表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/160

第35話『イルという少女』

1. 背景と緊迫

錬金惑星・地球

日本――夜でも煌々と灯る大都市。

混血特殊部隊は旧研究所の外縁で待機していた。

残骸とネオンが奇妙に混ざる景色。緊張が張りつめる。

ラミエル:「ここ、本当に『生きてる』みたい......なんか気味が悪い」

エリック:「お前らは情緒で語るな。仕事だ、手早く済ませる」

ナイル:「警戒を緩めるな。DSOの旧研究所といっても......ここはEROの領域だ」

カイルは深呼吸した。

胸の中で、昨日の“プロジェクト・イル”の文字がチクリと疼く。

カイル:《イル......あいつは誰なんだ。......どうにも収まらない》

隊列が進むと、廃ビルの屋上に人影が浮かび上がった。

薄いフードに覆われた少女。

月光 が銀髪を揺らす。やはり、イルだ。

イル:「迎えに来たのね。――異世界人」

カイル:「......イルか。来るな....こい......」

イルは静かに笑う。

手を上げると背後から二体の小型機械が滑り出す。

子守用に見える が、その目は紅く光る。

シスとメネ。

2. 初動の揺さぶり

シスがささやくように声を発する。無機質だが計算された抑揚。

シス:「対象確認。混血:4名。主目標:カイル・アストレイア」

メネ:「行動秒数を刻む。最適迎撃プラン開始」

突然、地面が震え、周囲の監視機が一斉に赤く点滅。

イルの掌から細かな金属片が噴出し、それが空中で組織化して巨大な刃群となる。

イル:「私はここで生まれた。ここで育てられた。あなたたちは“外”から来た侵入者だ」

カイル:「侵入者だと?お前は――」

会話の間を突くように、シスが前衛に飛び、メネが側面を抑える。

機械が発するのは子守歌か、あるいは狩りの旋律か。

3. 戦闘開始

エリック:「いくぞ!」

エリック:「炎DNA......爆進ばくしん――紅蓮轟掌ぐれんごうけん

エリックの拳が紅蓮の竜となり、鋭く突進する。

竜の咆哮が研究所の残骸を揺らす。

ナイル:「行くぞ!!雷狼!」

雷狼:「おっけ!!!やってやる!!!」

ナイル:「雷DNA.......超過電流ちょうかでんりょく――雷轟迅牙らいごうじんが!!」

雷狼の形をした電流が地面を走り、シスの動きを牽制。

ラミエル:「私はサポート!風で道を作る!」

ラミエル:「風DNA........蒼刃旋律そうばせんりつ!!」

ラミエルの風が渦を巻き、エリックの紅蓮を加速させる。

カイル:「俺.......行くよ」

精霊融合スピリット・ドライブ モード スピリット・アイス」

氷の気配が一瞬で身体を包む。

そして――カイルが叫ぶ。

カイル:「水+火DNA........異系統二重詠唱.....共鳴展開――氷刃颶炎ひょうじんぐえん!!」

氷と炎が一体となって、鋭利な竜巻を作り出す。

氷の刃が空を裂き、メネの一部ユニットを 砕く。

4. イルの反撃と計算

イルは動じず、淡々と指示を下す。

イル:「シス、メネ、枠内での最適反応を」

シス:「了解。防御最優先、攻撃は局所」

メネ:「熱源排除プロトコル起動」

二体は高速で自己修復と形態変換を行う。

子守ロボとは思えぬ速度で合体、近接武装を展開。

メネの片腕が巨大な錬成鎌へ変わり、

シスの背面からは多数のナイフが吹き出す。

イルの声は変わらない。

しかし、その目は冷たく、確信に満ちている。

イル:「ここで奪うのは、あなたたちの“自由”でも“力”でもない。――私はただ、与えられた 命令を遂行するだけ」

その言葉は人形のようだが、どこか悲しみを孕んでいるようにも聞こえた。

5. 追い詰められる瞬間

戦況は膠着する。

シス&メネの自律戦術は想像以上に高度だ。

エリックの紅蓮も、ナイル の雷も僅かな亀裂しか作れない。

カイル:「.........こいつら、ただの兵器じゃない」

ラミエル:「どういう意味?」

カイル:「魂の反応がある。人工の“生”が宿ってる........」

カイル:「錬金........いや、違う。誰かが“育てた”んだ」

その瞬間、シスがカイルにひらりと刃を向ける。

ひどく冷たい速度で、カイルの側面を斬り 裂く寸前だった。

エリック:「カイル!!」

カイルは反射的にファイアを内側から呼び出す。

カイル:「...大噴火だいふんか!!」

カイルは、勢い余って、詠唱を大幅に省略してしまう。

カイル:「っ!!.....がぁ.....」

カイルは、血を吐き出す。

6. イルの本気と撤退の理由

シスとメネの合体形態はさらに変形し、戦場を覆うような“鎧”を形成する。

金属質の外殻に 浮かぶ刻印は、どこか神的な紋様に見える――

神DNAの痕跡のような、ほんの一抹の輝き。

イル:「これ以上の被害は望まない。君たちに“不要な代償”を背負わせたくない」

イルはシスに信号を送る。

合図と共に、メネが冷光を放つ。

地面に刻まれた幾何学紋が一瞬で光り――爆発ではなく“拘束”の波形が発生する。

イル:「撤退する。だけど私は――また来る」

その言葉を残し、イルはシスを制御して後退する。

彼女の背中は、どこか痛ましく見えた。

カイル:「待て――!」

だがシスは高速で撤退ルートを確保し、空へと消える。

イルは最後に一瞥を投げる。

イル:「次は.......あなたが決める番よ、カイル・アストレイア....」

7. 戦闘の余韻と疑問

戦闘終了後、四人は傷を癒しながら廃ビルに座る。

夜風が瓦礫を冷たく撫でる。

ラミエル:「あの子、なんでカイルのことを..........」

ナイル:「設計データに『プロジェクト・イル』って刻まれてたらしい。偶然じゃない」

エリック:「それに、あの二体。人工生命の域を超えてる。神の紋様........?」

カイルは首飾りを握りしめた。

イルの瞳の奥に、確かに“懐かしさ”が宿っていた。

だがそれ が何なのかは分からない。

カイル:「彼女は.........何者だ? 俺の前世の母が関わっていると書かれていた“プロジェクト・ イル”。だが、今は戦うしかない。いつか、彼女に直接聞く日が来るのかもしれない」

8. 次への布石

廃研究所の一角で、カイルは折れた機械の断片を拾う。

そこにはかすれた文字列――「錬 金式・改変ログ」「被験体:IL-01」と小さく刻まれていた。

カイル:「イル.........」

その夜、DSOへ帰還する馬車の中で、カイルは静かに誓う。

「いつか――全部、取り戻す。お前が何者であれ、助ける。俺は..........それが、転生の意味 だと信じたいから」

次回――

カイルたちは回収したデータを解析する。

断片的に出る「前世の母の記録」と「EROの改造ログ」。

そして、シスとメネに残された“微かな神紋”の謎が、やがて錬成された恐怖を呼び覚ます ――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ