20
リサはとても困っていました。そしてそれは顔にも出ていました。とてつもなく困った顔をしていました。原因は明確です。目の前の紙です。そうです。紙が原因です。しかし、予想とは違って内容ではないのです。それ以前です。異世界トリップのお約束といいますか、リサはこっちの世界の文字が読めないのです。
(うわぁーどうしよう・・。なんて書いてあるか全くわかんない。でも読めないって言っていいのかなぁ。ダメな気がするよねー。普通の子なら多分読めるはずだよなぁ。ってか、日本でも小学生で、漢字なきゃ基本何でも読めるもんね。マジ、どうしよう。最早適当にサインするべき?いやいや、でも怪しすぎるよね、これは。うわぁーどうしよう・・・)
少しばかり危険な思想が混じっている気がしますね。内容わかってないのにサインなんてしちゃだめですよ、リサちゃん!
困惑顔で動かずにいたリサを不審に思ったケビンが窺うようにリサに呼びかけます。
「リサ様?どうかなされましたか?」
眉を八の字にしながらゆっくりと顔をあげ思いっ切って、禁句?を告げます。
「あのっ!私、これなんて書いてあるか読めないんですけど!!」
中々強気に爆弾発言をかましました。さすがリサです。かっこいい。もう告げてしまいましたし、後は野となれ山となれですね。流れというか、その後のケビンに任せましょう。彼がどう出るか。ドキドキの心境で待ちましょうかね。