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第一話

-7年後-

世界は各種族ごとに分かれ、安寧を取り戻しつつあった。そんな中、各種族は様々な技術提供をし、完全中立地帯を作り上げました。それが最先端開発都市〈エンデュミル〉。

この都市には合計5つの学園があり、それぞれの特徴を持っている。この都市にある学園には様々な種族が通っており、全員が一般教養以外に戦闘などに関する授業をうけている。なぜ戦闘授業が必要かというと、各種族から離反し、テロ組織のような集団を作って暴れまわるやからが増えたからである。そんな集団に対して各種族は対策のために若者たちの育成に力を注ぐことにしたのである。

そんな中、人類にも唐突な変化が起き始めていた。

人類の中に突然他の種族の魔法や能力などを使えるものが出てきたのである。

中でも若い層に数多く現れていた。

環境の急激な変化によるものなのかは未だはっきりしていない。

このため、エンデュミルの学園には多くの人間も通っている。

そしてここには、紅龍人も通っていた。

龍人は5つある学園の一つで、人間が多く通っている場所である月詠学園に通っていた。

今まさに登校の最中である。

「おはよー」

「うぃーっす」

今返事をしたのが龍人で、声をかけたのが龍人の幼馴染である風間優衣である。薄緑の髪にツインテールが特徴の女の子だ。ちなみに胸は平均的である。そして一番目立つのが腰にぶら下げているレイピアだ。

「今日から2年生だねー」

「そーだなー」

「龍人はもう少し頑張らないとだめだよー」

「なんだいきなり・・・」

「だって龍人、頭いいけど実技のほうは全然本気出さないじゃん」

ぎくっ

(なんでばれたんだ・・・。うまく誤魔化せてると思ったのに・・・)

「全然誤魔化せてないわよ。何年一緒にいると思ってるのよ。簡単にわかったわ」

「心を読むな!」

「だってわかりやすい顔してたし」

龍人は釈然としない顔をした。

「まぁ出したくないなら別にいいけど留年だけはしないでね」

「へいへい」

こんな調子で学校に到着し、教室へ入ったところで二人へ近づいてくる人物がいた。

「二人ともおはよう」

「おー、レイおはよー」

小走りで駆け寄ってきたのは人狼族のレイ・ウォルフィンだ。

レイは身長が高く、銀髪を長く伸ばし蒼眼で整った顔をしている。

「おう」「おはよー!」

二人はそれぞれ挨拶をかえした。

「今年も同じクラスだな」

「おう。今年もよろしくな」

「よろしくね」

三人は去年も同じクラスであり、よく一緒につるんでいた。

「そういえば聞いたか?今年の一年には七竜の一体、風竜使いがいるらしいぞ!」

「そうなの!?すごいねー!」

七竜とは、竜族の中でも他とは比べ物にならない強力な力をもっている七体の竜のことである。火竜、水竜、風竜、雷竜、氷竜、光竜、闇竜。この七頭の竜が竜の頂点に君臨している。そして竜たちは、自分が認めた者にしか力を貸さないため、竜使いというだけでも珍しいのに対し、今回は風竜ということでかなり話題になっているようだ。ちなみに竜は普段、使い手の体に宿っている。

「風竜使いねー」

龍人はあまり興味なさそうにしていた。

「なんだ、龍人は興味ねーのか?噂だとかなりの美少女らしいぞ?」

「んー。まぁあまり関わりたくはないかなー」

「珍しいやつもいたもんだ」

レイは不思議そうな顔をした。

「でも珍しさには欠けるんじゃない?だってうちの生徒会長も七竜のうちの1頭、氷竜の使い手じゃない」

「まぁたしかにそうだけどさ、だとしても七竜はやっぱ珍しいだろ。」

「んーそうなのかなー」

「そうだって!」

キーンコーンカーンコーン

「おっと。時間だ。そろそろ席に戻るか」

「そうだな」

各々席へと戻り、朝のホームルームが始まった。

そして始業式。

新入生代表のあいさつが始まった。

「おっ?あの子じゃないか?噂の風竜使い。」

レイがつぶやくと龍人が壇上に目をやった。

(あの子が風竜使い・・・)

風竜使いの少女はエルフ族だった。

エルフ特有の長い耳に、金髪のロングヘアーで碧眼であり、全体的に小柄だった。

残念ながら胸はまな板同然であた。

かなり堂々としており、気の強そうな印象を受ける少女であった。

「・・・以上で挨拶を終わります」

龍人としてはやはり積極的にかかわろうとは思わなかった。

「なかなか真面目そうな子だったな」

「委員長タイプかな?」

「なんだよ委員長タイプって」

優衣が新入生に対しタイプ付けをはじめだした。

そんなことをしている間にも始業式は進み、あっという間に終了した。

「いやー今年の新入生はおもしろそうなやつがたくさんいたなー」

「だよねー。強そうなのもそこそこいたと思うし」

「そんなことより早く帰ろうぜー」

「いやいやまだ午後に授業あるから」

「あ、忘れてた」

「「おいおい」」

二人同時にツッコまれた龍人は特に気にする様子もなく

「じゃあ俺今から屋上で寝るから授業終わったらお越しにきてー」

「お、俺も行くぜー」

「あんたたちさっそくサボる気なの・・・」

龍人にレイが便乗し、優衣はそんなふたりをあきれた様子で見ていた

「授業終わったら起こしてくれ」

「よろしくなー。ゆいー」

レイと龍人は教室をあとにした。

二人が屋上につくと先約がいた。

今はまだ休み時間のため他の学生がいたとしても不思議ではない。

「おい、あれって・・・」

「・・・新入生代表じゃん」

「・・・誰ですか?」

入り口で止まっていた二人は驚いた。

それなりに距離があり、小声で話していたにも関わらず、少女はこちらの存在に気付いたのだ。

「いや、怪しいものじゃないんだ。ただ単に屋上に来ただけの通りすがりだよ」

「そうそう、ただの通りすがりだよ」

「そうですか。しかしもうすぐ授業が始まりますよ?」

ぎくっ

「えーっとー・・・」

二人は気まずそうに視線をそらしながら何とか誤魔化す言葉を探していた。

「・・・まさかサボりに来たんじゃないですよね?」

ぎくぎくっ

「そ、そんなことないよな!龍人!」

「そ、そうだよな!レイ!」

「怪しいですね」

「「そ、そんなことないよ?」」

「・・・」

ジト目である。

「まぁ今回は見逃してあげますよ」

「「ありがとうございます!!」」

なぜか二人そろって情けない姿になっている。

「それでは私はこれで」

少女は教室へ戻っていった。

「・・・そういえば名前聞いてない」

龍人は始業式の大半を寝ていたため、彼女の名前を聞いていないのだ。

「えーっと・・・。たしかニーナ=エルフィーネだったかな」

「ニーナか・・・」

「気になったのか?」

レイはニヤニヤしている。

「そんなんじゃねーよ」

「照れるなって!」

ニヤニヤ。

「照れてねーよ!てかニヤニヤすんな!」

レイのニヤニヤは止まらない。


ーーーーーーーー


「いやーよく寝たー」

「熟睡だったな」

放課後になり、優衣が2人を起こして帰路についていた。

「でもあの子に会った時はびっくりしたよな」

「だよな」

「誰にあったの?」

優衣の質問に対し2人は

「「新入生代表」」

息ぴったりだ。

「そうなの!何してたの?」

「さぁ?」

「わからない」

「ふーん」

「そういえばさ、明日から1年と2年の交流戦だよな」

レイが話題を切り替え明日の話を始めた。

「そうだったな。てか前から思ってたんだけど、入学式の次の日に交流戦って早くね?」

「まぁ実力を見るって意味も含めてるらしいからね。」

交流戦とは、1年と2年が交流という意味も含めた対戦である。トーナメント形式になっており、1年と2年がフルで混ざった大規模な大会のような感じだ。一対一や二対二のタッグ戦までがある。タッグ戦では、1年と2年が混ざったタッグでもOKである。ただし、当日までにタッグパートナーが見つからない場合は、同じく当日までに相手のいなかったものと強制的に組まされる。ちなみに一応どちらにもに参加しなければいけないが、怪我などして試合に間に合わない場合は棄権が認められる。

「龍人とレイは相手決まったの?」

レイは

「まだ決まってねーよ」

龍人は

「あまりでいーわ」

「龍人やる気なさすぎ・・・」

優衣が呆れた様子で龍人を見た後、レイの方を向き、

「じゃあレイは私と組まない?」

「お、いいぜ」

タッグやチームになると大体はこの2人が組むため、かなり息が合うのだ。

「じゃあ俺の分まで頑張ってくれよ」

「龍人もちゃんとやる気出しなさいよ」

「仮にもお前だって七竜とはいかなくても、竜の力を使えるんだから頑張れよ」

龍人も竜を宿しているのだ。

しかし、龍人はあまり竜の力を使ってはいない。全く使わないわけではないが、必要最低限という程度だ。

「まぁ程々にな」

それでも龍人はやる気がでない様子だ。

「まったく。お、もう駅だな。じゃあ俺はここで」

そういいレイは駅に向かっていった。

「んじゃ俺らも帰るか」

「そうだね」

龍人たちもまた歩き出した。



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