第86話『無秩序の果て』
虚界は崩壊を止め、静寂に包まれていた。
紅蓮の光が消え、雷の残滓が漂う。
1.静寂
エリックとナイルは、倒れたカオスを見下ろしていた。
ナイル:「.....終わったのか」
エリック:「ああ......けど、あいつ........まだ、消えていない」
虚空の中心――崩壊しきらぬ闇の中で、カオスの身体がゆっくりと動いた。
黒い亀裂が全身を走り、もう立ち上がることもできない。
それでも、彼は口を開いた。
カオス:「.......見事だ........秩序の再構築.......我が無秩序DNAを、打ち破るとは......」
エリック:「お前.......まだ喋れるのか......」
カオスは微笑むように、空を仰いだ。
その瞳には、憎しみよりも――どこか安堵の光があった。
カオス:「お前たちの.......融合。あれは.......“神覇・鎧”に似ておるな.....」
ナイル:「.........神覇・鎧?」
2.神覇・鎧について
カオス:「神DNAの頂......それは、己の存在を神そのものへと昇華する技。神覇の中でも、 選ばれし者だけが纏える……“神覇・鎧”。肉体を超え、魂とDNAが融合する .....まさしく、神の鎧。」
彼の言葉に、エリックとナイルは息を呑む。
エリック:「神覇........そんなものが、他にも.......?」
カオス:「ああ.......だが、我らの組織――テンペストの中でも、ごくわずかしか扱えぬ。破壊神幹部、創造神幹部......彼らでさえ、制御できぬ者もいる。」
ナイル:「テンペスト.........お前たちは、何者なんだ?」
カオスは、少しだけ笑った。
それは“敗者”の笑みではなく、“真実を託す者”のような笑みだった。
カオス:「我らは.......神の欠片。神DNA――それは、神の遺伝子を模倣し、人の器に埋め込まれたもの。だが.........我らは、模倣では満たされなかった。“神を超える神”を造る――それが、テンペストの目的だ。」
ナイル:「神を.........超える........?」
カオス:「そうだ。そして.......その力を解き放つ禁忌がある。」
空間が揺れ、彼の胸元に紋章が浮かぶ。
それは血のように赤く、刻印が崩れていく。
3.神の禁忌
カオス:「それぞれの......DNAには禁忌の技がある.......神DNAの禁忌の技は――神覇を越える力を引き出せる。だが.....代償は、命そのものだ。我 は.......それを使った.....それゆえに、もう長くは....持たん......」
エリック:「そんなもの......!」
ナイル:「命と引き換えに力を得るなんて......!」
カオス:「......だが.....その力の果てにこそ、“真の神”が生まれる。カイル......お前たちの仲間の中に、その資質を持つ者がいるはずだ.....」
二人の顔が凍る。
エリック:「カイルが........?」
カオス:「.......いずれ分かる。彼が“禁忌”を超えるか、“神”になるか......それを見届けるがいい。」
言葉を残すと、カオスの身体が光に包まれ、徐々に粒子となって消えていく。
彼の瞳は最後まで、静かにエリックとナイルを見ていた。
カオス:「......この無秩序の果てにも.....秩序は.....あるのだな.....」
光が弾け、虚界に一陣の風が吹き抜けた。
そこに、もう彼の姿はなかった。
ナイル:「......最後の言葉、信じていいのか」
エリック:「わからねえ。でも........神DNAの“神の禁忌”。これから、もっととんでもねえことが 起きるってことだけは、確かだ。」
二人は静かに拳を合わせた。
その拳には、決意と恐れと、そして“覚悟”が宿っていた。
《虚界・カオス→攻略完了》
次なる舞台――極界・タルタロスへ。
次回――
カイルとイルが挑む最後の破壊神具現。
だがその地には、すでに“神の意志”が介入していた――。




