第106話『堕天ノ記憶』
雷が止み、黒い羽がゆっくりと舞い落ちる。
カイルとリールが見上げた先――
エリナの身体を包んでいた“黒雷の鎧”が、淡く光を漏らしていた。
1.ルシファーの過去
その光は、まるで記憶の扉。
ルシファー:《........見せてあげよう。私という存在の、始まりを。》
世界が反転する。
次の瞬間、景色は――白。
天界。
七色の神々が座す玉座の間。
そこに、一人の大天使がいた。
黄金の髪。六枚の翼。
その中央に、まばゆい光器が浮かぶ。
アテン:〘ルシファー、そなたの光.....また強くなっておるな。〙
ルシファー:〘はい。これも、貴方に頂いた“神DNA”のおかげです。〙
アテン:〘だが、その力は神の領域を超えつつある。お前の光は、他の天使たちを焼き払うほどに強すぎる。〙
ルシファー:〘......制御は出来ます。どうか、信じてください。〙
アテン:〘ならば、証を見せよ。〙
空が震えた。
ルシファーの羽が輝き、 神殿の天蓋を突き破るほどの光を放つ。
――次の瞬間。
アテンの瞳が冷たく光った。
アテン:〘それが、証か。己の力を誇示し、天を焦がすとは.......。お前は傲慢だ、ルシファー。〙
ルシファー:〘違う!私は......!!〙
ズバァッ!!
光が走る。
六枚の翼、すべてが斬り落とされた。
ルシファー:〘う...あああああああああっ!!〙
アテン:〘その傲慢の光、地上で悔いるがいい。“堕天”を命ずる。〙
神々の前で、彼女は翼をもぎ取られ、
墜ちていった。
――地上へ。
堕ちた瞬間、光器が黒く染まり、形を変えた。
ルシファー:〘これは......私の......罪の証。〙
天を見上げ、彼は笑った。
その腕に宿った黒い刃。
彼の純粋なる光器は“邪光器”となった。
2.和解
現在。
エリナの身体に憑依したルシファーが、静かに語る。
ルシファー:「.......私は、神に背いたのではない。神に恐れられたのだ。」
カイル:「........アテン、か。」
リール:「....そんな.......」
ルシファー:「傲慢と呼ばれ、堕とされた。だが、私はただ、守りたかっただけ。“神々の外”に いる弱者たちを。」
カイルは拳を握る。
カイル:「......あんたは、間違ってねぇ。....俺は、誰がなんと言おうと....お前を正しいと思うよ。」
ルシファー:「......そう....言ってくれるのか。」
エリナの目に、涙が浮かんだ。
ルシファーの声が、彼女の中で穏やかになる。
ルシファー:「......この娘は、私に似ている。優しすぎる。弱者を笑う世界を、憎んでいた。」
カイル:「.....だから、選んだんだな。エリナを器に。」
ルシファー:「ああ。けれど、もう終わりにしよう。」
光が二人を包む。
ルシファーの姿が淡くほどけ、エリナの心臓に吸い込まれていく。
ルシファー:「傲慢の光は......もう、傲慢ではない。それは、“誇り”と呼ばれるものだ。」
静寂。
エリナが膝をつき、涙をこぼす。
エリナ:「......ルシファー.....ありがとう。」
カイル:「終わった.....のか?」
エリナ:「ええ。......カイル、少し.....いい?」
彼女は微笑む。
エリナ:「昔みたいに......修行しない?」
カイルは苦笑した。
カイル:「.....ああ。いいよ......師匠。」
二人の手が重なった瞬間、
空に、黒と白の光が交わる。
その姿は、かつてのルシファーと同じ――だが、穏やかな輝きを放っていた。
カイル:「.....綺麗だ。」
エリナ:「これは、私の“赦し”の形。神の力でも、悪魔の力でもない。私.....いや、“私たち”という存在の証よ。」
風が吹く。
二人は笑い合いながら、再び剣を構える。
――修行という名の、再戦。
黒と蒼の閃光がぶつかり、
天井を貫く。
次回――
修行戦の中で、エリナが覚醒。
“邪光器”と“神覇・鎧”が始まり、 カイルは新たな“限界”を越える瞬間を迎える。




