2話
制裁方法だが実体がないので肉体的は無理だ……仕方がないので今までどうりに爺にはストレス発散するためのものとして扱おう
「爺よ。街まであとどのくらい歩けばいいんだ?」
『何時からルビが変わったのか教えてくれんかの!?』
「そんな細けえことはいいんだよ。さっさと質問に答えろ、爺」
『わしの扱い雑すぎんかの!!こんなのでも一応神様なんじゃよ!?』
「それなら……今の俺の痛い子状態をどうにかする方法を作ってから言え!?」
――クエスト発生 神様の機嫌を取れ
達成条件 わしの扱いがよくする
報酬 念話:これさえあればわしと話すときに声を出さなくっていいんじゃ
とそんなことが頭にうかんだ
「……念話って能力じゃないのか?それを自分の扱いをよくするためだけに報酬にするなんて職権乱用じゃねえか?」
『大丈夫じゃ。クエストの説明するときに一度クエストを発生させる必要があるからの?その報酬が念話と決まっておるんじゃ』
「……つまり本来はすぐにあげるものを忘れていた上にそれで自分の扱いをよくしようと考えたわけか?」
『ドキッ……そ、そんなことないよ』
「能力渡すか、さらに扱いが悪化するか、選べ」
『そんなことより魔物が現れたぞ!?』
……あとで覚えていけよ?必ず追い詰めてやる……
魔物が茂みから現れた。そいつは30cmくらいの緑色がかった液体、その中に緑色の石のようなものがある。RPGなどでよく見るスライムがいた
「す、スライムだと、マジで存在するのか!?やべぇほど触りたい!?この衝動を抑えるべきか、いや抑えられん!?」
しゃがんでつっつくと指が沈み込むそれをしばらく繰り返し溶かされたりすることがないことを確認すると持ち上げ、遊びはじめる
「よしこれで街までの暇つぶしには困らないな。さて、爺さっさと能力をわたすか、扱いかどちらかを選べ」
『能力渡しますからこれ以上の扱いの悪化だけは許してください!!!!!!』
――零はクエストを達成し、念話を手に入れた
クエストの発生と同じように唐突に頭の中にそんな言葉がうかんだと同時に
「貴様何者だ!?」
大声で話かけてくる煌びやかなフルアーマーを装備したいかにも騎士という格好をした男がいた
*
なんだあのスライムを弄んでいる奴は!?スライムは触れば溶かさせるはずだ!?それに冒険者にしてはいい服すぎるし、軽装備すぎる。そしてなによりスライムをもっているということが異様すぎる。此処より先に街はない。それに魔族の国との境目の森があるだけだ。これらの情報から魔族の可能性が高い。だから私は警戒しながら
「貴様何者だ!?」
と誰何した。
*
「神崎零だ。向こうにある森の神殿に住んでいた」
言葉は通じるみたいだな。勉強やら通訳の魔法などは探さなくていいということか……
「確かにあるがあそこに誰か住んでいるということを今まで私は一度も聞いたことがない。本当のことを言え」
「おまえが知らないだけで俺が嘘をついているということにはならんぞ?」
「その可能性もあるが今の貴様には怪しいことがおおすぎる。この国を守る騎士として貴様の身元を知る必要がある」
「と言われても記憶がない。俺が覚えているのは神殿にいたことぐらいだ」
さてどう出てくる?それによっては俺はおまえを殺さなければならなくなる
「なら駐屯地までついて来い、そこで取り調べをする」
「俺はむこうにある街へと行きたいんだが?駐屯地は街にあるのか?」
「街にある。ついて来なければ反逆者として処刑する。あとそのスライムを殺せ」
スライムを殺すのはすこし残念だが、こいつについて行けば街の中へ入るのも簡単だろうし、知識も少し手に入る。だが取り調べを受けて処刑するということになる可能性もある。此処でこいつを殺せば後々厄介なことになるだろうし、ここは従っておくか。危険なことになるまでは……
「分かった。駐屯地まで行こう」といいながらスライムの核らしき緑色の石を握り潰した
その直後スライムはただの液体となって手から落ちていく……
――零は液体化、液体操作、液体復元をラーニングした
手を振って手にこびりついたスライムだった液体を飛ばす。ついでに液体操作が使えるか確認しながら……
「んでおまえの名前はなんていうんだ?」
「私はバイアス=ジェネラスという名前だ」