第89話『創造の反逆者』
世界は崩壊しつつあった。
虚空の“零界”――
1.錬金融合
大地も、空も、音もない。
あるのは、「存在していない」ことの圧だけ。
イル:「....くそっ、これ.......本当に世界の概念が消えてる......!」
カイル:「イル、限界か......?」
イル:「まだ行ける......私には......“創る”しか能がないからね。」
タルタロスは無言のまま、片手を上げる。
白い輪が、イルの胸を貫いた。
カイル:「イルッ!!」
イル:「っぐ.......はぁ.....存在消去か.....だけど.........!!!!」
血を吐きながら、イルは笑った。
イル:「錬金ってのは、“無”から“有”を創る学問なんだ…… !!お前が“零”を創るなら......私は、その“零”すら素材にしてやるッ!!」
イルの足元に、複雑な円陣が展開される。
タルタロス:「馬鹿な......零式のエネルギーを利用するだと!?」
世界は、音を失っていた。
零式の光がすべてを飲み込み、存在の定義そのものを削り取っていく。
イルの足元に展開された七重の円陣が、唸りを上げる。
カイル:「イル.....それ.......!」
イル:「錬金融合!!!」
轟音。
イルの身体が、金属のような光に包まれた。
腕に刻まれる陣紋が、赤から銀へ。
2.練武
瞳が光子のように輝き、空間そのものを反射する。
タルタロス:「まさか.......お前、その“零”を.........取り込んだのか!?」
イル:「ああ……“零”を“素材”に。それが――私の創造式、練武・零...」
金属音が響く。
イルの拳が、まるで宇宙そのものの質量を宿したように重くなる。
イル:「錬金融合は、錬金だけで攻撃可能とできる。基本、錬金は、補強や強化しかできない。だけど......錬金融合でその限界も超えられる!!!」
指先ひとつで、空間が歪む。
イル:「練武..........これは、“身体そのものを錬成武装化する”形態。利点は.....単純に、物凄く 強い。欠点は……異伝子量をバカみたいに食うし、制御もできない。でも.....今の私に、他の 選択肢はないッ!!」
タルタロス:「その身で“零”を制御できると思うなよ!」
イル:「制御なんかしない........“創る”んだよッ!!!」
轟――。
タルタロス:「くだらん反逆だ.......!」
彼の掌から放たれる“零式波動”――
しかし、それがイルの掌に触れた瞬間、“黄金”に変換された。
カイル:「なっ……“無”が、“物質”に変わった!?」
イル:「錬金DNA.......反転――お前の零式、全部素材に変えてやる!!」
イルが前に出る。
3.錬金の反撃
装甲が振動し、金の粒子が彼の腕から噴出する。
それは“創造の拳”。
イル:「錬金DNA........創錬撃・第一式『物質顕界』!!」
タルタロスの防壁が砕けた。
続けざまにイルが叫ぶ。
イル:「これが私の“理”だ!お前の“零”を、私の“創”で塗り潰す!!」
タルタロスは眉をひそめた。
タルタロス:「........面白い。では、我も“神”を使おう。」
背中から、黒い光が爆ぜた。
タルタロス:「神DNA........極界断!!」
カイル:「やべぇ.......イル、下がれ!!!」
イル:「.........いや、上等だよ。」
イルの目が黄金に輝く。
その瞳に、確かな覚悟が宿る。
イル:「お前が魂を削るなら――私は、世界を削ってでも勝つ!」
金色の粒子が、虚空に広がる。
零界の“無”が、“創造の原初”へと変わっていく。
タルタロス:「......それが、お前の反逆か。」
イル:「ああ......創造の反逆者だッ!!」
激突――。
“零”と“創”がぶつかり、宇宙の輪郭が軋む。
次回――
今度はカイルが続く。
二人の錬金円陣が共鳴しする!!




