第104話『傲慢との再会』
コマディク国・北部森林――入口。
灰色の霧が辺りを包み、空間そのものが歪んでいる。
木々は焦げ、空には赤い雷が走っていた。
1.二人の思い
ギルド本部での報告を終えた翌朝。
カイルは仲間たちの前に立ち、静かに息を吐いた。
エリック:「.......本当に行くのか?」
カイル:「ああ。これは......俺の戦いでもある。」
イル:「でも、カイル。あなた、まだ傷が癒えてないでしょ。」
ナイル:「俺らも一緒に........」
カイル:「ダメだ。」
彼は、静かに、しかし強く言い放った。
カイル:「これは、俺の師匠とのけじめだ。誰かに助けてもらって勝っても、意味がない。」
沈黙が落ちる。
その静寂を破ったのは、ひとりの少女の声だった。
リール:「.....だったら、私も行く。」
カイル:「リール.....?」
リールは短く微笑んだ。
リール:「彼女は、私の親友だった。あの子の痛みを、誰よりも近くで見てきた。だから、今度は私も、一緒に向き合いたい。」
ドレイクが黙ってうなずく。
ドレイク:「.....行け。だが、無茶はするなよ。」
カイル:「ありがとう。......必ず、連れ戻す。」
――二人は森へ消えた。
2.ダンジョン前
七つの光の門が立ち並ぶ中、
ただひとつ、黒紫の門だけが脈動していた。
リール:「ここが.....傲慢の門。」
カイル:「.....そうだ。エリナの......。」
門の前に立つと、
空気が張り詰め、胸の奥で鼓動が鳴る。
リール:「カイル。」
カイル:「ん?」
リール:「......もし、彼女が完全に堕ちていたら?」
カイル:「.....そのときは、俺が止める。あいつを......苦しみから、解放してやる。」
リール:「......優しいね。だから、あの子、あなたを――」
カイル:「.....?」
リール:「.......ううん、なんでもない。」
カイルが笑う。
カイル:「行こう。」
黒い門をくぐると、世界が反転した。
重力が逆さになり、足元が空へ落ちる。
視界がぐにゃりと歪み、
“七大傲慢空間”へと転移した。
3.再会
白と黒が混ざる無限の空間。
宙に浮かぶ鏡の破片のような床を歩く二人。
リール:「なんて.....場所なの。」
カイル:「感情が具現化してるんだ。“傲慢”という名の罪そのもの....。」
ふと、空間の中心に、一人の影が浮かんでいた。
長い金髪。
黒雷の羽が三対、ゆるやかに広がる。
その背から漏れる、濃密な雷光。
???:「.....来たんだ」
その声に、カイルは凍りついた。
カイル:「やっぱり.....な......。」
その瞳は、もうあの優しい師匠のものではなかった。
けれど、確かにそこにいた。
エリナ?:「さぁ.......始めようか。“傲慢の裁き”を。」
黒雷が弾け、空間全体が震える。
リール:「エリナ!!やめて!!」
だが返る声はない。
ただ――深紅の光が、ゆらりとエリナの瞳に宿っていた。
カイル:「.....エリナ。お前を、救う。」
雷が轟き、戦いの幕が上がる。
――その瞬間、七大悪魔の封印が完全に目覚めた。
次回――
エリナの記憶が少しずつ蝕まれていく中で、
カイルは“戦えない痛み”と、“師弟の絆”の狭間で揺れる。




