第12話『 もう一歩の先へ』
1. 修行の始まり
翌朝。
カイル:「昨日の……あの感覚……絶対に手に入れる……」
アイス:「主、本当に大丈夫?」
ファイア:「おい、まだフラフラじゃねぇか。休め!」
カイル:「うるせぇ……昨日みたいに倒れるのは嫌だ……」
エリナが近づく。
エリナ:「ふぅん……思ったより負けず嫌いね」
カイル:「当たり前……俺は、もっと強くなる……」
――ふと、心の中の口調がそのまま漏れる。
カイル:「……前世は…どんな感じだったのかな…」
エリナ:「……え?」
カイル:「あっ……ち、違っ……今のは……」
エリナ:《……やっぱり、何か隠してる……
2. 共鳴の練習
エリナは氷と炎の同時発動を練習させる。
だが、火を強くすると氷が消え、氷を強めると火が消える。
カイル:「くっそ……どっちかに偏っちまう……」
アイス:「心を静めて」
ファイア:「心を燃やせ!」
カイル:「うるせぇぇぇ!!!」
爆発音。
木が半分燃え、半分凍る。
エリナ:「……才能はすごいのに、制御がゼロね」
カイル:「ぐ……」
3. エリナの助言
エリナがカイルの肩に手を置く。
エリナ:「炎と氷……正反対に見えるけど、本当は“同じ”なのよ」
カイル:「同じ……?」
エリナ:「どっちも“エネルギーの形”が違うだけ。バラバラに扱おうとするから暴走するの」
その言葉にカイルの目が揺れる
カイル:《……確かに。俺は昨日、重ねようとした…》
カイル:「……よし、もう一度!」
4. 小さな成功
深呼吸し、両手に火と氷を同時に宿すカイル。
今度はゆっくりと回転させ、螺旋のように絡ませる。
カイル:「――行くぞ……!」
火と氷が交わり、蒼白い炎が生まれる。
アイス:「これは……!」
ファイア:「やりやがったな!」
エリナ:《本当に……すごい...》
だが維持は数秒しかできず、すぐに霧散する。
カイル:「っ……まだ、ここまでか……」
エリナ:「でも、さっきは暴走しなかった。進歩よ」
5. 夜の独白
夜、ベッドの上で。
カイル:「なぁアイス、ファイア……」
アイス:「なに?」
カイル:「……俺、本当にやれるかな」
ファイア:「やれるに決まってんだろ。お前は俺たちの“主”だ」
アイス:「ええ……私たちもいるしね」
瞼を閉じるカイルの表情は、決意に満ちていた。
カイル:《……待ってろよ。次は必ず、俺が制御してみせる……》
次回――
エリナが放つ嵐の中、カイルは初めて“本気”の戦いに挑む!




