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夕望は悩んでいた。あの日、侑祐に告白された日から。恋を知ろうと必死に。だから侑祐のところ行かずずっとボケってして。その光景にみんなが不思議がった。珍しい光景でも見ているそんな目で首を傾げ困ったように見つめる。親友ですら困惑気味で見つめるなか1人チャンスだと言わんばかりに近づき毎日アタックするやつが1名。それは海音だ。

「...やぁ、おはよう鳴海ちゃん。今日も悩んでるの?」

「...ん。だってさ、よく分からないんだもん。」

「...そう。僕は何も言えないなぁー。だって悩みの答えは鳴海ちゃんの心の中にしかないもの。」

誰もがただならぬ雰囲気の夕望に話しかけない中1人話しかけ何かを探るようにずっとそばにいる。

「...僕ね、鳴海ちゃんのこと好きだよ。話せるだけで嬉しいんだ。」

「私も海音くん好きだよ。話してて楽しいもの。」

「じゃあ、一緒だね?でも僕は鳴海ちゃんに恋してるんだけど、鳴海ちゃんのは?」

どさくさに紛れ告白している海音。もちろん恋愛音痴の夕望は何のことと首を傾げて分からなそうにしている。偶然親友の天哉が桃に用があるとクラスを訪れていた、侑祐は丁度よく告白現場を聞いていた。何日かぶりにあったのに全くこっちには気が付かず、告白されている夕望にムッとした表情に変わったのを見逃さなかった親友は楽しそうな声色でいった。

「ライバル出現。侑祐ピンチ」

「...俺だって告白した。」

「でも、逃げたんだろお前。あいつは向き合ってるぞ。とうとうとられるのかねー?」

侑祐にたいしてだけからかい上手の内海くん。侑祐がこう言えば火をつけると分かっているからこその言葉。ムッとするけど火をつける侑祐。

「うるせえ。夕望は俺の大事なやつだ!他のやつに絶対取られてたまるか。」

火のついて目の色が変わった侑祐に天哉はニヤッと笑った。

「...天哉ったら、ほんとさまるんとゆのっちのことくっつけたいのか、くっつけたくないのかわからないな。」

「...くっつけたいさ。でもあいつ面白いから。1度火をつけると何しでかすか分からないのがな、」

天哉の視線を向ける先にはもちろん侑祐。侑祐は、海音と楽しそうに談笑していている夕望に近づく。もちろん夕望は侑祐には気がついていないらしい。ムッとしている侑祐はそのまま近づいて壁ドンして周りから見たら本当にキスして見える位置ににキスしてまだ表情はそのままで驚く夕望に壁に押し付けたままいった。

「...いい加減、俺を好きって言えよ。本当は誰よりも俺が好きなくせに。、」

「...?」

「...気づけよ、ばーか。千葉と話してようと俺のことばっか考えているくせに。俺に恋してるくせに何こいつと楽しそうに話してんだよばーか。」

「...え?」

普通女子ならときめくシュチュレーションだ。夕望もときめいていない訳では無い。ただただ驚く夕望を目にしながら、血が登りきっていて興奮状態の頭をどうにか冷静に言葉を発しているつもりだが興奮は抑えられない。

「...え、じゃねーよ。お前のこと何年一緒にいて見続けてると思ってるんだ。・・・バカゆーちゃん。」

久々に言った「ゆーちゃん」は夕望に響いたようで少しドキッとしたのがわかった。それには少し侑祐の心に余裕ができた。

「...。この恋愛バカが。見え見えなんだよ。いい加減、言えよ。俺はお前が好きだよ。大好きだ。お前を誰にも渡したくないくらい...。」

「...ゆ..のちゃ...」

「ダメ!夕望って呼んでいいのは侑祐だけなの。侑祐以外が呼んじゃ嫌!」

突然、侑祐の告白に横入りして言うなら今しかないとでも思ったのか、夕望の名前を呼んだ、海音は夕望によって静止される。黙って面白そうな告白現場を見つめていたクラスメートは驚いた顔をする、その中で3人だけクスッと笑った。それは桃、侑祐、天哉の3人だ。

「...ゆのっちさ、あれあんたにも言ってたね。天哉。最初は私にもそうだった。」

「あぁ、言われたな。鳴海も本当は好きだよな侑祐のこと。てか、侑祐今ので怒りは沈めたな。」

「...うん。それが恋だと気がついてないだけでね。そーね。全く相変わらずね。」

笑ってコソコソと話す天哉と桃。本当はであった時から両想いだと気がついていた。侑祐も本当は夕望が自分のことを好きなのは知っていて気が付かせたかった。

「...あ、な、なるみちゃん俺...もなるみちゃんのことがはじめてあったあの日からずっと好きなんだ。なるみちゃん好きです。付き合ってください。」

侑祐に壁ドンされたまま、横入りしてきた海音にも告白されポカンとする夕望。でも恋に鈍い夕望は的はずれな答えを返す。

「...付き合いたいってどこに付き合うの?」

「...ぶっっー!ハッハハハ。ゆーちゃんっ...ふふっ。さすがっ....バカっ..ハハハ。」

「え、何ゆうくん?なんか変なこと言った?」

「あーお腹いてぇ。ふぐっ。ハハハ。ゆーちゃん、お前には、次の休み時間までの宿題な。俺か千葉かどっち選ぶのか。」

今度は海音がポカンとする番だ。的はずれな答えにただ呆然とするしかない。侑祐はひたすら笑って自身をもったのか、夕望から離れ笑いながらお腹を押さえている。どれだけ笑っただろうか来ていた先生に気がついて笑ったまま天哉と自分の教室へと帰った。その途中も授業中も終始ご機嫌でうけた。一方夕望は笑い去った侑祐自身と言った言葉が頭から離れず混乱して授業どころでない。桃にサポートされ上の空の夕望はその授業は見逃してもらっていた。海音も告白がなかったようにされているようで完全に負けたのかと呆然としたまま授業を受け、いつの間にかまた休み時間になりさっきの続きと侑祐はやってきた。

「夕望。ゆーの?ゆーちゃん!」

「...うわっ!ゆうくん!」

「で?夕望の答えは出た?俺と千葉どっちがいいのか。」

混乱したままボーッと考えていた夕望は休み時間が終わったことにも気が付かずに話しかけられるまで考え込んでいた。もちろん恋愛音痴の夕望には答えが出ていない。

「...分からないよ...」

「だと思った。教えてやるよ。お前の答え。まず1つ目...夕望はさ、俺にしか下の名前で呼ばせないだろ?さっきみたいに嫌がって。内海の時もそうだった。」

「...えっ?...えっとそうだっけ...」

指摘したことには自覚がないようだ。それか、さっきは既に上の空になっていて無意識に名前を呼ばれそうになったことに反応したってところだろうか。

「...あぁ。さっきもそう言った。侑祐だけだからダメ...ってな。2つ目さっき、告白されてんのにどこに?なんて聞いたバカっぷり。あれ同じこと俺に言われても言うか?」

「...え、あ、いやたぶんいわない?」

「3つ目。ゆーちゃん。...ほら今もだけど。さっきも言った時反応した。何も用なくても名前を呼ばれてお前が嬉しいと思ってんの俺だけなんだろ?だから名前を呼ばせない。俺だけに呼んでほしいから。」

1つずつ指摘していく。ライバルの前で指摘して夕望に1つずつ自覚させていく。

「...4つ目お前の頭の中毎日支配してるのは誰?」

「ゆう...くん。」

「...うん。5つ目。やりたい事や伝えたいことがあった時真っ先に伝えたいのは誰?」

「...ゆうくん。」

やっと少しずつ理解してきたようだ。指摘されたことには理解しているようだ。

「...夕望、お前が好きなのは俺なんだよ。」

「...え、えっ?えっと...」

まだまだ混乱したままで理解できない夕望。でもいつもの行いこそが侑祐が好きな証拠なのは理解した。そこでふと侑祐はいいことを思いつく。これではっきり恋と理解するんじゃないかと確信したから。

「...なぁ、内海。ちょっと協力してくれねぇ?あと千葉お前も。」

「...は?」

いきなり協力を求められた2人は間抜けな声を出して侑祐の声に耳を傾ける。その思わぬ協力に海音は嬉しく思い、天哉が無理だと言う前に侑祐が桃にその作を話している。了承したのかOKとサインだしている。やるしかないこの作戦。巻き込まれた天哉はひとつため息を吐く。順番も決められて最初は天哉。

「...ゆの。ゆのが分からないみたいだから2人に協力してもらうから嫌だったら止めて?俺も含めてね。」

「...え、え?...うん?」

侑祐の合図で仕方なく言われたことをする。ゆっくり顔を近づけキスする寸前夕望に止められる。それにはホッとする。

「...夕望、嫌だって思ったから止めた?」

「うん。それもだけど...ももたろうの好きな人奪っちゃダメでしょ...。」

「ちょっとマジに嫌だ言われるとショックだわ。まぁじゃあ、次。」

次は侑祐。ゆっくり同じように近づけキスをしようと近づくとあっさりとされる夕望。想定通りなので何も聞くことなく海音が次して見ることに。海音もゆっくり同じように近づけキスをしようとする。天哉よりも早くバッと手を伸ばし勢いよく静止される。

「...ダメ!」

「...ゆーちゃん、それがお前の答えだろ?夕望今のでいくらバカでも少しはわかったろ?」

「えっと...その...。」

まだ混乱気味の夕望。でもきっと答えは何となく出たと思う。だけど、このままさっきのように問いかける。

「ゆーちゃん。これでわかんないとさすがにバカ。俺以外止めたよね?俺も含めて嫌だったら止めてと言ったのに。」

「...え、だって、たかやんはももたろうの彼氏で、ももたろうからとっちゃダメだし...。嫌だった。」

「...じゃあ千葉は?」

「...侑祐がして嬉しかったのに、侑祐以外の他のひとにされんの嫌だった。」

鈍い夕望はなかなか気が付かないようだ。こんな鈍いのは想定済みだがバカすぎる。侑祐が近くにいるのが当たり前すぎて鈍っている。けどもう鈍いままではいさせない。はっきりさせてやる。もう一度キスをした。今度は頬に。すると、理解したのか顔が赤く染まる。今度こそ理解したのだろう。

「...バカ。わかった?ゆーちゃんは俺が好きなの?それとも...。」

「ゆうくんがっ!侑祐がすきなの!」

「...うん、で、どー俺となりたいの?」

「...ッ...ゆうくんと...恋人になりたいの。」

自覚した夕望に全て言わせて、意地悪な自覚はあるが、いつもは甘々な俺だから今日くらいは許して欲しい。夕望の答えを聞くとニッと笑って腕をいっぱいに広げ夕望においでと言うと勢いよく飛び込んできた。いつもは不意打ちだけど今日は自分でこいと言ったのでしっかりと受け止める。

「...ゆうくん、なんか今日意地悪。バカバカ言い過ぎ。」

「あぁ、今日はな。バカは事実だ。俺はお前程の恋愛バカは見たことねぇ。」

「...ひどい。...ってなんでこんなみんないる前でこんな告白しなきゃならないの...!意地悪っ。」

「...今頃気づいたか。さすがバカ夕望だな。」

バカバカ言っているが俺はそれでも夕望が好きだしバカにも愛情がある。バカっぷりを今日は晒していつもは侑祐が恥ずかしい思いをしているから今日くらいは夕望に恥ずかしい思いをさせてやる。それが侑祐の今日だけの意地悪。実は侑祐だって今の状況は恥ずかしい公開告白したあと、今抱きつかせたままで思い出したのは告白する前にキスしたし、気が付かせるためにキスしてもう恥ずかしい告白で恥ずかしすぎる。みんなの顔が見れない。クラスメートが「おめでとう」とか「ヒューヒュー」とからかうような祝福しているのは分かる。ふと顔を上げた先にいた天哉と桃はすごくニッコリと笑って口だけで「おめでとう」と言った。

海音に声をかけられゆっくり抱きついていた身体を離す。

「...僕の負けだ...ゆ...あ、いや鳴海ちゃん僕はどこがダメだったのかな?」

「...どこもダメじゃない。海音くんが現れようが、他の誰かが現れようが、私が侑祐しか観てなかったから。」

「...それは...僕を少しも恋としては見てくれなかった?」

「...うん。他の誰と話してようと私の頭の中は侑祐だけ。侑祐しか考えられない。ごめん。侑祐でなきゃダメなんだ。」

はっきり言い切った夕望。侑祐はとても嬉しかった。まさかあんな恋愛音痴で恋愛の“れ”の字も知らなかったあの夕望がここまではっきり『侑祐じゃなきゃダメなんだ』と言い切ってくれたことに。

「...良かったな侑祐。」

「...あぁ。」

「これでお前も、心置き無く...恋人らしく出来るな。」

「...いや、特に何か大きく変わることないだろ。俺は気持ちが通じあったことでとりあえず十分かな。だってあいつは...」

天哉が言うのはこれで心置き無く...恋人らしく出来るな。これには色んな意味が含まれてるだろう。けどそれ以上に侑祐は気持ちが通じあったことに満足だしまず、通じあったからといって変化するかと言ったら...。

「でさ、ももたろう?恋人ってなんか変わったことあるの?」

「...はぁ?!あんたねぇー...あぁ、でもあんたらの場合はほとんど何も変わんないんじゃない?」

「えー?なんだー。いつもと変わらないのか。」

「...あんたらの場合変わるといえば...(コソコソ)」

さすがに恋愛音痴に恋人って何が違うのかは分からなかったらしい。そうなりたいと言ったくせにあまり理解出来ていないとはいかにも夕望らしい。でも理解しようと聞いた相手が間違っている。桃は天哉と3年ぐらい付き合っている相手だ。恋愛の色んなことを知っている。思った通り夕望は桃から聞いていて真っ赤になって、こちらをチラッと見ては伏せて恥ずかしがっている。いったい何を吹き込んだのか。

「...そっかあいつ恋愛音痴だったな。」

「...あぁ、つーか高崎のやつ何を夕望に吹き込んだんだ。」

「...そりゃあーあれだろ。お前らが恋人っていって変わることつったらアレしかねぇだろ。お前らは恋人でなかった通常が恋人ぽいことなんだから。」

そこまで言われて侑祐も顔を赤く染める。考えていなかったわけじゃないがこうもハッキリ言われたら恥ずかしくて仕方がない。だが、あの恋愛音痴にはしばらく手出しするつもりはないが今までとはあまり変えることのないようにするつもりだ。変わるといえば、キスぐらいだろうか。それ以上はあの恋愛音痴にはキャパオーバーだろう。今でさえ何か吹き込まれあの様子だ。吹き込まれたのは恋人のすることのあれやこれだろう。この先はまだまだあの恋愛音痴には悩まされることになるであろう。

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