第94話『そして、再会』
崩壊した宇宙神殿の中心に、
風と光の筋が差し込む。
カイルとイルが歩き出したその先――
1.再会
瓦礫の隙間から、懐かしい声が響いた。
エリック:「おい! カイルッ!!」
ナイル:「おっそいぞ、まじで!生きてねぇかと思ったわ!」
ラミエル:「.......二人とも、無事でよかった......!」
エルシア:「カイル.......イル.......」
四人が駆け寄る。
互いの姿を確認し、ようやく戦いが終わったことを実感する。
イル:「なんとか、ね。ギリギリで勝てたよ。」
ナイル:「あのタルタロスってやつ、やばかったって噂聞いたけど?」
カイル:「ああ.....でも、最後には“心”があった。全部が敵じゃなかったんだ。」
エルシアは静かに目を閉じ、祈るように呟く。
エルシア: 「滅びの神に、哀れみを.......ヴィシュヌの名において。」
ラミエル:「これで........神殿も静かになるね。」
その言葉を聞いた瞬間――
地面が、低くうねった。
2.融合体
ゴゴゴゴゴッ――!!
エリック:「.......おい、なんだ今の音。」
ナイル:「まさか........!」
神殿の中央、倒れたままだったガイア、カオス、タルタロスの残骸が、淡い光を放ち始め る。
ラミエル:「うそ.......そんな.....もう、消滅したはずじゃ.........!」
カイル:「違う.........これは、“再生”じゃない........“融合”だッ!!」
光が三色に分かれ、天井を突き抜ける――
大地の緑、混沌の黒、深淵の蒼。
そしてそれらが一点に収束し、
巨大な人型の影を形づくっていく。
イル:「........ねぇ.......これ.......」
エルシア:「これが.....“統合現象”.......!」
三柱の声が重なり、地響きのように轟いた。
「――我ラ、破壊ノ三源。秩序ヲ超越ス者ナリ。」
「創造者ヨ……貴様ラノ存在ハ、我ラノ定義ニ逆行ス。」
「抹消ス――“原初融合体”」
神殿全域が震える。
崩れた天井の向こう、宇宙の果てに広がる星々が、軌道を歪めていく。
カイル:「みんな構えろ!!!戦いは――まだ、終わってねぇ!!」
光と影が交錯する。
ラミエルの風、エルシアの黒雷帝、エリックの紅蓮帝、ナイルの雷狼天。
それぞれのDNAが、再び戦場を染め上げる。
だが、その圧倒的な“存在圧”の前に、
全員の足が一瞬、止まった。
エリック:「......っ、動けねぇ.....!」
ナイル:「な、なんだこれ......まるで.....空間そのものが押し潰してくる......!」
カイルが歯を食いしばる。
カイル:「これが、三柱の融合体の力か....。でも、止まらねぇ......絶対に、ここで終わ らせる!!」
彼の瞳に、わずかに光が宿る。
あの、宇宙融合の紋様が再び輝く。
だがその瞬間――
頭の中に、声が響いた。
《やめなさい、カイル。》
カイル:「........!?」
空間が揺れ、次の瞬間――
宇宙の構造そのものが裏返るような光が降り注いだ。
全員が思わず目を覆う。
そこに現れたのは――かつて、鎖に囚われていた創造神。
ブラフマー。
詠唱もなく具現化されていたのだ。
ブラフマー:「あなたが.......この神殿を、穢したのですか......?」
“原初融合体”がわずかに震えた。
まるで本能的に――“恐怖”しているかのように。
ブラフマーの瞳が、冷たく光る。
ブラフマー:「――許しません。創造を汚すものは、すべて、消滅させます。」
一瞬だった。
シュンッ!!!
ブラフマー:「神・宇宙DNA.....明聖殺し」
光が弾け、爆音すら遅れて届く。
プロト・オメガが声を出す間もなく、粉々に崩れ、宇宙に還る。
仲間たちはただ呆然と見ていた。
あの圧倒的な存在が――瞬きの間に、消えた。
ブラフマー:「......これで、静かになりましたね。」
カイル:「ブラフマー.....お前.......」
イル:「どうして......具現体が...自分のDNAを使えるの!?」
ブラフマー:「具現体は、一回だけ、自身のDNAを使うことができます.....それを使いました」
一回きりのDNA。
ブラフマー:「カイル様。あなたの選択を、私は尊重します。 ですが――創造とは常に、破壊の境界にあるのです。忘れないでください。」
その言葉を残し、彼はカイルの中へと消えていった。
風が吹いた。
ようやく、すべてが終わった。
エリック:「なぁカイル......マジで、やべぇな......お前の知り合い、神様ばっかじゃねぇか 」
カイル:「.......そうだな。けど――守ってくれた。だから、もう前に進むだけだ。」
彼らは互いに頷き合い、静かに神殿を後にした。
次回――
崩壊を免れた仲間たちが集結。 エルフの里へ。




