第99話『時は満ちた』
迷宮の崩壊音が、森の奥にまで響き渡る。
金の砂が風に散り、空気が熱を取り戻す。
エリック:「.......終わった、か。」
紅蓮の炎が静かに消え、マモンの玉座は灰となって崩れた。
その中心に、黄金のコインが一枚だけ落ちている。
エリック:「.....“価値”の天秤.......ね。お前の欲、燃え尽きたか。」
拾い上げたコインが、ひとりでに砕け散る。
その瞬間、通信が入る。
1.違和感
イル、ラミエル、ナイル――次々に声が重なった。
イル:「カイル、聞こえる? 私.....勝った。」
ナイル:「でも.....変なんだよ。あいつら、弱すぎた。」
エミリア:「みんな、同じことを言ってた。“傲慢の天使に力を注いでいる”って....」
ラミエル:「傲慢.......? じゃあ、最後のダンジョンは.....」
カイルは森の奥を見据える。
霧が晴れ、黒い雷光が走る。
――それが「傲慢の王座」だった。
カイル:「.....行ってくる。」
通信が途切れる。
カイル:「いこ....師匠......」
エリナ:「うん...........」
2.無人の王座
漆黒の空間。
壁一面に古代文字が刻まれ、天井からは雷が落ち続けている。
けれど、そこに“敵”の気配はなかった。
カイル:「.......誰もいない!?」
足音が反響する。
カイル:「な....なんで......なんで誰もいないんだ.......」
静寂の中、聞き慣れた声が響いた。
???:「――時は、満ちた。」
カイル:「......え?」
雷が一閃。
3.裏切り
光の中に現れたのは、――エリナだった。
その瞳は、紫と金の二重螺旋に染まっていた。
カイル:「嘘.....だろ........?」
エリナ:「さぁ――始めようか。“裁き”を。」
雷鳴が轟き、空間が崩壊する。
カイルの足元に紋章が広がる。
傲慢DNAと雷DNAの融合紋――“傲雷陣”。
エリナの背中から、雷で形作られた六枚の翼が現れた。
その姿は、天使でありながら、どこか“堕天”を思わせる。
カイル:「師匠.......やめろ......! そんな力、使うな!」
エリナ:「“傲慢”は罪じゃない。誇りなの。見下され、踏み潰され、それでも笑ってきた私の ――唯一の誇り。」
カイル:「違う........そんなの、師匠じゃない!」
エリナ:「じゃあ――見せて。私を止められるだけの力を。」
雷鳴とともに、神殿が閃光に包まれた。
金と紫の光が交差し、空間そのものが裂ける。
次回――
二人の戦いが今、始まる!!




