第87話『極界・タルタロス』
虚界が崩れ落ちたその先――
空間が裂け、光が吸い込まれるように暗黒へと沈みこんでいく。
その底に、“極界”があった。
1.極界・顕現
無音の大地。
時間も重力も意味を失い、
ただ“存在”することすら許されない異空間。
イル:「......ここが、“極界”.......?」
カイル:「ああ........感じる。空間そのものが、死んでやがる。」
足元に広がる地は灰のように脆く、踏みしめるたびに消滅していく。
光がない。音もない。
ただ、彼らの鼓動だけが響いていた。
カイル:「.....タルタロス。出てこい。」
その瞬間、空間が“歪んだ”。
裂け目から漏れるのは、黒でも白でもない“虚無”。
その中心に、ゆっくりと浮かび上がる人影――
銀灰の髪、瞳は“色”を持たぬ透明。
まるで、世界から色彩を奪った存在だった。
タルタロス:「......ようこそ。ここが、**零式**の界……。存在の意味も、力の法 則も、すべて無に帰す場所だ。」
カイル:「.......お前が、“極界の番人”ってわけか。」
タルタロス:「番人.....いや、**“最終破壊”**の体現者だ。我のDNA――零式DNAは、あらゆるエネルギーを“無”へと還す。創造も、進化も、意味を失う。」
イル:「........つまり、ここじゃ、どんな技も効かないってことか。」
タルタロスは静かに頷く。
その瞳がわずかに揺らめき、空間が崩壊した。
2.零式の世界
周囲の大地が瞬く間に“消滅”する。
燃焼も爆発も起きない。
ただ、存在が“なかったこと”にされる。
カイル:《.......空間が.....喰われてる....!?》
タルタロス:「これは、神DNAが進化した“最終形態”のひとつ。我は破壊を超え、“零”そのものとなった。――そして、お前たちがここで消えることも、すでに決まっている。」
カイル:「......はっ、端から運命に従う気はねぇよ。」
イル:「そうだね。“零”が何だろうと、私たちが創り出す“可能性”までは、消させない。」
二人が立ち上がり、同時に手を合わせた。
カイルの背後には宇宙の輝きが瞬き、
イルの身体には錬金の紋章が浮かび上がる。
タルタロス:「.......抵抗か。ならば、“無”に抗う意味を、見せてもらおう。」
次の瞬間、戦場が歪む。
“存在の消滅”と“宇宙の拡張”が衝突する。
星々の残響が響き、
零式の闇と、カイルの宇宙光がぶつかり合う。
極界の戦いが、いま始まった。
次回――
タルタロスの“零式DNA”が本格発動。
触れたものすべてが、存在ごと消滅する。
だが、イルの“創造の錬金”が、その理に一筋の亀裂を入れる――。




