第98話『強欲の迷宮』
1.強欲のダンジョン
黄金の壁が立ち並ぶ、無音の空間。
地面からは宝石が浮かび、光の粒が絶えず舞っている。
その中心――王座に腰掛ける男。
全身を金で覆い、仮面の下からは黒い笑みが覗く。
マモン:「よく来たな、“紅蓮帝”。」
エリック:「.....名前を知ってるのかよ。」
マモン:「この世の全ては“価値”で測れる。お前の名も、お前の力も、値段付きだ。」
エリック:「へぇ、そりゃ面白ぇ。で、いくらだ?」
マモン:「お前の命の価値は......“ゴミ以下だ”。安いものだ。」
エリック:「ふざけんなッ!!」
紅蓮の焔が走る。
空気が弾け、金の壁が溶け落ちる。
だがマモンは指を鳴らすだけで、周囲の宝石が盾となり、すべての炎を吸収した。
マモン:「炎のエネルギー......高値だな。貰っておこう。」
エリック:「.......なんだと!?」
炎が吸い取られ、体の温度が下がる。
マモン:「強欲DNA......価値の天秤........これは等価交換だ。貴様の力は、私の財産となる。」
エリック:「あぁそうかよ.....じゃあ、お前の“プライド”は、いくらだッ!!」
拳を握り、地面を蹴る。
紅蓮帝の炎が足元から爆ぜ、一直線に突き進む。
マモンの周囲の黄金が爆裂し、炎が迷宮を焼く。
マモン:「強欲も.......燃やし尽くせるか、試してみろ。」
爆音。
金の竜が咆哮する。
炎の王と金の王が激突し、光が空を裂いた。
2.同時刻・別の道
カイルとエリナはダンジョンの先へゆく。
エリナ:「.......もう、こんなに大きくなったのね......」
カイル:「そういえば.......なんでここに........」
エリナ:「......ちょっとね。迷い込んじゃったの。助けてくれて、ありがと。」
カイル:「........助け合うのは当たり前だろ?」
二人はしばらく無言で歩く。
遠くで雷鳴が轟く。
エリナ:「........このダンジョン、感じるでしょ。“何か”が脈打ってる。」
カイル:「ああ。七つの力が......どこかに集まってるような。」
エリナ:「ふふ......鋭いわね。」
カイル:「.......?」
その笑みの奥に、どこか影が差していた。
3.再び迷宮
マモン:「終わりだ、“紅蓮帝”。」
黄金の鎖がエリックの全身を締め上げる。
マモン:「強欲DNA.....欲望の鎖.....」
その鎖が、エリックの炎を吸い取っていく。
エリック:「....まだだ......!」
エリックの目が紅く燃える。
紅蓮帝DNAの紋章が輝き、鎖が弾け飛ぶ。
エリック:「金でも欲でも、俺の“仲間”の価値は――無限だッ!!」
炎の翼が広がり、拳が閃光を纏う。
エリック:「紅蓮帝DNA......紅蓮烈破・帝焔撃ッ!!!」
マモンの鎧が砕け、黄金の王が崩れ落ちる。
爆炎の中、マモンはかすかに笑った。
マモン:「.......これが....欲を超えた力.....だが私の.......強欲の力は.........“上”へと流れている。」
エリック:「上.......?」
マモン:「“傲慢”の天使へ......全ての罪が集まる場所だ。」
マモンの身体が砂金のように崩壊していく。
マモン:「.........最後の強欲だ........我の欲の糧となれ.......」
4.違和感
エリナが立ち止まり、上を見上げた。
エリナ:「......“強欲”が、消えた。」
カイル:「どういう意味だ?」
エリナ:「――始まるわ。全ての“罪”が、“傲慢”へと集約される。」
カイル:「これは.......いったい.....」
エリナ:「フフ、焦らないで。」
風が吹く。
ダンジョンの奥で七つの光が瞬いた。
次回――
違和感の正体。




