第64話『雷と涙』
1. 集落の広間
戦闘後、カイルたちはエルフの集落へと案内される。
巨大な樹木をくり抜いた広間、壁一面に光の紋章が刻まれ、外の森とは別世界のように静謐な空間。
ラミエル:「.....きれい」
ナイル:「森の奥に、こんな文明が.......」
カイルは隣に座るエルシアを見た。
彼女は仲間たちの前で毅然とした表情を保つが、手はかすかに震えていた。
2. エルフの真実
長老格のエルフ・サムエルが語り始める。
サムエル:「我らエルフは、はるか昔、“維持神ヴィシュヌ”によって創られた種族。宇宙の均衡を保つため、この星に根ざすよう命じられた。だが.......宇宙を乱す者たちが現れ、我らは幾度となく狙われてきた」 カイルたちは息をのむ。
エリック:「神が.....直接、創った種族......?」
ラミエル:「じゃあ、あなたたちは......“宇宙そのもの”に近い存在......?」
サムエル:「そうかもしれぬ。しかしその代償として......我らは常に“力”を求められる。だがその力を持つ長が、“心”まで強いとは限らぬのだ」
視線が自然とエルシアへ集まる。
3. 心の弱さ
エルシアは小さく息を呑み、俯いた。
エルシア:「.......私は、みんなの“長”なのに。 戦えば勝てる。でも......怖いの。血や叫びを見るたび、心が折れそうになる。 どうして私が“長”なんだろうって.......いつも思ってる」
カイルは黙って聞いていた。
彼自身も「転生した意味」をまだ探している。
だからこそ、彼女の弱さが痛いほど伝わった。
カイル:「......戦いたくないって気持ち、わかるよ。 俺もずっと、戦いに巻き込まれてきた。でも.......それでも、守りたい人がいる。だから戦うん だ。弱くても、それでも前に進もうって思うんだ」
エルシアは涙を浮かべ、彼を見つめた。
4. 雷と氷
夜。
広間を抜けた森の丘。
カイルとエルシアが並んで座り、星空を見上げていた。
エルシア:「あなた.......どうして、そんなにまっすぐでいられるの?」
カイル:「........たぶん、俺も弱いから。でも、弱いからこそ、誰かに手を伸ばせるんだと思う」
エルシアはそっと自分の手を見つめ、そして――
カイルの手に触れた。
指先がかすかに触れるだけ。
けれど、それは彼女の“勇気”の証だった。
雷の光が遠くの空を走り、カイルの氷結晶が月光を反射する。
まるで二人の距離を映すように――。
次回――
エルフの真実、エルシアの涙、そしてカイルとの絆。
だが安らぎは束の間。
次なる脅威は、宇宙の“深層”から迫り来る――。




