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そうして話し合いの席が設けられました。しかし、男は多くを語りません。肝心なことは全然話さないのです。リサは困惑します。そしてダンテは難しい顔をしています。男がいうことと言えば「ともかく城にきてほしい」「重要なことの為ここでは詳しく語れないんだ」そのセリフの繰り返しです。
どれくらいの時間がたったのでしょう。もう1時間も無駄な談義をしている気分です。多分実際は20分程度だとおもいますが。リサは根負けしてしまいます。そっとダンテの顔を見て、「城にいってみる」そう告げます。
そのあとのダンテのリアクション。それはそれは言葉では言い表せられないものでした。怒りともあきれとも違う、心配とやるせなさととまどい、そんな感じが見て取れました。それもそのはずです。得体の知れない男達からの求婚というか甘美な誘惑、そしてそれに応えるのは世間知らずな見た目幼女です。心配するなというのが無理なはなしです。しかし、ダンテもわかっているのです。目の前の彼らがどういう身分なのかを。なんとなく想像はできています。そして逆らうことなどできないことを。今はまだ下手に出ていますが、いつ権力をかざしてくるかわかったもんでなないことも重々承知です。
「ふー」とため息をつき、ダンテはリサに告げます。
「お前の人生だ。好きにするがいい。城に行くならいっておいで。この国のことも、それからお前がここに来たわけもわかるかもしれないしね」
なんて優しいんでしょう。そしてなんて男らしいんでしょう。ダンテさん。ホント女にしとくのが勿体ないくらいの男前です。一生の別れかもしれないしれないのにさらっと送り出すなんて、簡単にできるもんじゃありません。
まぁこんなわけで、リサの城行きが決定いたしました。