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"デ" はデマ党のデ

作者: 稀Jr.

世の中がこれほどまでにデマに溢れかえってしまったのは何故だろう? 雑誌ムーを皆が読んでいないから、いや、ネス湖のネッシーや宇宙人による拉致や UMA と呼ばれる未確認生物の存在や宇宙のブラックマターの有無など、そのようなオカルトがはびこっている。いや、オカルト自体はいいのだが、そのオカルトともデマともつかないものが流行るのがどういうことだろうか?


「粉もん文化は戦後アメリカによって作られたから守る必要はない」というのは何か? ひょっとして、大阪のお好み焼きや広島の広島焼やたこ焼きや明石焼きはすべて戦後からあるものなのか。すべてアメリカからもたらされたものか? ということになる。確かに、小麦粉は「メリケン粉」と呼ばれる。メリケン、つまりはアメリカのことである。だからといって、戦前にメリケン粉がなかったとは思えない。いや、たこ焼きはあっただろうし、それは日本の食卓にも上っていただろう。いや、関東にはなかったかもしれないが、関西にはあったはずだ。家庭にたこ焼き用の鉄板があり、家でも作れていただろう。

そうなると、そこで練られていたものはなんだろうという話になる。


「メリケン粉じゃなければなんだ?」

「いや、それは小麦粉だろう」

「メリケン粉と小麦粉とは違うのか?」

「ええ、そうです。メリケン粉と小麦粉とは違うのです」

「どう違うのだ?」

「そうですね、詳しく粒子を見てください。ほら顕微鏡での写真がありますよ。ここに。メリケン粉はですね、非常に陽気なんです」

「陽気?」

「そうです。非常にアメリカナイズされている小麦粉、いえメリケン粉なんですね。アメリカンジョークを飛ばすし、アメリカ特有のフレンドリーさに溢れています。いまでこそ、♠大統領で分断がおこっていますが、当時のアメリカ、実にアメリカンカウボーイだった時代があったんです」

「ふーん。それで?」

「この小麦粉はですね、日本のものとは違います。アメリカのメリケン粉は何事にもフレンドリーなので、どこにでもくっつく性質があるのです。ほら、パンをこねるじゃないですか。こねるパンの粉に水を含ませすぎるとべちゃべちゃになってしまいます。パンをこねるにしても、その当日の水分量をうまく調節してやらねばなりません。湿気ですね。ですから、日本の小麦粉は日本特有の梅雨の時期にはパンをこねるための水を調節しなければいけません」

「それと、メリケン粉とどう違うのだ?」

「そこは、メリケン粉です。アメリカの風土でからっとしているので、メリケン粉もからっとしています。ねちねち風土の日本の小麦粉とは違うんです。ですから、ほら、この天ぷらのようにからっと仕上げるためのてんぷら粉がメリケン粉では実に活用されているわけです」

「なるほど、メリケン粉なのか」

「そうです。たこ焼きにしてもですね。日本の小麦はもちもちとしてたこ焼きに向いていますが、メリケン粉の場合はどうもうまくいかないんですよ。ほら、タコがね、ちょっと苦手なんです。メリケン粉で作ったたこ焼きの場合は、タコがはみ出てしまうのですが、ほら、日本の小麦粉の場合はうまくタコを包んでくれます。まさしく、これが違いですね。西洋では悪魔のように嫌っているタコですが、日本では明石海峡でおいしく食べられています。一部、イタリアではタコを食べていた地区があるので、それこそ戦前の場合は枢軸国として同盟を組んでいたぐらいですからね。タコつぼのタコなかまというところでしょう。ですから、戦前のたこ焼きは小麦粉で作っていたが、当時はまだメリケン粉は入っていなかったわけです」

「なるほど、そうなると、粉もんとの違いはなんだ?」

「つまりですね、粉もん文化とは日本独自の小麦粉と、アメリカナイズされたメリケン粉が融合したものの文化交流なわけです。そうするとですね、当時はばらばらに日本の小麦とアメリカのメリケン粉と分けていたのですが、それはあまりにも大変。つまりは男が摘まんだコーヒー豆と女が摘まんだコーヒー豆をより分けるのが大変ぐらいなものです。これは「荒野の天使ども」を読んでください。話は続きますが、そんな分け方なんてできないので、結局は日本の小麦粉とメリケン粉がまざってしまって、今の粉もん文化ができたわけです」

「なるほど、そういうわけなのか、で、うどんのほうはどうなんだ?」

「いえいえ、うどんは大丈夫ですよ。うどんはうどん粉で作られているぐらいですから、メリケン粉は入っていません。パンも大丈夫です。メリケン粉ではなくて、強力粉とか薄力粉とかいう種類をまぜていますからね」

「ああ、たしかに、そういえば最近のパッケージには「メリケン粉」とは書いていないな」

「そうなんです。戦後のチョットした時期にアメリカナイズされたメリケン粉が入ってきたのですが、それはうまく排除されています。これで危険なメリケン粉文化が日本には入って来なくなったので、それは今伝わっている粉もん文化とは違うものです」

「? そうなのか、違うのか?」

「そうです、いままでお客様にわかりやすいように「粉もん」と言っておりましたが、正確に言えば「粉モン」です。つまり「もん」のひらがなじゃなくて、「モン」はカタカナなんですね。これはアメリカだからです。日本じゃありませんよね。カタカナは外国から来たものを表すので「粉モン」と言えば、まさしく外国産、つまりはアメリカのメリケン粉を指すというわけです」

「そうなのか、じゃあ、守るも何も、今食べているのは「粉もん」だから「粉モン」じゃないのか」

「はい、はいそうです。なので「粉もん文化は」のところは「粉モン文化は」という云い方を私達はしていたので、そこをひらがなのほうの「粉もん」に勘違いされた方が多くいらした、という形になります」

「うむ、それなら納得だナ」

「はい・・・・」


という具合にだな。デマを発信してくれればいいのだが、なかなかそこの域には達していない。ここまで話せば、「それ、もんもんとは違うやんけー」と突っ込みが入ってデマだと分かりそうなものなのだが・・・・、なかなか難しいところである。


他にも「メロンパン1つ食べて翌日死んだ人をたくさん見た」というデマがあるそうだが、これもデマともなんとも言えないところがある。そもそも、一生のうち1個だけしかメロンパンを食べない人がいるだろうか。間違ってメロンパンを1つ食べた後に別のメロンパンを食べる人は多いだろう。

人生の中で、ただ1回しかメロンパンを食べない人と2個以上食べる人との違いはなんだろう。大抵の人はメロンパンを2個以上食べたことがあると思う。私もそうだ。

だから「メロンパン1つだけ食べて~」、というのは、そもそもメロンパンを1つだけ食べる人がいるのか? という疑問がある。ここは命題だ。そこに更に翌日死んだ人をたくさん見た、というのは、ホラーだ。つまりは UFO が牛を攫うキャトル・ミューティレーションのようなものだ。ChatGPT で「キャトル・ミューティレーション」について調べてみてくれたまえ。

それ違うよ。


「UFOが牛をさらう」というイメージは、キャトル・ミューティレーション(cattle mutilation)という現象とよく結びつけられますが、「さらう」こと自体はキャトル・ミューティレーションの定義ではありません。


と答えてくれる。それぐらいのボケはデマ党にも欲しいものだ。


【完】


オチが弱い...がひとまず完了。

ところで「ウは宇宙のウ」はどんな小説か忘れてしまった。


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