第88話『存在消去の理』
1.新たなDNA
タルタロス:「......お前たちには理解できまい。存在とは“記録”だ。それを消すこと――すなわち、“存在の否定”こそが、我が理。」
その言葉と同時に、彼の右手が静かに上がる。
空間が、音もなく“白化”した。
イル:「.........ッ!? カイル、避けて!!」
カイル:「なっ――」
一瞬、彼の腕に“白い線”が走った。
次の瞬間、そこに“何もなかった”。
切断ではない。存在そのものの削除。
タルタロス:「これが、“零式DNA”。世界の構成要素――分子、原子、魂子。あらゆる層を “ゼロ”に戻す。」
イル:「.......やばいな.....触れたら即アウトってわけか。」
カイルは汗を流しながらも、微かに笑った。
カイル:「面白ぇじゃねぇか.....この“理”を上書きしてみせる。」
2.カイルたちの力
両手をかざし、空間に無数の“光の粒”を描き出す。
それは恒星の核融合を逆再現する。
カイル:「錬金+宇宙DNA......異系統二重詠唱......宇宙錬成陣!!」
タルタロス:「無駄だ。そのエネルギーも......」
彼の声が止まった。
光の粒が零式の空間を“押し返す”。
カイル:「宇宙は、膨張するんだよ。“ゼロ”を創ったって、膨張が続く限り、“存在”は生まれ続ける!」
タルタロス:「それでも、有限だ。」
イル:「......じゃあ、無限を作ってあげる!」
彼の掌に、錬金の円陣が浮かび上がった。
黄金の法陣――
イル:「究極・錬金DNA.......錬創成円環!」
元素配列を書き換え、崩壊のエネルギーを“変質”させていく。
タルタロス:「......ほう.....“創造”で“破壊”を打ち消すか。」
イル:「あんたの“零”は消すだけ。でも、私の錬金は“変える”んだ!!」
カイル:「お前が“零”を求めるなら、俺たちは“無限”で返す!!」
カイルが力を発揮。
3.二重詠唱
カイル:「イル!!やるぞ!!」
イル:「うん!!!任せて!!!」
二人の声が重なった瞬間
錬金と宇宙光が融合する――。
カイル:「宇宙+錬金+........」
イル:「錬金DNA!!!」
カイル&イル:「異系統二重詠唱.......《宇宙錬成》.......星界の創痕!!!」
光と闇が拮抗する。
だが、次の瞬間――
タルタロスが微かに笑った。
タルタロス:「なるほど.....その力、“零式”で消せぬ.......厄介だ。だが、我にはまだ.......“ 神”がある。」
彼の身体に黒い神紋が浮かび上がる。
脈動するたびに空間が軋む。
カイル:「.....まさか、それが.....」
タルタロス:「そう、“神DNA”。“無”を支配する者が、いま、“神の理”を重ねる。」
黒と白の渦がぶつかり、世界が歪む。
重力も時間も方向も消え、
“上”も“下”もなくなった。
イル:「これが.......“零界”......!」
タルタロス:「ようこそ。ここが、真の極界だ。ここでは、“存在”という概念そのものが、意味を失う。」
カイル:「上等だ.........ここからが本番だろ。」
二人の瞳に宿る決意が、虚無の中で赤く燃え上がった。
次回――
イルが限界を超える。
零の理に、創造の牙を突き立てる。




