プロローグ
-7年前-
突如として世界は一つになった。
天界、魔界、異世界など別の次元、別の空間に存在していたはずのものが突然重なり一つになったのだ。そしてそれは一つの世界を中心としていた。それが人間界である。
人々は突如として現れた見慣れぬ生き物や、建物、植物などに驚き混乱し大パニックになった。中には他の世界の住人達を襲いだすものもいた。
そんな中、何の力もない一人の少年がいた。
少年の横には小さな女の子がしがみつき泣いていた。少し離れたところには両親らしき二人が倒れていた。
「父さん・・・母さん・・・」
両親のすぐ横には魔族がいた。魔族の見た目はガーゴイルと呼ばれる悪魔のそれであった。
少年はただ立ち尽くすことしかできなかった。両親はすでに息絶えており、その原因であるガーゴイルは少年たちをあざ笑うかのようにゆっくりと近づいてきた。
しかし少年は逃げなかった。
真正面からガーゴイルをにらみつけていた。その結果ガーゴイルは機嫌を損ない、二人を殺そうとした。しかし二人がこの悪魔に殺されることはなかった。
なぜなら悪魔が二人を殺す前に、悪魔が息絶えたからである。少年は突然のことに驚き、そして恐怖した。少年の目の前には異形の悪魔が踏みつぶされており、かわりに巨大な竜がいた。その竜は静かに少年の方を向いた。
「少年・・・名はなんという・・・」
少年は突然名前をきかれたことに驚いた。
「・・・紅・・龍人」
少年・・・龍人は答えた。
「リュウトよ。力が欲しいか・・」
竜が問う。
龍人は竜の問いに対し、疑問を抱いた。しかしその疑問はすぐに消え去りその問いに答えた。
「欲しい・・・力が欲しい!!」