第91話『禁忌解放』
――宇宙が、鳴いていた。
銀河の残響、星の断末魔。
1.禁忌解放
カイルとイルが創り出した“創造の宇宙”は、いま崩壊し始めていた。
イル:「なっ......!空間が........“溶けてる”!?」
カイル:「......違う。これは――零式DNAの“完全発動”だ........!」
タルタロスの身体が、黒い波紋を放ちながら変貌していく。
肉体は消え、純粋なる“零”のエネルギーとなり、形を失う。
タルタロス:「我が名は、タルタロス。破壊神幹部直属――“零の具現化”。いまここに、我は禁忌を解く……!」
その奥から“神の声”のような響きが落ちてくる。
タルタロス:「禁忌・神DNA........!!」
虚空が割れた。
タルタロス:「神覇.....零式・深淵!!」
それは詠唱でも、技でもなかった。
“存在の否定”そのもの。
イル:「やばい.......カイル!!この空間、もう.....存在できない!!」
カイル:「.......全部、無に返されてる......!!」
星々が、一瞬で“静止”し、次の瞬間、音もなく消滅した。
創造された宇宙が、“零”に飲み込まれていく。
カイルは歯を食いしばる。
彼の周囲を、空間の層が何重にも剥がれ落ちていく。
カイル:「......っぐ.....こんなの......空間制御が......間に合わねぇ!!」
イル:「.....だったら私が補う!!錬金で層を再構築する!!」
イルが金陣を展開。
しかし、触れた瞬間、陣が“蒸発”する。
タルタロス:「無駄だ。錬金も、空間も、全て“構造”を持つ。構造を持つものは、零の前では 存在できぬ。」
イル:「......はは........やっぱり.......バケモンだな......!」
カイル:「でも........負けねぇ!!」
二人が同時に飛び出す。
イルの錬金粒子とカイルの空間光子が螺旋を描く。
カイル:「究極・宇宙+.........!!」
イル:「究極・錬金DNA!!」
カイル&イル:「異系統二重詠唱.....双星創痕・連閃!!」
衝撃。
一瞬、タルタロスの身体が裂ける――が、
次の瞬間には、空間が“巻き戻る”。
タルタロス:「“無”は傷を受けぬ。“存在”がなければ、痛みもない。」
イル:「.......強すぎる......!!」
カイル:「.......っ、これが“神覇”かよ.......!!」
タルタロスは静かに空を見上げた。
黒の光がゆっくりと溢れ、全身を包み込む。
タルタロス:「この力は.......代償を伴う。だが、我は構わぬ。主の命に従い、我が命を代価 に“秩序”を破壊する。」
イル:「命を代価に.....?」
カイル:「クソ......やっぱり......!!」
タルタロス:「――それが、禁忌の本質だ。」
その言葉と同時に、空間のすべてが“反転”した。
上下が消え、時間が砕け、星が黒く染まる。
宇宙そのものが、深淵の中に落ちていく。
イル:「.......これ以上は....本当に!!」
カイル:「くそっ.......何をしても通じねぇ.......!!」
タルタロスの姿がゆらぎ、巨大な影となって膨れ上がる。
まるで“宇宙そのもの”が敵として立ち塞がっているようだった。
カイル:「.....イル.....」
イル:「.......うん。もう、アレしかないね........」
カイル:「あぁ.....“超究極”だ。」
カイルが静かに手を握る。
その掌に、黒と銀の光が蠢く。
タルタロス:「来い。創造の子よ。我が深淵に、己の“限界”を刻んでみせろ。」
光と闇が交錯する。
次の瞬間、銀河が“真っ二つ”に裂けた――。
次回――
カイルとイル、命を賭しての“創造最終式”発動。
タルタロスの深淵を超え、神の理をも書き換える、最終決戦へ――。




