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トーキョー【A9】遺跡  作者: 小宮祭路
4/18

3 スマホを覗く会

1~6話は書き直し中でございます。

「王が……そう仰せになるのでしたら……」

 現場監督改め、映画俳優のオッサンがリリアに諫めの一声かけると、彼女は渋々といった表情で剣を鞘に収めた。

 ひとことでリリアの行動を制限出来る権力がある……ってことかな? どちらにせよRPGでいう大ボスみたいな存在だってことは間違いないだろう。あんな衝撃波を片手で弾いてしまうあたり、戦闘の技術なんかも想像ができないほど高いんだろう。このオッサンはこの世界のどこぞの国の王様なんだ。

 王と呼ばれたオッサンがリリアと俺の間に入って、俺の顔を真っ正面から見つめてくるんだけど、威圧感ハンパねぇ。

 王がデカいので、俺はちょっと見上げるようになってしまう。奥の方に緑三つ編みの眼鏡っ子であるシオワーズっていう子とファビオというお姉さんがいるのが見えた。リリアも近くにいるから4対1という感じで居心地悪いことこの上ない。

 王様のフェイスはなんというか……渋カッコいいんだけど、スキがなさ過ぎてもの凄く恐い。悪いコトをしたら一発で見抜かれそうだ。赤ちゃんの瞳を前にすると悪いことができない、というのとは違う。もうムリヤリ吐かされるってカンジ。また白黒縦ストライプのスーツがこんなに似合う人なんていうのも見たことがない。また濃い紅色のショートマントに嫌味がない。普通こんな派手な柄なんて着ていたら浮くものだ。まあ異世界の王様なんだから、これくらいは……そういえばこれ、俺の世界にもあったスーツだよな? そうだ。最初異世界だって感じなかった理由はここにある。

 俺はリリアを見た。制服。セーラー服だ。

 シオワーズっていう子を見る。ブレザー。どこぞのミッション系みたいな雰囲気がある。そしてファビオというお姉さん。フェイクファーっぽいフードパーカーを着て、スカードはミニのエナメル。ミュールも何か紫でオシャレ。お姉さんは渋谷とか原宿な感じ。それに王はさっきスマホを使っていた。

 うん。そうだよ。

 これのどこに異世界感があるんだよ。

 ……。そっか、リリアだ。あの子が剣を持っていて……そっから衝撃波を繰り出した。俺がここを異世界だと思った理由はそこにある。

 なんで服が俺の世界のモノと同じなんだ?

 オッサンが口を開いた。俺の中に緊張が走る。

「混乱しているようだな」

「どうも……初めましてって言えばいいのか? わかんないけど」

 少し俺は構えている。多分その気配が伝わっているんだろう。リリアが腰の剣に手をかけている。それは先ほどまで俺に攻撃していた戸惑いの感情からではなく、王に対する態度がなってないからだろう。

 でも俺は引くつもりなんてない。

 地面にある魔法陣みたいな模様を見てピンときた。俺は何らかの目的でこの人たちに呼び出されたんだ。俺に利用価値があるのかどうかは知らないけど、現時点で傷をつけたり捕まえられてないってことは、そう見ていいはずだ。最初っから下手に出たら、ガキだからナメられる。コイツ、わかってねーヤツだなと思わせるくらいがちょうど良い。お前らのことなんざひとっつも知らねーんだからな。

「まぁ、そう睨むな」

 睨んでるつもりなんてねーよ。

「困ったな。シオワーズ。ちょっとこれを見てくれないか?」

 オッサンが緑の三つ編みの子、シオワーズにスマホを渡した。なんだ? アプリか? こんな状況でソシャゲでもやってんのか?

 スマホを見た瞬間、シオワーズの顔からストンと表情が落ちた。ガチャでいいのが出たのか?

「お……父様」

 おとうさま? ええ!? このオッサンとシオワーズは血が繋がってんのか?

「この方の源衣は……オリジン級!?」

「というより、それ以上だろうな」

「で、ですが、それは私たちの求めた技術とは全く別の……」

「ああ、そうだな」

「ちょーっと貸してシオワーズさま!」

 すると後ろからエナメルミニスカートのお姉さんがそのスマホをむんずとつかんで自分の方に引き寄せた。シオワーズごと。おい、バカ力かよ。あ、シオワーズのスカートの中、見えそう。

「ふぁ、ファビオさ~ん、やめてください~!」

 白。王の娘ってことは王女か。シオワーズ王女。あのファビオって人はシオワーズに様を付けてたから、ここに居合わせる権利は持ってるけど、地位的には下ってことだよな? でもああいうことができるってことは、あの人もなんかスゴい人なのかもしれない。ギャルだからってバカにしてるわけじゃないぞ。

 そのファビオがシオワーズを抱き抱えながら目玉が飛び出そうなほどスマホを凝視した。

「なんじゃそりゃああああああああああ!!」

 そして絶叫。おい、さっきまでのしゃなりしゃなりした喋り方はどこいったんだよアンタ。それだとマジで渋谷の黒ギャルだぞ。

「ちょっと、うるさいですよ、ファビオ。何があったというのです」

「リリア。アンタもこれ見なさいよ。驚くから」

 リリアがスマホを見る。ファビオお姉さん、さっきまであんたその子のこと、リリア団長って言ってたよな? しっかし、スマホの画面はなんも見えないのでわからんのです。あなたがたが何で盛り上がってらっしゃるのか、私には全くわからない。お願いです。分かるようにしてください。

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