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「は?」
リサは鳩が豆鉄砲を食ったような、開いた口が塞がらないような、そんなただただ唖然とした表情で男を見つめます。第三者から見ればひどく滑稽です。人ってここまで唖然とできるのかと感動してしまうほどの唖然っぷりです。ですがその男はそんなリサのことが気にならないのか、平然とした態度で言葉を並べていきます。
「私どもは、あなたのような存在を探していたのです!!ぜひ、お城にいらしてください。望むものならなんでもさしあげますし、どんな願いもききますので、ぜひ!!」
とんでもない文句を次々と並べていきます。そして何より必死さが半端ないのです。熱心なのです。こっちが引くくらい、というか実際引いてます。リサなんて少し後ろに下がってしまいました。その勢いのせいで内容が全然頭に入ってきません。すごいセリフを言っているはずなのですが、目の前の男の必死さでいっぱいいっぱいです。頭が混乱してわけわからなくなっていく中、遠くの方から冷静な声が聞こえてきます。そう、ダンテの声です。
「とりあえず、あんたは落ち着いて。んで、リサの手を放す。そうしないと、その子倒れそうよ」
ダンテの一声でみんな正気に一応は戻りました。興奮していたのです。何せ、長年探し求めていた対象に出会えたのです。落ち着いてなどいられなかったのです。とりあえず冷静に話すため、お店を一旦閉め、みんなでテーブルを囲むことにいたしました。