第80話『虚界・カオス』
1.沈む虚界の門
宇宙神殿・第2区画。
そこに存在するのは、終わりのない“虚”――
黒い水面のように揺らめく空間が、ゆっくりと口を開けていた。
周囲の重力が逆転し、地平も空も、ひっくり返る。
ナイル:「.....ここが、“虚界”かよ。」
エリック:「空も地面もねぇ....まるで世界が死んでるみてぇだ。」
足を踏み出した瞬間、足下の“床”が音もなく波紋を描いた。
踏み込むたびに、現実が液体のように揺れる。
念話で、ブラフマーの声。
『気をつけろ。ここは空間そのものが“生きてる”。.....カオスが、待ってる。』
ナイル:「言われなくても、ビリビリ感じてる.....なぁ、エリック。」
エリック:「ああ......魂が拒絶してやがる。」
そして――
“それ”は、目の前に姿を現した。
2.虚界の支配者
空間が泡立つように歪み、
中心から“何か”が形を取る。
金と黒が入り混じる鎧。
顔の半分を仮面で覆い、目は紅い裂光。
その背後には、無数の歪んだ鏡――そこに映るのは、崩壊した神々の残像。
《第二破壊》
《虚界・カオス》
カオス:「......来たか、異界の混血ども。 この虚界に踏み入れた時点で、貴様らの“秩序”は崩壊した。 上も下も、強も弱も......意味を失う。」
ナイル:「......秩序が、意味を失う?」
カオス:「そう。“格”という名の鎖を、私は断ち切った。この世界では、神も虫も同じ――いや、私の意志一つで上下が入れ替わる。」
エリック:「.......じゃあ、今のあんたが“上”ってわけか。」
カオス:「理解が早くて助かる。だが安心しろ.....すぐに“下”になるのは貴様らだ。」
その瞬間、虚界が脈打つ。
天地がひっくり返り、空間が裏返る――
二人は重力の方向を見失い、地面へ叩きつけられた。
3.虚界の洗礼
ナイル:「ぐっ....身体が.....動かねぇ!?」
エリック:「......重力が.......逆流してやがる......!?」
空気が黒い粘液のように絡みつき、全身の動きが遅くなる。
視界の端では、時間が“巻き戻り”と“早送り”を繰り返していた。
カオスは笑いながら、一歩、二歩――空間を踏み砕くように近づく。
カオス:「理解せよ。秩序は“神のもの”だ。貴様らはその下層、ただの観測対象。上に 立つ資格はない。」
エリック:「ふざけんな........!誰が上で、誰が下かなんて、誰が決めたッ!!」
拳を握り、炎を放つ――
エリック:「火DNA.......大炎火....!!」
だが、炎は空中でねじれ、逆流して自分に返ってくる。
エリック:「なッ.....!?」
カオス:「“秩序の座”を変更しただけのこと。この世界では、私が炎の“主”だ。」
ナイル:「.......こいつ、ルールそのものを操ってやがる....ッ!」
4.神の格
カオスは両手を広げると、背後の鏡が一斉に光を放つ。
鏡面から無数の腕が伸び、神々の残骸が鎖のように絡みつく。
カオス:「かつて我は、神々の秩序を司る補佐であった。だが..........上の連中は言った。“お前は格下だ”と。ならば、私は問う。“格”とは何だ。力か?血か?DNAか?異伝子か?答えはひとつ。――上に立った者がそう名乗るだけだ。」
ナイル:「....“格”を否定して、格で支配してるじゃねぇか....!」
カオス:「矛盾こそ、神の本質だ。」
空間が再び裏返る。
今度はナイルとエリックの身体が宙に固定され、虚空に吸い込まれるように浮かん だ。
カオス:「さぁ――始めよう。秩序の“再編”を。」
虚界が、完全に崩壊を始める。
黒と紅の渦が、二人を飲み込んでいった――。
次回――
カオスのちから出「下位」とされたエリックとナイル。
だが、彼らの中に宿る“炎と雷”が、逆境を焼き裂く――。
そして......カオスの力が明らかに!!




