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住み込みで働き始めて早2か月とたちました。幸い言葉は通じる環境だった為か、リサは早くもこの世界に順応していきました。お客さんとも普通に会話できるようになり、常連とも顔見知りになっていきました。まぁ常連客は「こんな小さいのにお手伝いしててえらいなぁ~」と保護者目線で見ていたのですが。
そしてその話は突然出てきました。リサはこの国について詳しくは知りませんでした。何しろこの2か月お世話してくれている女将さんになんとか恩返しをしたいという気持ちでいっぱいいっぱいだった為、余計なことは後回しにしていたのです。いつも通りお昼のピーク時が過ぎ客もまばらになった頃のことです。常連のお客さん達の話が飛び込んできました。
「しかし、陛下もすげーよな。3国隣の王女といえば絶世の美女って有名じゃん。それをあっさり振るとはなぁ」
「まぁなー。でも陛下ってあれじゃん。あれ」
「あれ?」
「あれだよ。例のう・わ・さ」
「あーあれなぁ。あれってどこまで事実なの?俺単なる噂なんだと思ってたんだけど」
「知らねぇよ。んなもん。でも美女を振るってことはさぁ、結構信憑性高いんじゃね」
「うわぁー。なんか嫌だなぁー。あの陛下がだろう」
終始この国の最高権力者について話している2人を見ながらリサは不思議に思ったのでした。
(何の話をしているんだろう?陛下の噂っていったい・・)
元来、好奇心旺盛のリサは意を決して2人に話を聞くために近づいていったのです。