反応してもらいたくて呼んだ下の名前は言い終わる前に遮られ鳴海ちゃんに怒られてしまった。これでダメかと思ったがここで負けるわけには行かないと俺は思って言い直して再び告白を決めた。
「...あ、な、なるみちゃん俺...もなるみちゃんが初めてあったあの日から好きなんだ。なるみちゃん好きです。付き合ってください。」
「...付き合うってどこに?」
鳴海ちゃんは意味を理解してくれなかった。ショックで呆然としていると彼、佐丸くんが大笑いし始めている。さらに俺は訳分からなくなった。彼は鳴海ちゃんに俺と彼どちらに恋をしているのか自分で答えを出すように言って教室に戻っていった。俺も混乱とショックで授業は上の空で何も入ってこなかった。いつの間にか、授業が終わり彼が来ていて鳴海ちゃんに声をかけて答えを聞き出している。当然のように分からなかったらしい鳴海ちゃんに今度は彼に恋をしていると言う証拠をつらつらと並べ始めた。みるみる明らかになっていく彼を好きな証拠。勝ち目はないと悟った俺は諦めかけた時、佐丸くんが思わぬ提案(彼いわく作戦)をしてきた。彼の言う通り内海くん、佐丸くん、俺の順番でキスをすると言うだけ。鳴海ちゃんに嫌なら止めてと言うと内海くん、は止めて佐丸くんの時はされて、俺は?と近づいて行くと即座に止められた。あ、俺はやっぱり勝ち目がないんだと悟る。それからは見てられなかった。佐丸くんによって誘導されるように自覚した鳴海ちゃんは佐丸くんが好きだと気がついてしまった。これでもう邪魔はできない俺の恋はそこで終了したのだ。もうアタックしてもきっと叶いやしない。この2人は思いやりすぎている。入っていくスキすらあたえないくらい。そのくせ佐丸くんは嫉妬深いし、独占欲が強い。だからもう無理だろう。
こうして俺のひと夏の恋は終わった。