第92話『超究極の力』
――星が、歌っているようだった。
1.超究極
音もなく消えていく銀河の粒子が、まるで命の残響のように揺らめいていた。
タルタロス:「愚かだな。まだ立つか......」
カイル:「愚かでもいい。.....俺は....俺達は創りたいんだよ。」
イル:「そして壊すのは、私たちじゃない。お前自身だ、タルタロス。」
互いにボロボロの姿で、ふたりは隣に立った。
その目だけが、まだ“希望”を宿している。
カイル:「......いくぞ、イル。」
イル:「うん.......最後の一撃。」
カイルが空を仰ぐ。
宇宙そのものが震え、空間が幾億もの数式に変換されていく。
カイル:「超究極・錬金+宇宙+.........!!!」
イルが地を踏みしめる。
足元から無限の魔法陣が連鎖的に展開し、金色の粒子が奔流のように吹き上がった。
イル:「超究極・錬金DNA!!!!」
二人の詠唱が、重なる。
その瞬間、空間が震えた。
カイル&イル:「異系統二重詠唱........宇宙錬金創界!!!!!」
――全宇宙が“書き換わる”。
星の軌道が逆転し、時間が一瞬、停止する。
タルタロスの“零式・深淵”が、上から下へと溶け崩れる。
タルタロス:「......な、何だこれは.......!?零が.......崩壊している.....!
カイル:「宇宙は、創られるものだ。でも――創られるってことは、“形”をもつってことだろ?」
イル:「形があるなら、錬金できる。“無”だろうが、“零”だろうが、再構築できるんだ!!」
タルタロス:「――馬鹿なっ!!零は概念! 触れられるはず........!」
カイル:「概念なんて知らねぇよ.......。俺は.......存在を創る。」
イル:「私は“存在”を紡ぐ。なら、お前の“零”も........材料にすぎない!!」
二人が同時に地を蹴る。
2.最後の攻撃
カイルの掌に、銀河が生まれ――イルの掌に、世界が錬成される。
カイル:「超究極・宇宙DNA.........《宇宙創界式》超新星爆発!!」
イル:「超究極・錬金DNA.......《錬金変換式》万物還元!!」
二つの術式が交わり、融合する。
生と死、始まりと終わり、光と闇――全ての“相反”が一つに溶ける。
カイル&イル:「.........終焉式・星我開花ッ!!!」
爆発でも、閃光でもない。
ただ、“静寂”が訪れた。
タルタロスの“零”が、粉雪のように散っていく。
タルタロス:「......これが......創造の力........か..........我が零を........上書き.....するとは......」
カイルは膝をつく。
血が滲み、手が震えている。
イル:「......カイル......立って......あと一歩だよ.....」
カイル:「わかってる.......。これで終わりにしよう........お前の“苦しみ”を。」
タルタロスの瞳が、わずかに揺れた。
その中に、一瞬だけ――“涙”が見えた。
タルタロス:「......私は.......破壊しか知らなかった.......。創ることが......そんなに.....美しいとはな....」
カイル:「なら、もう壊すなよ.....」
タルタロス:「.......わかった。次に生まれる時は.....創造の側に......」
タルタロスの身体が光に包まれ、ゆっくりと崩壊していく。
ふたりの視線の先、宇宙神殿の奥で――
“何か”が、目を覚ましたように、微かに光った。
次回――
タルタロスとの和解。
そして語られる、“神創成組織”の真の目的。




